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【コラム】最終ラインのキーマン・槙野智章に見えた変化、マリ戦で“頼られる”存在へ

2018.03.23

マリ戦前日、試合会場のスタッド・モーリス・デュフランで調整を行った槙野 [写真]=Getty Images

 ハリルジャパンの最終ラインを統率してきたDF吉田麻也サウサンプトン)が不在の中、ディフェンスリーダーとしての役割が求められそうなのが、DF槙野智章浦和レッズ)だ。

 昨年11月のブラジル戦翌日に、こんなことを言っていた。

「ディフェンスリーダーとして吉田選手が引っ張って行く中で、頼りっぱなしの部分がありました。でも、自分が入ったからには全体をオーガナイズする、鼓舞する、ラインの上げ下げなど、自分にできることをしっかりやるつもりではいる。もっとやらなければいけないことがたくさん見えた試合だった」

槙野智章

ブラジル戦での唯一の得点者は槙野、しかし守備では3失点を喫した [写真]=Getty Images

 今回のように吉田を欠く状況は本大会中でもあり得る。頼れる相棒がいない中で、どういった働きをするのか。マリ、ウクライナとの対戦は、真価を問われる2連戦になる。

 当然、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の要求は高まるはず。槙野はそれを自覚した上で、「今回選ばれている選手たちで何ができるのか。そして、吉田選手がいない中でどういう変化を加えられるか。そういうところを出していかないといけない」と守備陣を引っ張っていくつもりでいる。

 “仮想セネガル”、“仮想ポーランド”とされる2試合でベースとなるのは、ベルギー戦で見せた11人が連動した守備だ。完敗したブラジル戦直後に整理した「前からプレスに行く、行かない」の状況判断を今回も共有できるかがポイントとなる。

「本戦を見据えれば、守備に回る時間帯が多くなる中で、いかに自分たちがアクションを起こしていけるか。ベルギー戦のようにボールを奪いに行く姿勢や、前からプレスを掛けに行く時間帯を増やしていきたい」

 槙野は「いかにまとまって守れるか」がテーマになるという。「本戦を考えれば、力のあるエースストライカーがどの国にもいる。一番大事な役割は相手のエースを抑えること」としながらも、一人で戦うわけではないと説く。目の前の相手を止めることはもちろん大事だが、意思疎通ができていない状況で一人がプレッシャーを掛けに行ってしまっては、ブラジル戦のように守備ラインのギャップを突かれて攻め込まれてしまう。ベルギー戦のような組織的な守備を構築するためにも、槙野にはリーダーシップが求められる。

槙野智章

ピッチ上で鼓舞する声はスタンドの記者席まで聞こえるほどだ [写真]=Getty Images

「後ろ(守備)の選手から前(攻撃)の選手を動かすことが大事になってくる。年齢も多少上になってきているので、できるだけ周りの選手を鼓舞したり、常に声をかけるようにしています。声を出すことで、自分にもいいプレッシャーを与えている」

 練習後に話を聞きながら気になったのは、「本戦」というフレースが増えた点だ。昨年10月からレギュラーに定着したことで、ロシアのピッチに立つ自分の姿をより想像しやすくなったのか。「選ばれるために」から「本大会で勝つために」という意識が強くなってきたように感じた。「自分に求められることや、自分がやらなくてはいけないという責任感が増してきている」。今回の遠征において最終ラインのキーマンであることは間違いない。

取材・文=高尾太恵子

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