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大会名称がリニューアル、12月に東京で開催する「E-1 サッカー選手権」とは?

2017.10.31

前大会の2015年までは「東アジアカップ」として開催。2013年大会には男子日本代表は優勝を果たしている

 12月8日、味の素スタジアムとフクダ電子アリーナを舞台に『EAFF E-1 サッカー選手権』が開幕する。

 サッカーファンであっても「そんな大会あったっけ?」という方も少なくないと思うが、前回までの大会名称である『東アジアカップ』、あるいはさらにその前の大会名である『東アジア選手権』ならばピンと来るかもしれない。東アジアサッカー連盟の主催で行われるこの大会は、男女の東アジア王者を決すると同時に、参加各国の友好親善を目的として2年に1度のペースで開催されている。

 東アジア連盟に加盟するのは日本、韓国、中国、北朝鮮、モンゴル、香港、チャイニーズタイペイ、グアム、マカオ、北マリアナ諸島の10協会(モンゴルは男子のみ参加)。2017年大会は男子が日韓中の三カ国、女子が日中朝の三カ国が決勝大会にシードされており、これに予選を突破してきた男子の北朝鮮、女子の韓国が加わる形でそれぞれ4カ国の総当たり戦という形で実施される。男子は味の素スタジアムを舞台に9日・12日・16日に、女子はフクダ電子アリーナを舞台にして8日・11日・15日の日程で開催される。日程の重複はないため、時間と気合いがあれば全12試合すべての観戦も可能となっている。もちろん、フジテレビ系列にて全国中継もされるので、そちらで応援するのも当然“あり”だ。

 男子についての大会の大きなポイントは、この日程がインターナショナルマッチデーと呼ばれる代表招集に関して各国協会が権利を持っている、つまり所属クラブが嫌がったとしても選手を連れて行ける日に該当していないことだ。このため、リーグ戦の真っ最中である欧州主要リーグに所属する選手たちの招集は実質的に不可能で、各国ともにそれぞれの国内リーグおよび東アジア各国リーグでプレーしている選手たちを集めての代表編成となる。日本のように代表主軸が欧州組で占められている国は必然的にベストオーダーを組めないことになるが、近年の日本代表はこれを逆手にとって「絶好のテストの場」と位置付けてきた。

 特にW杯前年に行われる今大会は国内でプレーしている選手にとっては“ラストアピール”場と言っていい。4年前の13年大会で、柿谷曜一朗や山口蛍が印象的な活躍を見せて日本が初優勝を飾り、彼ら二人がそのまま翌年に行われたブラジルW杯のメンバーに滑り込んだのは象徴的な出来事だった。05年大会からも翌年のドイツW杯にFW巻誠一郎という“サプライズ”が誕生しており、こうした滑り込みを狙う選手にとってビッグチャンスの大会と言える。またハリルホジッチ監督にとっては当落線上にいる国内組の選手たちを見極める最終機会となるわけだ。欧州遠征のメンバーが発表されたばかりだが、ここから外れている選手についても“ワンチャンス”は十分にあると見る。

 こうした事情は韓国についても共通する部分が多く、彼らのモチベーションも高いはずで、逆にベストに近い陣容がそろえられる中国や北朝鮮は相手にとって不足なし。腕試しとしては格好の対戦相手と言えそうだ。

 日本を舞台に始まる東アジアの争覇戦。開催国としての威信を懸けて臨む大会であることは言うまでもなく、そうしたプレッシャーもある中での国際舞台で“新戦力”としてのブレイクスルーを披露する選手が出てくるのかどうか。それはそのまま来年のロシアW杯における日本代表の成否を占う材料ともなりそうだ。

文=川端暁彦

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