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【コラム】南野拓実はクールに見えて実は熱い! 幼なじみも認める超負けず嫌い

2018.09.10

久しぶりに日の丸を背負う南野。地元大阪でインパクトを残せるか

 セレッソ大阪でプレーしていた2014年春、日本代表を率いていたアルベルト・ザッケローニ監督に才能を買われた南野拓実(ザルツブルク)は、10代で2014年ブラジル・ワールドカップ予備登録メンバー入りした。「4年後のロシアでは主力の1人になる選手」。そんな見方をする関係者も多かった。

 南野自身もそう思っていたはずだ。3歳の時に98年フランス大会を見て、ブラジル代表FWロナウドやイングランド代表のワンダーボーイ、マイケル・オーウェンらに魅了され、サッカーの奥深さにはまったという“ワールドカップの申し子”は、「日本代表になる」という幼少期からの夢を現実にすべく、一気に階段を駆け上がるつもりでいた。

 まずは自分自身を磨くため、20歳になったばかりの2015年1月にオーストリア1部のザルツブルクへ移籍。この年の10月にはヴァイッド・ハリルホジッチ監督にも招集され、親善試合のイラン戦(テヘラン)と11月のロシアW杯アジア2次予選・カンボジア戦(プノンペン)で出場機会を与えられた。しかし、前者は後半43分、後者は後半41分からピッチに立っただけ。「南野はまだ20歳。この先、大いに伸びる余地がある。おそらく来年、再来年くらいにはA代表に定着するのではないか」とボスニア人指揮官は前向きにコメントしたが、そこから代表招集はパッタリと途絶えた。

 翌2016年のリオデジャネイロ・オリンピックに参戦してナイジェリア戦でゴールを奪い、所属クラブでも2015〜17シーズンにかけて2年連続2ケタ得点を挙げた。本人の中では「なんで代表に呼ばれへんのや」という疑問と苛立ちでいっぱいだった時期もあったはず。同じリオ世代の久保裕也(現ニュルンベルク)や浅野拓磨(現ハノーファー)が最終予選でインパクトを残す姿には焦りも感じただろう。結局のところ、代表選手の立場というのは監督の胸先三寸でしかない。南野は夢に描いていたロシアのピッチに立つどころか、予備登録メンバーに入ることもできず、23歳の夏を迎えることになってしまった。

南野拓実

代表合流直前には、今シーズンのリーグ戦初得点を決めている [写真]=Getty Images

 そんな悔しさと代表での渇望を抱えた南野を森保一新監督は放っておかなかった。欧州5シーズン目を戦っている国際経験豊富なFWを満を持して2年10カ月ぶりに抜擢。7日のチリ戦(札幌)の代わりに行った紅白戦ではいきなり主力組に入れた。1本目は小林悠(川崎フロンターレ)と2トップを組ませ、2本目は左サイドのポジションに起用した。1本目の7分には、幼稚園時代からの幼なじみで、U-17、U-23、A代表とともにステップアップしてきた室屋成(FC東京)のマイナスクロスに思い切って飛び込み、放った右足シュートが右ポストを強襲する決定機も作った。彼自身も新生ジャパンでやっていける自信をつかんだ様子だ。

「FWではクサビを受けて前を向いて仕掛けて行くところ、そこで展開してゴールに関わっていくところが出せた。サイドではボールを奪った瞬間にいいところで受けて、スムーズに攻撃につなげる部分では手ごたえを感じました。複数ポジションができるところは自分の強み。もっとアピールしていければいいと思います」

 北海道の大地震という予期せぬアクシデントを経て、大阪入りした今回の森保ジャパンに残されたゲームは11日のコスタリカ戦(吹田)のみ。南野にとっては出場すれば待望の地元凱旋となる。代表デビューから約3年がかりでスタメンの座をつかめたら、自分の持てる力のすべてを出し切るしかない……。そんな割り切りと覚悟を胸に秘めているに違いない。

 しかも、南野と室屋の地元は台風21号によって深刻なダメージを受けた関西国際空港のほぼ対岸にある熊取町。2人を取り巻く人々に勇気と希望を与えるためにも、今回は明確な結果を残し、代表定着への大きな一歩を踏み出さなければならない。

「子どもの頃の拓実はボールを持ったら絶対に離さなかった。キックオフの笛が鳴った瞬間からドリブルで相手チームの選手を全員抜いてゴールしていました。点を取るだけじゃなく、『自分でゴールも守ってやる』という意識も強くて、PK戦でGKに入ることもあった。『どんだけ負けず嫌いなんや』と思いましたけど、それが南野拓実という人間なんです」と室屋はしみじみと語っていたことがあった。

 端正な顔立ちもあってクールそうに見えるが、内面では熱く激しいものを持っている。そこは多くの仲間が口を揃える点だ。闘争心溢れる万能型FWが新たな日本代表に与える刺激は少なくないはず。チームを勝たせるような大仕事を室屋とともに果たすことができれば、まさに理想的なシナリオと言っていい。

「やっぱり理想は次の試合で活躍できることですけど、まずは地に足をつけて1日1日しっかりいい準備をして、大阪での試合に向かえればいいと思います」と語気を強めた南野が見据えるのは、やはり4年後のカタールW杯しかない。過去2度の挫折を糧にして、彼は世界舞台に立ち、輝きを放てるのか。かつて憧れたロナウドやオーウェンのような存在になるべく、今回の貴重なチャンスを確実にモノにしてほしいものだ。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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