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【激アツ 本当はこんなにおもしろいJ2のススメ】3つのポイントが、J1昇格を巡る争いを盛り上げる!

2016.09.09

文=中川翔士、近野章、三好記彰、望月遼太(サッカーキング・アカデミー
写真=Getty Images

 北は北海道、南は熊本まで、J2リーグは日本列島を舞台とする。全国各地に散らばった22クラブが、それぞれの目標を達成するために火花を散らして、全42試合を戦い抜く。

 全22クラブがしのぎを削るJ2には、J2の魅力がある。特に下記3つのポイントがシーズンを盛り上げる。


ポイント1:J1昇格の可能性が多くのクラブにある
ポイント2:元日本代表の戦士たちがキャリア晩年の輝きを発する
ポイント3:シーズンごとに生まれ変わるチームをサポートできる

ポイント1:J1昇格の可能性が多くのクラブにある

 2012年シーズンに、J2の3位から6位までに出場権が与えられるJ1昇格プレーオフが設けられた。最終的に6位に滑り込むのは、どのクラブにとっても決して夢物語ではない。数試合のうちに10位から6位に浮上することは十分に可能だ。プレーオフ制度の導入によって、多くのクラブがJ1昇格を現実的な目標として捉えるようになり、リーグ終盤における消化試合が大きく減少した。前評判の高くなかったクラブが終盤戦で躍進を見せてプレーオフ圏内に滑り込むケースも増えた。優勝争いに限らず、シーズン終了まで、手に汗握る熱戦が多く楽しめるのはJ2の魅力と言えるだろう。

 ちなみに、過去4回のうち6位が2度、4位が1度と、下位のクラブが昇格を決めているケースが多い。一発勝負というプレーオフに熱狂できるのもJ2の醍醐味だ。

 また、J1昇格プレーオフ争いだけでなく、下位に沈むクラブによるJ2残留をかけた戦いもシーズン終盤まで続く。2015シーズンに至っては、リーグ戦第39節終了時点で全22クラブに昇格や降格の可能性が残されていた。リーグ閉幕まで各クラブが高いモチベーションを保ち、各会場で熱い試合が繰り広げられる点も、魅力の一つだろう。

リーグ戦3試合を残した時点で、勝点の計算上は15位ザスパクサツ群馬までJ1昇格プレーオフ進出の可能性があった。

リーグ戦3試合を残した時点で、勝点の計算上は15位ザスパクサツ群馬までJ1昇格プレーオフ進出の可能性があった。

ポイント2:元日本代表の戦士たちがキャリア晩年の輝きを発する

 J2は、J1へのステップアップを目指す若手が多い。一方で、かつて代表まで上り詰めたベテランが今なお躍動する舞台でもある。

 ベスト11を選出し、1チームが作れるほど、各ポジションで元日本代表戦士たちが奮闘している。彼らは皆、サッカーへの愛を貫き、J1からJ2へと舞台を移し、ボールを追い続けている。
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GK:南雄太(横浜FC:2001年に日本代表へ選出・出場機会はなし)
 柏での活躍が評価され、1999年のワールドユースでは正ゴールキーパーとして全試合にフル出場し、準優勝を果たす原動力の一人となった。その後、2001年にフル代表に選出されている。

DF:加地亮(ファジアーノ岡山:代表通算64試合・2得点)
 ジーコジャパンで右サイドのスペシャリストとして活躍し、ドイツW杯にもレギュラーとして参戦した。直前の親善試合で負傷したものの、不屈の精神で第2戦以降はフル出場を果たした。

DF:岩政大樹(ファジアーノ岡山:代表通算8試合・0得点)
Omiya Ardija v Fagiano Okayama - J.League 2
 2008年に初めて代表招集を受けると、岡田武史監督の信頼を獲得。頼れるバックアップとして、2010年南アフリカW杯のメンバーにも選ばれた。

DF:茂庭照幸(セレッソ大阪:代表通算9試合・1得点)
 2003年以降に代表選出されるようになり、田中誠(元ジュビロ磐田ほか)の負傷による追加招集という形で2006年ドイツW杯に参加。第1戦のオーストラリア戦で途中出場を果たした。

MF:稲本潤一(北海道コンサドーレ札幌:代表通算82試合・5得点)
 2002年日韓W杯では2試合連続でゴールを決め、日本史上初の決勝トーナメント進出の立役者となった。その後も代表で活躍を続け、2006年ドイツW杯、2010年南アフリカW杯と3大会連続でメンバーに選出された。

MF:小野伸二(北海道コンサドーレ札幌:代表通算56試合・6得点)
Yokohama FC v Consadole Sapporo - J.League 2
 日本代表史上最年少となる18歳で1998年フランスW杯のメンバーに抜擢されると、負傷による離脱の期間もありながら、2006年まで代表の主力として活躍。2002年日韓W杯、2006年ドイツW杯にも出場した。

MF:山瀬功治(京都サンガF.C.:代表通算13試合・5得点)
 コンサドーレ札幌と横浜F・マリノスで指導を受けた岡田武史監督が日本代表監督へ就任すると代表で定位置を掴み、日本代表のエース格として攻撃のキーマンを担った。

MF:本山雅志(ギラヴァンツ北九州:代表通算27試合・0得点)
 2000年に初招集を受け、鹿島の大先輩であるジーコが代表監督に就任するとともに代表に定着。W杯への出場は果たせなかったが、アジアカップ2004では優勝メンバーの一員となった。

FW:玉田圭司(セレッソ大阪:代表通算72試合・16得点)
 ジーコジャパンにおける熾烈なFW争いに勝ち抜き、2006年ドイツW杯では前回大会王者のブラジル戦で先制点を記録する。岡田武史監督にも重用され、2010年南アフリカW杯ではスーパーサブとしてベスト16進出に貢献した。

FW:大黒将志(モンテディオ山形:代表通算22試合・5得点)
 2005年に代表入りを果たすと、アジア最終予選の北朝鮮戦で後半終了間際に劇的な決勝ゴールを挙げ、一躍時の人となる。その勢いのままコンスタントに得点を記録し、2006年ドイツW杯でも全3試合に出場した。

FW:三浦知良(横浜FC:代表通算89試合・55得点)
Yokohama FC v Roasso Kumamoto - J.League 2
 言わずとしれた“キング・カズ”は、1992年アジアカップMVPをはじめとして代表でも数々の栄光を掴んできた。A代表で積み重ねてきた55得点は、最多得点記録を誇る釜本邦茂に次ぐ成績。

 さらには、巻誠一郎(ロアッソ熊本)、永井雄一郎(ザスパクサツ群馬)、我那覇和樹(カマタマーレ讃岐)といった錚々たるメンバーがJ2のクラブに在籍している。

 確かに全盛期と比べれば、スピードやパワーは衰えたかもしれない。だが、かつて一時代を築いた名手たちだけに、経験に裏打ちされたプレーはサッカーの楽しさを改めて感じさせてくれる。歴戦のJ戦士たちの勇姿を見るだけでも、スタジアムに足を運ぶ価値がある。

ポイント3:シーズンごとに生まれ変わるチームをサポートできる

 多くのJ2のクラブにとって、シーズンオフは実に悩ましい時期と言える。J1へのステップアップによる選手の流出のみならず、予算の都合上、主力選手との契約を見送らなくてはならないクラブも少なくはないためだ。

 2015年、2016年の開幕戦におけるジェフユナイテッド千葉のスタメン変遷が好例だ。下記のとおり、ガラリと顔触れが変わっている。
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 状況によっては、まるで別のチームに生まれ変わらざるを得ないクラブもある。そのため、シーズン終盤には「このメンバーで試合ができるのはあと○試合だけ」という意識がファンの間に広がってくる。こうした“さびしさ”がクラブへの愛情を一層強くする。

 もちろん、降格という制度が存在する以上、空いた穴を放置するわけにはいかない。各クラブごとに、戦力を維持するために工夫を凝らしている。ファジアーノ岡山や愛媛FCのように、試合経験を積みたい若手選手を他クラブからレンタルの形で補強するクラブもあれば、北海道コンサドーレ札幌や横浜FCのようにJ1で満足な出場機会を得られていない経験豊富な選手を獲得するクラブもある。

 応援していた選手がクラブを離れていくのはさびしいものだが、新たに選手を迎え入れ、シーズンごとに生まれ変わるチームに対して声援を送れるのはJ2ならではの楽しさと言えるだろう。

 シーズン終盤まで各地で息詰まる熱戦が行われ、多くのクラブで経験豊富な元日本代表選手がキャリア晩年の輝きを発する。愛着の湧いたチームが時には一年で解体され、趣向を凝らして新戦力を招き、だからこそ生まれ変わったチームを改めてサポートする喜びを味わえる。

 J2にはJ2の魅力がある。3つのポイントを意識しながらスタジアムに足を運べば、きっと今まで以上にサッカーが好きになるはずだ。

※データは2016年8月26日時点

■ダイヤモンドの原石たち

香川真司や柿谷曜一朗が証明してみせたとおり、J2はダイヤモンドの原石たちが輝く舞台でもある。今シーズンも、さらなる飛躍を果たすべく、新星たちがJ2の荒波の中で躍動している。
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■J2あるあるベスト11

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■J2から羽ばたいた男たち

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J2から羽ばたいた男たち

■カズさんに会いたいから横浜FCの練習場に行ってみた。

誰もが知るJ2戦士といえば、カズさんこと三浦知良だ。横浜FCに所属し、Jリーグ最年長ゴール記録を更新し続けている。日本サッカー界の英雄に会いに行こう――俺たちは、ひと夏の思い出をつくるべく冒険を計画した。これこそ「激アツ 本当はこんなにおもしろいJ2のススメ」という特集のメーン企画と言っていい。スティーブン・キング原作の映画『スタンド・バイ・ミー』の少年たちのように胸をわくわくさせながら、俺たちは横浜FCの練習場「LEOCトレーニングセンター」を目指した。
カズさんに会いたいから横浜FCの練習場に行ってみた。

●当記事はサッカーキング・アカデミーの短期セミナー「サッカーキングの特集ページを作ろう!」の参加者が企画立案から原稿執筆まで担当しました。
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