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ロシアW杯で代表ユニフォームって売れたの? 販売関係者に聞いてみた!

2018.09.05

ロシアW杯がユニフォーム販売に及ぼした影響とは [写真]=Getty Images

 フランス代表が2度目の世界王者に輝いた「2018 FIFAワールドカップ ロシア」。コロンビア代表へのリベンジやベルギー代表との激闘など、日本代表が見せた激闘の数々に国内でも大きな盛り上がりを見せたことは記憶に新しい。さらに、ワールドカップといえば代表選手たちが身に纏うユニフォームも見どころの1つだ。各国が趣向を凝らしたデザインは大会前から話題となり、メディアでも度々特集が組まれる。

「これまでどんなモデルを発表しても、必ず賛否両論は起こりました(笑)」

 日本代表のオフィシャルサプライヤーを務めるアディダス ジャパンの山口智久氏はそう話す。同氏は日本がロシアW杯で着用するモデル“勝色(かちいろ)”のプロデュースを行った。

 勝色とは、日本の伝統色である深く濃い藍色のことで、武将たちが戦いの際身にまとった鎧下に使われる藍染の生地において、最も濃い一色とされてきた。深く濃い藍を出すために布を叩きながら染めたことから、“叩く=褐(かつ)=勝つ”にかけて、勝利への験担ぎをしていたと伝えられている。伝統的な勝色をユニフォームのベースカラーに用いることで、ジャパンブルーの原点に立ち返り、日本代表の勝利がイメージされている。

 代表ユニフォームは2年に1回のペースでリニューアルされてきた。2017年11月に発表された勝色も、当初は様々な評判が飛び交ったという。加えて、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が突然解任されたことや、テストマッチでの不振などは正直逆風となったと山口氏は話す。

「開幕前から大きく盛り上がっていたブラジル大会のときとは違って、今回のユニフォームの売上は正直厳しかったです。前回大会はチームが成績を出せていたこともあって、サポーターの期待も大きかった。今回はワールドカップ本大会が近づくまでチームの調子が悪かったですし、例の解任騒動もあって期待も薄かったのか、ユニフォームの売上にも影響しました」

 それでも、ロシアW杯が開幕するとその状況は一変した。初戦のコロンビア戦、日本は開始直後に香川真司がPKを決め先制。この1点で波に乗ると、一度は同点とされるも大迫勇也が決勝点をマークし2-1で勝利を収めた。試合後には香川のネーム入りユニフォームの注文が殺到したという。

「もともと人気がある選手でユニフォームも安定して売れていましたが、あの1点でさらに火が付きました。香川選手は開幕前はケガで出場が危ぶまれた中でスタメンを勝ち取り、あの1点を決めた。そして、4年前に大敗した相手にリベンジした。日本代表10番の復活劇がサポーターの皆さんの心に響いたんだと思います」(山口氏)

大会前は厳しかったユニフォームの売れ行きも、香川真司のゴールを皮切りに状況は一変した [写真]=Getty Images

 日本は2大会ぶり3度目のベスト16進出を果たした。決勝トーナメント1回戦のベルギー戦では激闘の末、惜しくも敗れてしまったが、大会期間中から終了直後、さらには現在に至るまで売れ行きは好調だという。また、“日本らしさ”が追及されたユニフォームは、海外でも話題になった。開幕前には大手メディアが実施したユニフォーム特集において、多くの高評価を獲得した。

■アメリカテレビ局「CNN」
同局はロシアW杯ユニフォーム特集企画を実施した際、「ベスト・ユニフォーム」として日本代表ユニフォームを選出。縫い目を表現した“刺し子柄”に注目し、「古くから伝わる刺し子技術を使った縫い目模様が、インディゴブルーによく映えている」と絶賛した。

■イギリス新聞「デイリー・ミラー」
2018年2月、デイリー・ミラーは当時発表済みだった20カ国のホームユニフォームのデザインを独自にランキング化した。日本はイングランド、アルゼンチン、ブラジルら歴代の優勝国を上回る4位にランクインした。

■イギリス新聞「ザ・ガーディアン」
日本代表のユニフォームについて「ブルーを基調としたこれまでのデザインにピンストライプを入れることで魅力的に仕上げている。ファッション家たちから評価されるだろう」と報じた。

 国旗からインスパイアされた代表ユニフォームが多い中、勝色の“日本らしさ”が追及されたデザインが、外国人のハートを射止めたようだ。

 さらに、日本が繰り広げた激闘の余波は、ネット販売にも好景気をもたらした。サッカー専門グッズを取り扱う国内最大級の販売サイト「スポーツウェブショッパーズ(以下、SWS)」によると、上述の香川に加え目立った活躍を見せた選手のネーム入りユニフォームの売れ行きが好調だったという。

「大迫勇也選手、乾貴士選手、柴崎岳選手のユニフォームは人気でした。香川選手や本田圭佑選手、長友選手のように、長年代表を支えてきた人気選手のユニフォームは安定して売れてきましたが、それに加えて活躍を見せた選手たちのネームがプリントされたユニフォームは、試合後に注文が相次ぎました」(SWS販売担当者)

 試合に備えて購入するのではなく、試合で結果を残した後、『記念に欲しい!』と感じて購入するサポーターが大半だったという。

『メモリアルユニフォーム』は胸最上部に“ROUND OF 16”と全試合対戦国名と試合結果、背面には全選手の名前がプリントされている

 また、大会後に同サイトでは、胸最上部にロシアW杯の“ROUND OF 16”と全試合対戦国名と試合結果がプリントされた『メモリアルユニフォーム』を販売した。すると、こちらも記念にと多くの注文が集まり、ワールドカップ関連商品の売上ランキング1位を記録するまでの人気を博した。他にもトレーニングジャージも例年以上の売上を記録するなど、ワールドカップ特需は数字にも表れたようだ。

 9月7日、日本代表はロシアW杯後初の公式戦に挑む。まだ勝色をお持ちでない方は、日本代表の新たな船出を記念して、購入してみてはいかがだろうか?

取材・文=サッカーキング編集部
取材協力=アディダス ジャパンサッカーショップ SWS

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