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中国におけるJリーグの認知度は?…「ギャンブルの対象として認識されている」

2020.11.13

[写真]=Getty Images

 Jリーグは2012年から本格的にアジア戦力を推進してきたが、アジア最大のマーケットである中国では苦戦が続いている。

 同年、Jリーグは中国の『チャイナ・スポーツ・メディア』と複数年の放映契約に締結。昨年、その契約はさらに3年更新され、中国では2022年までJ1とJ2の試合が放送されることになった。

 ところが、契約件数は伸びず、実際はおよそ10年にわたって主要チャンネルから外されている。中国でJリーグの中継をライブで楽しみたいのなら、『Kball』というアプリをダウンロードしなければならない(MLSやAリーグといった、フットボールのコンテンツとしては人気の低いリーグと同じ扱いなのだ)。

 インターネット上でも、Jリーグの情報や露出は多くない。中国最大の検索エンジン『Baidu』に中国語で検索をかけても、適切な情報はあまり得られない。おそらくこれは、ローカライゼーションや検索の最適化がなされていないためだろう。

 また、SNSでも苦戦している。中国最大のソーシャル・プラットフォームである『Weibo』におけるJリーグアカウントは、27万人のフォロワーを獲得している。欧州以外のフットボールリーグのものとしては健闘していると言えるが、主に結果やハイライトがアップされているだけで、多くの投稿は適切に翻訳されていない。ここでもローカライゼーションに問題があり、日本語を理解しない多くの人々への訴求力が高まっていない。

 そのほかのSNSでは、継続的な更新さえなされていない。ニュースサイト『Toutiao』のJリーグチャンネルは1万3000人のフォロワーがいるものの、そこにある“最新”のニュースは、悲しいことに1年ほど前のザスパクサツ群馬対愛媛FCの試合結果である。動画配信アプリ『Douyin』でのショートビデオによるプロモーションはすぐに禁じられ、現在は取るに足らない映像が残っているだけだ。

 そして残念なことに、中国最大のコミュニケーションツール『WeChat』やフットボールに特化した人気アプリ『DQD』には、Jリーグの公式チャンネルがない。『Weibo』で約130万人のフォロワーを抱える“日本サポーターズクラブ”を運営する阿基氏は、現在の中国におけるJリーグの立ち位置について、次のように語る。

「サッカーはもちろん、日本の文化もシェアしたいと思い、動画を配信したり、『Kball』でコラムを書いたりしていますが、多くの人々の関心を得られているとは言えません。『Kball』では、Jリーグのようなコンテンツは主にギャンブルの対象として認識されている。ビジネス面ではそれが最も有効なので、致し方ないのかもしれません。Jリーグの試合をそのまま流すだけでは、商業的なアピールにつながらないからです」

 海南省出身の25歳は続ける。「私は大学で日本語を学び、その後、静岡に2年留学しました。日本のサッカーを好む多くの中国人と同様に、私もまずは日本代表を好きになり、Jリーグはあとから知りました。中国では30歳以上のサッカーファンが一番多いと思います。地域で言えば、南部の広東省に最も多い。おそらく、(香港に近い)同地域には、歴史的にもより良いフットボール文化があるからではないでしょうか」

 このように、アジア・フットボールを牽引してきたJリーグは、残念ながら中国でそのポテンシャルを発揮しているとは言い難い。まずはコンテンツのローカライゼーションや運営といった戦略の見直しが必要だろう。日本の文化に興味を持つ中国人は多いので、サッカーに加えて、そうした面をアピールすれば、より多くのファンの獲得につながるのではないだろうか。

取材・文=超明
翻訳・構成=井川洋一

By サッカーキング編集部

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