サッカーゲームキングジャック6月号
2013.11.03

ナビスコ杯、継続支援の効果とは…世界最長スポンサーのギネス記録達成

柏レイソル
14年ぶりにナビスコ杯を制した柏 [写真]=山口剛生

 タイムアップ直後に、選手達がどれほどタイトル獲得を望んでいたかが表れていた。

 雨が降る中、柏レイソルは猛攻を受けながらも工藤壮人の得点を守り切って、14年ぶりの戴冠を果たした。歓喜の輪が作られ始める傍らで、レアンドロ・ドミンゲスやジョルジ・ワグネルは喜ぶことよりも先に、精根尽き果てたかのようにピッチに倒れ込んでいた。

 一方、2003年以来の優勝を取り損ねた形となった浦和レッズでは、原口元気が悔しさというよりも怒気を含んだ様子でピッチを殴りつけ、タイトルを逸したことの感情を発露させた。原口が狂乱とも言える状態だったことに対し、放心したかのように座り込んだ森脇良太は、表彰式の直前まで立ち上がることはできずにいた。

 Jリーグ、天皇杯と並んで国内3大タイトルに数えられるヤマザキナビスコカップ。2日に行われた決勝では、柏が1999年以来2度目の優勝を果たした。透き通る秋晴れの中での開催が多かった決勝だが、今年はキックオフ前から厚い雲に覆われていた。それでも、両チームが死力を尽くしたピッチ上のプレーとともに、風物詩となったクラブカラーに染まる鮮やかなコレオグラフィなど、決勝の醸し出した雰囲気は例年通り、間違いなく世界に誇れるものだった。そして、訪れた人々の脳裏に焼きつく唯一無二の決勝を擁する大会となったヤマザキナビスコカップは、同一スポンサーによる世界最長のカップ戦というギネス世界記録を持つ。

 名実ともに、記憶と記録に残る大会に成長したが、実のところはJリーグよりも長い歴史を持つ。1993年のリーグ開幕から遡ること1年前。1992年にJリーグのプレ大会として産声をあげると、以降は開催されなかった1995年を除いて、ヤマザキナビスコが20年以上に渡り、一貫して冠スポンサーを務めてきた。

 しかし、当たり前ではあるが、ギネス世界記録への歩みは順風満帆ではなかった。

 今でこそ8年連続でチケット完売という盛況ぶりを見せる決勝ですら、1990年後半には空席が目立つ年も少なくなく、お世辞にも注目度が高いとは言えなかった。同一スポンサーによる世界最長のカップ戦という記録は、裏を返せばスポンサーを継続することの困難さの証明でもある。イングランドでもリーグカップは1982年から冠スポンサーがついているが、2012年のカーリング・カップからキャピタル・ワン・カップへの変更を含め、約30年間で6度の名称変更が行われた。

 企業の業績悪化というマイナス要素がすぐに連想される冠スポンサーの変更だが、知名度向上をはじめ、企業の目的が達成された場合もある。ただ、サッカーの母国でもカーリングの10年が最長だった冠スポンサーによるカップ戦である。四半世紀にも迫る支援を行ってきたヤマザキナビスコには、ギネス世界記録以外にも当然ながら様々な効果があったようだ。

 市場調査会社のレピュコムが実施した全国の16~75歳2,700人を対象に行ったインターネット調査で、スポーツにおけるスポンサーへの印象を問うた際、「プロスポーツの発展にはスポンサーは大切だと思う」という回答が69パーセントでトップとなった。続いて、「スポンサーとなっている企業は魅力的だ」が42パーセント、「スポンサーをしている企業は社会的責任を果たしている」が41パーセント、「スポンサーとなっている企業は信頼がある」が36パーセントとなっている。

 同調査では、Jリーグのスポンサー認知度も発表されて、見事にヤマザキナビスコが協賛企業トップの数字を上げた。2つの調査結果を合わせれば、少なくともJリーグにおけるヤマザキナビスコのスポンサーとしての効果は、小さくなかったと言えるだろう。そして、単純に「知名度」が回答の上位に来ていないことも興味深い点だ。

 ヤマザキナビスコカップが生まれた1990年初頭とは異なり、昨今では多くの企業が「社会的責任」や「企業への信頼」というポイントを重視する。20年以上の間で、スポンサーの持つ意味も当然移り変わっていったであろうが、ギネス世界記録にも認定される継続的な支援は、時代の流れに合わせるかのように今も花開いているのだ。

 ちなみに、柏は1999年にPK戦の末に鹿島アントラーズを下して、浦和も2003年に前年の決勝で敗れた鹿島相手に豪雨の中で大勝を収めて、ともにクラブ史上初となるタイトルを獲得していた。ヤマザキナビスコカップは、今年の決勝で激突した両クラブにとって、Jリーグ屈指の強豪への足がかりを築いた思い出深い大会である。まさしく、「プロスポーツの発展にはスポンサーは大切だと思う」という点を象徴するかのような決勝でもあった。

文●小谷紘友

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