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香港遠征は連敗も…イタリア仕込みの新戦術に期待かかるFC東京

2014.02.03

クリリア・ソヴェトフとの親善試合に先発したFC東京イレブン [写真]=三浦彩乃

 香港で開催されているAET賀歳盃(Lunar new Year AET CUP)。日本からFC東京が参加している同大会は、4クラブによるトーナメント制で行われ、SCオルハネンセ(ポルトガル)、PFCクリリア・ソヴェトフ・サマラ(ロシア)、シチズン・ユナイテッド(香港)も出場。1月31日の初戦でPK戦の末にSCオルハネンセに敗れたFC東京は、2月3日の3位決定戦でPFCクリリア・ソヴェトフ・サマラと対戦。惜しくも0-1で敗れ、未勝利で大会を後にすることとなった。なお、大会は地元のシチズン・ユナイテッドが決勝でSCオルハネンセを2-0で破り、中国の旧正月を記念して開催された大会に華を添えている。

 プレシーズンのトーナメントとはいえ、Jリーグ初のイタリア人指揮官マッシモ・フィッカデンティ新監督にとっては初の公式戦。始動から約2週間という難しいコンディションの中、新たに取り組んできた4-3-3のシステムで大会に臨んだ。


 SCオルハネンセとの初戦では、後半に不運なPKで先制点を献上したものの、途中出場した石川直宏三田啓貴が積極的にシュートを狙うなどして流れを引き寄せ、67分に左サイドからカットインした三田の右足シュートで同点とする。その後も一方的に押し込んだが、決定機を決めきれずに試合終了。7人目までもつれ込んだPK戦で5-6と敗れ、3位決定戦に回ることとなった。

 PFCクリリア・ソヴェトフ・サマラとの2戦目はSCオルハネンセ戦からスタメンを6人入れ替えてスタート。初戦で途中出場して実力の片鱗を見せていたエドゥーが3トップの中央で存在感を見せ、ポストプレー、ターンしてのチャンスメイク、得意の左足シュートなどで攻撃の中心なったが、徐々にプレスが仕掛けられなくなり、3トップの両ウイングが押し込まれる展開に。ボールを奪ってから攻撃へ切り替える際に相手ゴールまでの距離が遠く、「出ていくのがキツかった。しっかりポジションを取って守っているけど、プレスの仕掛けどころをどうするか確認しないと。自分たちからアクションを仕掛けるような守備もしていきたい」(渡邉千真)と課題を口にしていた。

 後半立ち上がり、「足の運びが悪くて、ちょっと滑ってしまった」という吉本一謙が相手のマークを一瞬外してしまい、ロングボールをヘディングでつながれて先制点を許してしまう。後半もメンバーを入れ替えながら相手ゴールに迫ったが、シュート精度を欠いて同点ゴールはならず。このまま0-1で敗れ、香港遠征は2連敗で終了した。

 だが、沖縄キャンプから香港遠征と2部練習が続き、新指揮官が新たなフォーメーションを採用し、コンディション調整途上であることを考えれば、収穫と課題の双方が見えるのは当然。フィッカデンティ監督も「2週間の厳しいトレーニングの上で、コンディションの整った一定レベル以上のクラブに対して、この内容のサッカーができた。開幕までの1カ月でサポーターの期待に応えるだけのサッカーをお見せできると信じている」と手応えを口にした。

 香港遠征では結果こそ出なかったものの、フィールドプレーヤーを全員起用。それぞれの可能性を見いだすことができたはずだ。中でも空中戦で圧倒的な存在感を見せた新センターバックのマテウス、「まだコンディションは15パーセントくらい」と言いながらも力強いプレーで大きな期待を集めるエドゥー、得意の仕掛けを生かせるウイングで果敢なプレーを見せている石川、左ウイングで「自分の良さを出せそう」と語る渡邉、攻撃センス溢れるプレーで2年目のブレイクを予感させる三田など、新シーズン開幕に向けて楽しみな選手は多い。フィッカデンティ新監督のサッカーについて、権田修一は「まだまだ奥深そう」と語る。イタリア仕込みの戦術で戦うFC東京の2014シーズンに注目だ。

文=青山知雄(Jリーグサッカーキング編集長)


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