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【コラム】勝利必須のサウジ戦、攻撃のキーマンは原口元気…最終予選4試合連発なるか

2016.11.14

W杯最終予選3試合連続ゴール中の原口元気 [写真]=JFA

 2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア最終予選の最重要局面と言っても過言ではない第5戦・サウジアラビア戦(埼玉)がいよいよ15日に迫ってきた。

 決戦前日の日本代表は17時半から埼玉スタジアムで最終調整を実施。メディア公開された冒頭15分間は25人全員が元気にランニングやアップをこなしていた。その後、戦術確認を徹底した模様だが、気になるのは、11日のオマーン戦(鹿島)で低調なパフォーマンスを見せてしまった本田圭佑(ミラン)と右足首負傷が癒えたばかりの香川真司(ドルトムント)、風邪が治った長友佑都(インテル)の処遇だ。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は公式会見で「誰を選ぶかという質問をみなさんしたいと思っているだろうが、日本は組織プレーが長所。個人で試合に勝つわけではないので、経験、自信というものも必要になる」と発言。本田らベテランの出場可能性があることを示唆した。

 GK西川周作(浦和レッズ)、右サイドバックの酒井宏樹(マルセイユ)、センターバックの吉田麻也(サウサンプトン)と森重真人(FC東京)、ボランチの長谷部誠(フランクフルト)と山口蛍(セレッソ大阪)、2列目左の原口元気(ヘルタ・ベルリン)の7人は当確と言えるが、それ以外のポジションはまだ流動的。指揮官もギリギリの段階まで最終決断を持ち越すのではないか。

 いずれにしても、攻撃陣に求められるのは、ズバリ、ゴールしかない。その期待を一身に背負うのが、9月のタイ戦(バンコク)、10月のイラク戦(埼玉)、オーストラリア戦(メルボルン)と最終予選3試合連続ゴール中の原口だ。4連続ゴールとなれば、日本代表史上初。前回のオーストラリア戦でPKを与えるミスを犯したこともあり、本人は「前回、得点もしましたけど失点にも絡んでしまったので、もう1回、自分の力でポイントを取りたい。勝ち点3を取る1人としていい役割をしたい」と意気込みを新たにしていた。

 これまでの得点パターンを見ると、タイ戦とイラク戦のゴールはクロスに合わせる形で、オーストラリア戦は本田のスルーパスに反応してゴール前に走り込み、GKとの一対一を冷静に蹴り込む形だった。

「(得点の)バリエーションが増えたのはいいこと。大迫(勇也=ケルン)選手が入ることによってまた違う攻撃ができると思う。彼は誰よりもボールが収まる選手なので、彼に入った時の飛び出しは生きるかな」と原口はサウジ戦の得点イメージの一端を明かしたが、最前線に大迫が入るにしても、岡崎慎司(レスター)が入るにしても、この男が持ち前のスピードを生かして推進力を前面に押し出すことがゴールへの近道と言っていいはずだ。

 左サイドに入るであろう原口の対面には、サウジの右サイドバック、ハッサン・ムアト・ファラタ(アルシャバブ=12番)が入ると見られる。この選手は非常にアグレッシブに前へ出てくるタイプで、攻撃力にはチームとして細心の注意を払わなければならない。が、逆に原口にしてみれば、その背後を突きやすくなるのは確かだ。

「対面の相手に負けない気持ちの強さであったり、最後まで走るところであったり、そういう1つ1つにこだわることが勝利につながる」と彼自身も強調していたが、背番号8がサウジアラビアの4バックの裏を取れれば、相手守備陣は確実に混乱する。マークが後手後手になって中央や逆サイドのスペースが空いてきて、そのまま仕留められれば原口がアシストを記録できるし、こぼれ球を拾えれば4試合連続ゴールという結果にもつなげられる。いずれにしても、彼が急先鋒となって、グイグイと攻撃陣を押していくことが、日本勝利の絶対条件なのだ。

「自信を持って味方を信じてやればチャンスは来ると思う。自分はこのチームではFWなので、ゴールにより近くて自分も楽しみ。結果的に(ゴールが)入ればいいし、勝てばいいので、そのための1人になればいいと思います。ただ、変な話、取らなくても勝ちたい。そのくらい重要な一戦かなと思いますね。2点差以上で勝てれば、サウジを抜くことができる。いい形で勝って、この雰囲気を何とか変えたいと思います」と彼は得点源としての強い自覚をのぞかせつつ、黒子になる覚悟も示していた。

 ここまでチームを救い続けてきた原口がこれまで以上の輝きを示し、勝利に直結するプレーを見せてくれれば、日本のサウジ撃破、B組2位以内浮上も見えてくる。そのために、持てる力の全てを出し切ってほしいものだ。

文=元川悦子

By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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