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ニューヒーロー賞は“日本代表への登竜門”! 遠藤渓太は偉大な先輩たちに続けるか

2018.10.24

2018年のニューヒーロー賞に輝いた横浜FMの遠藤渓太 [写真]=Getty Images

 22日、2018JリーグYBCルヴァンカップのニューヒーロー賞が発表された。“日本代表への登竜門”とも評されるこの賞に輝いたのは、横浜F・マリノスの決勝進出に大きく貢献した遠藤渓太だ。

 そもそも、このニューヒーロー賞が設けられたのは1996年大会から。初代ニューヒーローに輝いた名波浩(ジュビロ磐田監督)と斉藤俊秀(U-16日本代表コーチ)は2年後のフランスワールドカップに出場し、「ニューヒーローが日本代表になる」という流れが生まれた。そして、ルヴァンカップという大会自体が若きタレントにチャンスを与え、飛躍の契機を作る場として広く認知されるようになっていった。

 2017年までに選ばれた23名のニューヒーローのうち、実に19名がA代表に選出されており、残る4名のうち3名もまだ現役のため、今後選ばれる可能性を残している。特に昨年のニューヒーロー賞を獲得した西村拓真は今季からロシアのCSKAモスクワへと移籍し、欧州でのチャレンジをスタートさせた。西村は世代別代表の経歴もなく、富山第一高校からベガルタ仙台への加入が決まったのも遅かった。そういった選手がコツコツとクラブで力を蓄えて花開く舞台となり、名前を売って世界に飛び出ていくサクセスストーリーの一助となったのは、ルヴァンカップならではだったと言えるかもしれない。

 日本代表に選ばれた19名の中にはワールドカップで活躍、あるいは長く日本代表の主軸だった選手も多い。前述の名波はもちろんのこと、先のロシアワールドカップで日本代表から退くことを表明した長谷部誠もその一人。まだ浦和レッズの“新星”だった2004年、20歳の若さで決勝まで進んだチームを引っ張る活躍を見せて一躍名前を売ることになった。その後も活躍を続けると、2006年初頭にA代表へのステップアップを果たし、日の丸を背負うチームに欠かせぬ大黒柱へと成長していったのは周知の通りだ。

長谷部誠

日本代表の主将を務めた長谷部は2004年に受賞 [写真]=J.LEAGUE、Getty Images

 他にも“オシムジェフ”の中心選手としてタイトル奪取を果たした阿部勇樹(浦和レッズ)、後に伝説的なチームへと成長していく過程の磐田で高卒ルーキーとして破格の働きを見せた高原直泰(沖縄SV)、浦和の若武者として大暴れを見せていた20歳の原口元気(ハノーファー)といった日本代表の主力になった選手たちが、成長の過程においてニューヒーロー賞に輝いている。また遠藤にとっては横浜FMユースの先輩に当たる齋藤学(川崎フロンターレ)も、ブラジルワールドカップのメンバー入りを果たす前年、この賞を獲得している。

 だから、遠藤渓太もきっと日本代表になる――。と言うのは安直過ぎるし、日の丸を背負うことを軽く見すぎた物言いだ。ただ、その可能性を大いに秘めた選手であると言い切ることに異論は出ないだろう。快足を飛ばしてドリブルで勇猛果敢に仕掛け、豪快にゴールへと迫っていく持ち味は魅力的だし、何より遠藤には偉大な先輩とも共通する「もっと上手くなりたい」という強烈な向上心がある。

 2020年の東京五輪を目指すU-21日本代表にもピックアップされているが、その指揮官はA代表と同じ森保一監督。当然ながらその名前とプレーぶりはすでにインプットされているだけに、27日に埼玉スタジアム2002で開催される湘南ベルマーレとのルヴァンカップ決勝、そしてリーグ戦での継続的な活躍があれば、自ずと道は開けてくるはずだ。

文=川端暁彦

By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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