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南野拓実が挑む新たな戦い…手に入れた多彩な武器で日本の“切り札”に

2018.09.06

海外に渡り約3年半、技術を磨き続け日本代表に戻ってきた [写真]=Getty Images

「やっと……」、招集の一報を聞いて南野拓実はそう思ったに違いない。オーストリアで武者修行を続ける23歳がようやく日本代表に帰ってきた。

 高校生でJリーグデビューを飾り、18歳でベストヤングプレーヤー賞を受賞。各年代の日本代表として早くから国際舞台も経験してきた。2015年にはオーストリア・ブンデスリーガのザルツブルクへ移籍し、リーグ4連覇を達成(チームは2013-14シーズンから5連覇中)。南野自身も3年半の在籍で、2シーズン連続二桁得点を含むリーグ戦通算31ゴールを挙げている。

 南野が初めて日本代表に招集されたのは2015年10月のこと。当時代表を率いていたヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「数年後、日本代表にとって効果的な選手になる」と、ヨーロッパでプレーする20歳の若者に期待を寄せた。しかし、実際に与えられた出場機会は2試合で、いずれも85分過ぎからの途中出場のみ。そして、この時を最後に、日本代表のラインナップに「南野拓実」の名前が挙がることはなくなった。

2015年を最後に日本代表に呼ばれることはなかった(写真は2015年、ロシアW杯アジア2次予選シリア戦)[写真]=Getty Images

生き抜くため身につけた変化…多彩な攻めのパターンが結果をもたらす

日本代表からは長く離れたが、思いは常に抱いていた(写真は2017年12月撮影)[写真]=小林浩一

「A代表への思いは強い。そこで早くプレーしたい」

 ロシア・ワールドカップを半年後に控えた2017年12月、南野はそう代表への思いを口にしていた。代表チームから遠ざかっていても、ロシアのピッチを目指す姿勢は変わらない。「活躍して結果を残せばおのずと代表に呼ばれる」——、そう信じて一人、オーストリアで戦い続けた。

 ザルツブルクはヨーロッパ全体で見ると中堅クラブだが、そこにはビッグクラブへのステップアップを目指すポテンシャルを秘めた若者が世界中から集まってくる。レギュラーとして試合に出るためには、練習から気を抜けない。野心的な選手たちによるミニゲームはインテンシティーが高く、喧嘩も日常茶飯事だという。そんな環境に身を投じ、満足に試合に出られない時期もあった。

 では、なぜ多くないチャンスをモノにし、ゴールを決め続けることができたのか? そこにはプレースタイルの変化があった。セレッソ大阪時代はサイドを主戦場としていた。スタイルも持ち前のテクニックを駆使したドリブルやコンビネーションで突破を図り、ゴールを目指すというものだった。しかし、激しくコンタクトされるのが当たり前のヨーロッパでは、たやすく前を向いてドリブルすることはできない。これがプレースタイルを変えた。フィジカルとアジリティーを強化し、攻めのパターンを増やした。

 南野が出場した試合を観ると、バイタルエリアでDFを背負いながらボールを受けるシーンが多く見られる。受けたボールをワンタッチで味方に落とし、自らはゴール前に走り込んでクロスを呼び込む。あるいはボールをキープしながら反転して独力で突破することもある。最前線を任されれば、相手DFと駆け引きしながら裏へ抜け出してシュートチャンスを作り出す。もちろん、サイドに開いてのドリブル突破も選択肢の一つだ。

 2トップの一角、シャドー、トップ下、サイドハーフ……あらゆる攻撃的なポジションを担いながら、プレーの幅を広げた。加えて“ゴール”という形で結果も残してきた。今の南野は前線のどこで起用されても臨機応変にプレーすることができる。

ザルツブルクに移籍して以降、リーグ4連覇を達成。通算31ゴールをマークしている(写真は2016-17シーズン優勝時)[写真]=Getty Images

ようやく立てたスタートライン…激しい競争を勝ち抜きワールドカップへ

今月4日、南野は帰国してすぐ代表チームに合流。7日のチリ戦へ向けトレーニングを行っている

 結局、ロシアW杯出場は叶わなかった。それでも、代表チームが世代交代を迎えた今、「南野拓実」は必要なカードだった。初招集から2年11カ月、森保一監督は南野を日本代表に招集した。

 新生・日本代表は“3−4−2−1”が基本システムになることが予想されている。南野はおそらく1トップの後方、2シャドーの一角を任されるだろう。ポジションを争うのは、中島翔哉(ポルティモネンセ)や堂安律(フローニンヘン)。自身と同様、若くして海外に渡り、結果を残してきたアタッカーだ。だが、自信はある。

「自分の中では常に成長してきた自負がある。それをしっかりアピールしたい」

 オーストリアで結果を残し続けた。リオデジャネイロ・オリンピックやヨーロッパリーグの舞台も経験した。全員が横一線のスタートを切る新たな代表チームにおいて、誰よりも高い壁に挑み続けた。南野にとっては今回で2度目の招集となるが、ここからが本当の代表キャリアの始まりだ。

「一番印象に残っているのはベルギー戦。あと一歩でベスト8に行けなかったのが、自分も観ていて悔しかった。同時に『自分もここに立ちたい!』という思いが強くなった。今回、何かしら活躍することが次のワールドカップへつながると思うので、そこに向けて全力を尽くしたいと思います」

 4日の帰国後、すぐにチームに合流すると、南野は改めてワールドカップへの思いを語った。自分が出場できなかったロシア大会を観戦して、その思いはさらに強くなった。あの舞台に立つために――、7日に行われるチリとの初陣で、南野の新たな戦いの幕が上がろうとしている。

文=サッカーキング編集部

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