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ブラジル4部相手に“想定通り”の苦戦…手倉森監督、五輪では「耐えて勝つ」

2016.07.28

ブラジル到着後初の対外試合を終えた手倉森監督(写真は国内合宿) [写真]=JFA

 アラカジュ合宿6日目となる27日、オーバーエイジ枠選手3人を組み込んで迎えた初の練習試合は、サッカー王国ブラジルの「王国」たるゆえんを見せつけられたゲームになった。

 対戦相手はブラジル4部リーグに所属する地元クラブのC.S.セルジェッペ。開始1分にMF遠藤航浦和レッズ)、MF中島翔哉(FC東京)、FW興梠慎三(浦和)と渡ると、興梠がループ気味のシュートを放つ。飛び出してきた相手GKの頭上を越えて先制点が決まった時には、リオデジャネイロ・オリンピック日本代表の大量リードを予感させた。しかし結果は、1-1のドロー。むしろ、前半は4部リーグの相手に押し込まれ、まるで主導権を握れなかった。

 苦戦の要因となったのは、前線のコンビネーションにおけるミス。興梠にパスを当ててからフリックやワンタッチパスで打開を試みようとするものの、そこでミスを連発し、シュートまで全く持ち込めない。

 2日前の練習後、手倉森誠監督は「慎三が入って“足元に収めてから”というのが多いのは嫌。もっと裏への意識が必要」と懸念していたが、FW浅野拓磨(アーセナル)までもフリックやヒールキックを試みてミスをするなど、そのとおりの内容になってしまった。

 ようやくリズムを取り戻したのは、前半の終盤だった。DFラインのDF岩波拓也(ヴィッセル神戸)がロングボールで浅野を走らせることで、押し戻していった。さらに後半、選手を7人入れ替え、フォーメーションを[4-4-2]から[4-3-3]に変更。MF原川力川崎フロンターレ)、DF室屋成(FC東京)、MF矢島慎也ファジアーノ岡山)、中島を中心に右サイドから攻略。ようやく五分の展開に持ち込んだものの、1-1の引き分けに終わった。

 もっとも、指揮官は苦戦を織り込み済みだ。試合後には「コンディショニングを整えながら大会に向かっているところで、今の自分たちのコンディションを知ろうというなかで、こんなものだろうなと感じている」と振り返っている。

 日本から地球の反対側まで約31時間かけてやってきて、ここまでオフはなく、二度の二部練習を行なって体をイジメている最中。「今が一番キツい」(原川)状態で、全体的に体が重く、運動量も少なかったのだ。

 攻撃に関しての最大の改善点は、興梠の使い方だ。前述したように、興梠を活かそうとするあまり、“くさび、ワンタッチ、ワンタッチ”のパターン一辺倒になってしまったのだ。所属する浦和で普段、興梠とともにプレーする遠藤が説明する。

「慎三さんの良さはテンポ良くボールを動かすことなので、それはいいと思います。でも、タメを作ることも必要。試合後、慎三さんも『もうちょっと時間を作るプレーを前でしたい』と話していたので、ブラジル戦で改善できればと思います」

 一方、守備に関しての改善点は、ブロックを敷く時と前から(プレスに)行く時の使い分けを共有することだ。再び遠藤が指摘する。

「今日はブロックを敷いた中で守ることを試していて、そこはある程度はできたと思う。今度はもう少し前からプレスをかけたなかで、どういうプレーができるのか、試したいと思います」

 あくまでも今は準備段階で、コンディションを整えながら、コンビネーションを確認する時期。ここで良い内容の試合を演じることに意味はなく、課題はたくさん出たほうがいい。思い出されるのは2006年のドイツ・ワールドカップだ。本番前に行われたドイツとの親善試合で最高の内容でドローゲームを演じたが、ピークがこの試合に来てしまい、本番では惨敗してしまった。手倉森監督は言う。

「もっとやられてもいいんじゃないかと思っていた。俺はこの大会、“耐えて勝つ”というのをテーマにしているから、辛抱させられるゲームが続けばいいな、と思っている」

 この後、リオ五輪日本代表は30日(日本時間31日午前4時30分)に中部ゴイアニアでブラジル代表との国際親善試合を行い、8月4日(日本時間5日午前10時)に北部マナウスでナイジェリアとのリオ五輪初戦を迎える。

文=飯尾篤史

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