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過去37年で最低のスタート…盤石だった王者チェルシーに生じた誤算とは?

2015.10.16

サウサンプトン戦で今季4敗目を喫したチェルシー [写真]=Getty Images

 開幕8試合で稼いだ勝ち点はわずかに「8」。過去にプレミアリーグで同様のシーズンスタートから5位以上でフィニッシュしたチームはひとつもない。

「もはや一時的なスランプではない。深みにハマっている」(ガリー・ネヴィル)

「すでに彼らの優勝争いは終わった。目標はトップ4だ」(ジェイミー・キャラガー)

 元選手の解説者たちはこう口をそろえる。降格した1978-79シーズン以降、過去37年間で最低のスタートを切ったチェルシーに、なにが起こったのか?

 年明け以降の失速でチャンピオンズリーグ早期敗退を強いられた昨季の教訓から、ジョゼ・モウリーニョ監督は開幕前のキャンプを短縮し、親善試合の数も極力減らした。ゆえに、ピーキングの問題からある程度のスタートダッシュ失敗は想定の範囲内だった。

 だが、いざ開幕を迎えると想像以上に選手たちの状態が悪かった。8月半ば、第2節を終えた時点でモウリーニョは「(ブラニスラフ)イヴァノヴィッチ、(ガリー)ケーヒル、(ジョン)テリー、(セサル)アスピリクエタ、(エデン)アザール、セスク(ファブレガス)、(ネマニャ)マティッチの状態に満足していない」とクギを刺しているが、10月に入った今も彼らのパフォーマンスが一向に上がってこないのだ。

 守備陣ではテリーが別人のように衰えを見せ、右のイヴァノヴィッチは何度も快速ドリブラーにサイドを破られ、昨季の同時期と比べてファール数が激増(6回→14回)している。さらに、この夏から解説者に転身したリオ・ファーディナンドはこう付け加える。

「かつては(クロード)マケレレが、昨季はマティッチがいたように、チェルシーは4バックの前のプロテクトが固い。だが、今季のマティッチはインテンシティを欠き、疲れているように見える」。

 マティッチの不振で中盤のシールドが弱まり、無防備にされた4バックの不出来が際立つ。そこに守護神(ティボー)クルトワの長期離脱まで重なり、昨季プレミア最少失点の堅守はあっけなく崩壊してしまった。

 一方、攻撃陣ではアザールがここまで無得点と本調子からほど遠い。昨季開幕8試合で7アシストを決めたセスクはここまでわずか1アシスト。ジエゴ・コスタもまだ1ゴールで、このエースが見出しを飾ったのはローラン・コシェルニーへの平手打ちで3試合出場停止を食らった一件くらいだ。

「(ラダメル)ファルカオは2年前のレベルにない。D・コスタ抜きで戦わなければいけないとき、代役の仕事ができるFWを獲得しなかったというミスは見落とされがちだ」とは、元イングランド代表MFジェイミー・レドナップの言葉。主軸の不調をカバーできる人材がいないのも問題である。FWに限らず、エヴァートンからジョン・ストーンズを獲得できていれば守備の問題も……と考えれば、移籍市場での失策もスランプの一因だろう。

 選手個々の出来が昨季のレベルに戻らない理由は、マンチェスター・Uで何度も優勝を味わってきたG・ネヴィルの言葉がヒントになる。

「現役時代、リーグ制覇した翌シーズンに少し出遅れるのは普通のことだ。ただ、その時、いつも(アレックス)ファーガソン監督がこう言っていた。『もうやり切ったと思っているかもしれないが、ここからさらに前進しなければならない』とね」

 今のチェルシーの選手たちは、いわゆる“燃え尽き症候群”に近い心理状態なのだ。そう考えると、以下のようなプレミアOBたちの印象も説明がつくかもしれない。

「昨季、我々はマンチェスター・Cの熱意や意欲を批判したが、それよりも酷い。王者のこんなパフォーマンスは初めて見る。こんなにスローで走れないチームはない」(キャラガー)

「選手たちが勝利に意欲を燃やすチームに見えない。ボスと教え子の間に一体感が感じられない」(ティエリ・アンリ)

「モウリーニョはチーム選びや戦術の責任を取らなければいけないが、個々のミスの量にまで責任を持てない」(マット・ル・ティシエ)

 本来なら、主将のテリーや副主将のイヴァノヴィッチがこうしたムードを引き締めるべきだが、彼らは自らの不振でそれどころではない。ここにきて、ディディエ・ドログバ、ペトル・チェフといった歴戦の英雄の退団が悔やまれる。

 一方、選手だけでなく、モウリーニョの舵取りに対する疑問の声もある。

「テリーはシティ戦のハーフタイムに代えられ、『遅い』と言われて恥をかいた。マティッチはサウサンプトン戦のハーフタイムに投入され、わずか27分で交代させられた。こうしたことが選手を動機づけすることはない」(アラン・シアラー)

「モウリーニョは素晴らしい監督だが、1年半で選手を潰してしまう。教え子たちが精神的に彼の要求に耐えられなくなるサイクルがそれくらいなのだ。今のチームには、リズムも闘争心もない」(ファビオ・カペッロ)

 もはや、チェルシーは一枚岩のチームではないのか。実際、最近では「モウリーニョ対テリーの確執」や、「テリーとD・コスタの不仲説」などチーム内の不和を疑うメディアも増えてきた。その度、当人たちは全面否定しているものの、それを言わなければいけない時点ですでに「問題あり」なのだ。

 モウリーニョの求心力は、いま急激に落ちているのかもしれない。クラブドクターを辞職したエヴァ・カルネイロ女史との騒動や、メディアや審判に対する最近の悪口雑言、そして身内を守るモウリーニョにしては珍しい教え子への批判的発言まで、今季は“悪目立ち”が過ぎる感が否めない。

「私を解任すれば、このクラブで最高の監督を追い出すことになる」――――。

 1-3で敗れたサウサンプトン戦後に残した言葉がただの強がりにならないよう、モウリーニョは再び選手たちの心に火をつけなければいけない。そして、大胆不敵、傲岸不屈で憎らしいほど強いチェルシーの姿を取り戻さなくてはいけない。

(記事/Footmedia)

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