CKに頭で合わせ、先制点を奪った小川。試合後は「流れの中からゴールが欲しかった」と悔しさも見せた [写真]=三浦彩乃
普段通りの戦いをすれば、おのずと結果は出る。口で言うのは簡単だが、誰もができることではない。特に大舞台は独特の緊張感が漂うものだ。
しかし、FW小川航基(ジュビロ磐田)に気負いは感じられない。15日に行われたホンジュラスとの親善試合、背番号9は先制点を決めて、またも勝負強さを見せつけた。12日の練習試合(対ジュビロ磐田)に続く2試合連続ゴール。好調を維持し続けている。
U-20ワールドカップ開幕がいよいよ迫ってきた中で、初戦のポイントを聞かれた小川はこう答えた。
「硬くなるのは間違いないので、それを自分がいかに和ませられるか。自分は平常心を持ってやれるという自信があるので、周りを和ませたり落ち着かせる役割も自分がやらなくてはいけない」
てっきり、「まずはしっかりとした守備から入って」とか「先制点を取ること」といった回答が出てくると思っていたので少々驚いたが、平常心こそがゴール前での瞬時の判断や勝負強さを支えている1つの要素だろう。そして、仲間たちも普段通りの力を発揮することができれば、1つずつ勝ち進めると信じているのだ。
浮き足立ったり、ミスから冷静さを失ったり……。プレッシャーのかかる試合で平常心を保つことは簡単ではないが、小川は「いつも通りやれるのが自分の強み。緊張して硬くなったという記憶はないですね」と言って、にっこりと笑う。
日本にとって5大会ぶりとなる世界舞台。久保建英(FC東京U-18)や岩崎悠人(京都サンガF.C.)などのライバルがいる中で、「自分が得点を取って、絶対的な存在感を出していかないといけない」とエースストライカーとしての自覚も増してきた。
「優勝を狙っていきたいです。サッカーは何が起こるか分からないので、実力差があっても勝つチャンスはあると思う。『ジャパンやるな』というところを見せたいですし、その中心にいられるようにプレーしたい」
たとえ、チームがガチガチに硬くなっていたとしても、平常心で前線に構えるエースがゴールを決めて、緊張から解き放ってくれるだろう。
取材・文=高尾太恵子
By 高尾太恵子
サッカーキング編集部