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イラストからSNSまで! プレミア入団発表の変遷を振り返る

2023.01.17

 今冬の移籍市場で積極的な補強を進めているチェルシーは、今月15日にウクライナ代表FWミハイロ・ムドリク(22歳)の獲得を発表した。

 ムドリクはアーセナルの移籍が濃厚と囁かれた時期もあったが移籍交渉が長引いたこともあり、隙をついてチェルシーが横取り。8900万ポンド(約140億円)とも言われる移籍金でシャフタールから引き抜くと、15日のクリスタル・パレス戦のハーフタイムで同選手をお披露目。そしてSNSを使ってムドリクの加入を大々的に発表した。


 翌16日も“ムドリク・フィーバー”は止まらなかった。チェルシーは、背番号15のユニフォームを抱える新戦力の写真をSNSに掲載して「月曜日でも笑顔になれる15個の理由」とツイートすると、同選手の初インタビューまで投稿。その中でムドリクは新天地での意気込みを英語で語ると「才能だけでは足らない」と記された首のタトゥーについても説明。大いにサポーターを盛り上げている。


 このSNSを駆使した大々的なメディア戦略について、英紙『The Telegraph』は「現代サッカーの教科書のような入団発表」と表現。目玉補強は単にチームの戦力を強化するだけなく「ライフスタイルブランドを発信する大切な要素」だというのだ。それくらい入団発表の手法は時代と共に変化してきたという。というわけで、同紙が特集している「英国フットボール界の典型的な入団発表の変遷」を紹介しよう。

 フットボール界で初めて移籍金1000ポンドを超えた選手は、1905年2月にサンダーランドから同じイングランド北東部のライバルであるミドルズブラに移籍したアルフ・コモンだという。

 当時はイラストを使った移籍報道が主流だったそうで、コモンの場合は「2部リーグへの降格という亡霊から女性を守る」というイラストが用いられたそうだ。実際にコモンは、ミドルズブラに加入すると下位に低迷していたクラブを見事に降格の危機から救ったという。

 その後、時代は変わってクラブ首脳陣が自分たちの手柄を自慢するような写真を発表するのが一般的になっていく。注目の新加入選手が、クラブのオーナーや会長、監督が見守る中で契約書にサインする光景は伝統として今も受け継がれており、まさに入団発表といった一幕だ。1962年にトリノからマンチェスター・Uに加入したデニス・ローといったレジェンドも、名将マット・バズビーに見守られながら契約書にサインした。

 時代と共に選手の移籍が盛んになると「移籍市場」は一大イベントと化していく。シーズン中よりも「入団発表」の方が盛り上げることだって珍しくなくなった。プレミアリーグ史に刻まれた移籍の1つと言えば、1996年に当時の世界記録となる移籍金1500万ポンドでブラックバーンからニューカッスルに加入したFWアラン・シアラーである。

 1年前にブラックバーンをリーグ制覇に導いていたシアラーは、マンチェスター・ユナイテッドの誘いを断り、生まれ故郷であるニューカッスルへの移籍を選択した。

 入団発表は優勝パレードのようなお祭り騒ぎとなった。「英雄の帰還」を一目見ようとサポーターの人だかりができ、スタジアム前に設置されたテラスにシアラーが姿を現すと大歓声が起きた。「シアラー、シアラー!」の大合唱を浴びたストライカーは「僕ほどタイトルに飢えた選手はいない。そして、もし成功に相応しいファンがいるとすれば、それは皆さんだ!」と意気込みを語った。


 結局シアラーは、地元ニューカッスルでタイトルこそ獲得できなかったがクラブ歴代最多ゴールを決める活躍でサポーターを興奮させた。

 時には、二人同時に入団が発表されることもある。決して同じ日に加入が決まったわけではないが、どうせ入団会見を開くなら一緒に開いてしまおうという考えだ。

 2001年12月、リヴァプールはシーズン途中に前線を強化。FWマイケル・オーウェンの負担を減らすためにFWニコラ・アネルカをパリ・サンジェルマンからローン契約で獲得した。特別に開かれた入団会見には、同じく加入が決まっていたFWミラン・バロシュも登場。チェコのバニーク・オストラヴァからビッグクラブへの念願のステップアップを果たしたバロシュだったが、この日の主役はアネルカ。仲良く一緒に記念撮影をしたが、記者の関心はアネルカに集中した。

 元日本代表MF香川真司(33歳)も合同会見を経験している。2012年にドルトムントからマンチェスター・Uに加入した際、同時期に加わったMFニック・パウエルと一緒に入団会見に臨むことに。それぞれ25番と26番の背番号を抱えて登壇した2選手は名将アレックス・ファーガソンを挟んで記念撮影。結局パウエルはユナイテッドで活躍することはなかったが、“香川と一緒に入団した選手”として日本のファンの間では有名になった。ちなみに、現在28歳のパウエルはイングランド2部のストークでプレーしている。

 近年は、SNSの急速な普及もあって、正式な入団会見を開くことなく独自の動画で入団を発表するクラブが増えている。手の込んだ演出でサポーターの期待感を煽ることもしばしば。ウルヴァーハンプトンは、昨年9月に元スペイン代表FWジエゴ・コスタを獲得するとSNSに動画をアップ。ジエゴ・コスタがクラブの象徴であるオオカミを従えて登場するという内容だ。かなり格好いい仕上がりだが、これには撮影時の裏話があり、鎖に繋いだ3頭のオオカミを従えたジエゴ・コスタ本人は怖くて仕方なかったという。「死ぬほど怖かった。もしオオカミが襲ってきたらどうしようと思っていた」と明かしている。


 昨夏、お洒落な動画で新エースの獲得を発表したのはマンチェスター・Cだ。父親もシティの選手だったFWアーリング・ハーランドは、その背景を存分に活かした内容の動画で登場。シティのユニフォームを着ている子供時代の写真から、現在の自分に移り変わるというシンプルだがクラブ愛が感じられる作品となった。


 何より大切なのはサポーターの期待に応えることだ。そういった意味で、リヴァプールはファンの心情を理解したクラブと言える。

 2017年夏の移籍市場でサポーターが求めていたのは前線の補強。SNS上では「選手の獲得を発表しろ!」という合言葉が飛び交っていた。するとリヴァプールがある動画を投稿。それは一人の男性が「Announce Salah Now(サラーを獲得しろ)」というツイッターアカウントをチェックしているというもの。カメラが引いて男性の全身が映ると、そこにいたのはエジプト代表FWモハメド・サラー本人だった。そして「サラーの獲得が発表されたよ!」と本人が入団を発表したのである。


 ただし、どれだけ手の込んだ動画を制作しても実際に活躍できるかは分からない。昨年1月、バーンリーは残留争いの切り札としてヴォルフスブルクからオランダ代表FWボウト・ベグホルストを獲得。映画仕立ての動画で獲得を発表したが、同選手は2ゴールしか奪えずにチームも2部降格の憂き目に…。ベグホルストもわずか半年でチームを去り、現在はローン契約でマンチェスター・Uに所属している。


 このように選手の入団発表には歴史があり、今では各クラブがSNSを駆使して選手補強という一大イベントを盛り上げているのだ!

(記事/Footmedia)

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