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「最高の準備」がもたらした“最高の一歩目” U16日本、大量7発で初戦圧勝!

2016.09.17

U16日本、久保建英(9番)の2ゴールなどでベトナムに圧勝。“最高の一歩目”を踏み出した [写真]=JFA

 日本時間の16日から17日にかけてAFC U-16選手権のグループステージ第1戦が行われ、日本はFW久保建英(FC東京U-18)の先制FKを皮切りに大量7得点を奪ってベトナムに圧勝。世界切符獲得とアジア制覇に向けて最高のスタートを切った。試合前、森山佳郎監督は「最高の準備ができたんだから、思いっきり暴れてこい」と選手を煽ってピッチに送り出したという。だがさすがに、「これほどの大差になるとは思っていなかった」と笑顔を浮かべた。

 序盤はチームとして手堅く入りながらのゲーム運び。これは想定内で、奪われてもすぐに奪い返す組織的な守備と個人の球際での頑張りがよく噛み合っていたことで、徐々に試合の主導権を牛耳ると、16分に最初のゴールが生まれる。FW宮代大聖(川崎フロンターレU-18)がもぎ取ったゴール正面右寄りの位置からのFK。キッカーの久保の狙い澄ました一撃は、「初得点だったし、しかも綺麗に決まったのでスッとした」という弾道を描いて、待望の先制点が生まれる。

 こうなると試合は完全な日本ペース。MF平川怜(FC東京U-18)とMF福岡慎平(京都サンガF.C.U-18)の両ボランチを軸にゲームをコントロールすると、24分には平川の守備での頑張りが起点となっての攻めから、福岡が裏に飛び出す形で2点目。さらに40分にはスローインからの反転シュートを宮代が鮮やかに突き刺して、3-0。「前半の内に(ベトナムの選手に)『後半は難しいな』と思わせることができた」(森山監督)。後半は戦意の落ちたベトナムに対して、選手を温存しながらも、なお一方的な試合展開に。51分に福岡がこぼれ球を押し込めば、64分には久保が相手GKの意表をつくシュートを流し込み、71分には交代出場で「何かやってやろうと思っていた」というDF監物拓歩(清水エスパルスユース)が久保のFKに頭で合わせて追加点。そして85分にはFW山田寛人(セレッソ大阪U-18)が平川の絶妙なスルーパスに抜け出し、7点目を決めてゴールラッシュを締めくくった。

 ベトナムを完全に上回っての圧勝。何もさせなかったと言っても過言ではない。久保が「気の緩みなくやれた」と振り返ったように、守備の戦術的規律が最後まで乱れることなく、やり切ったゆえの完勝だった。それができた要因はコンディショニングだろう。「シミュレーション遠征で来たときは体重が減るわ、体調を崩すやつが続出するわという状態だった」(森山監督)ということを踏まえ、十全の対策を練った。日本から炊飯器を持ち込むなど、食事面でも対応。衛生面にも細心の注意を払った。

「メディカルのスタッフ、コンディショニングコーチが素晴らしい仕事をしてくれた。今日(試合日)の朝の時点で体調不良はゼロ。スタッフの力を結集して、最高の準備ができた」(森山監督)

「初戦は絶対に大事」(宮代)と選手もスタッフも気を配って迎えたこの試合。心理面を含めての準備は万端で、試合に入ってからは集中を切らすことなく戦い抜いた。斎藤俊秀コーチは「まだまだスタートですから」と言って笑ったが、一歩目を踏み出さないことには二歩目もない。最高の一歩を踏み出した00ジャパンが、アジア制覇、そして世界の海原を目指して進撃する。

取材・文=川端暁彦

By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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