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リオ五輪で求められる我慢強い守備組織…OAとの連携強化へ植田が吠える

2016.07.26

アラカジュ合宿の練習で南野(右)と競り合う植田(左) [写真]=JFA

「上げろ! 上げろ!」「そこ、行け!」

 センターバック(CB)の植田直通(鹿島アントラーズ)がジェスチャーを交えながら、コーチングの声を響かせる。リオデジャネイロ・オリンピック日本代表のアラカジュ合宿のひと幕だ。

 ブラジル入りしてからの練習4日目。2日目に続いて2度目にして、おそらく最後になるはずの二部練習が行われた。

 10時からスタートした午前練習では、体幹トレーニング、ボールを使って体を動かしたあと、ハーフコートで9対9を行い、その後2対2、3対3へと移行。シュートを打ったあとすぐさま攻守が入れ替わり、順番も次々と回ってくるため、見ていて選手たちがキツそうなのが手に取るように伝わってきた。

 午後練習ではより実戦に近いメニューが組まれた。左右からクロスが次々と放り込まれ、ペナルティエリア内に特化した攻防が行われると、その後、GKを含めた10対10のハーフコートゲームを敢行。冒頭のシーンは、このときのものだ。

「ピッチに入れば年なんて関係ないし、今まで僕が最終ラインとしてやってきたこともある。オーバーエイジ(OA)の人たちは経験があるかもしれないですけど、ここでのサッカーはあまりやっていないから、息を合わせていかないといけない。それにはまず僕が、積極的に声を出していければいいと思っています」

 ディフェンスラインを組んだOAの藤春廣輝(ガンバ大阪)や塩谷司(サンフレッチェ広島)に臆せず指示を飛ばした植田は、きっぱりと言った。

 トレーニング中、手倉森誠監督が気にかけていたひとつが、DF間の距離である。「横がコンパクトになり過ぎている。そこは少し是正しなきゃいけない」と指揮官が指摘すれば、藤春も「ガンバではサイドバックが中に絞ってCBをカバーできるポジションを取るんですけど、ここではあまり絞らないというか、時と場合によりますが、人がいなかったら絞らずに外をしっかり、と言われました」と、所属クラブとの違いを認識。手倉森ジャパンの守備スタイルを頭と体に必至に叩き込んでいた。

「この時期にこういう練習をするということは、テグさんは守備に回る場面を想定しながらやっているのかなと。そういうときに守り切る力がCBになければ相当苦しくなる。そういう意味で、今日みたいな練習はディフェンスの選手にとってすごく重要だと思いながらやっていました」

 クロス対応や、サイド攻撃への対応をみっちり確認したことについて、塩谷が指揮官の狙いをくみとって説明する。

 リオデジャネイロ・オリンピックでは「押し込まれ、守らなければならない状況が6割方続く」と手倉森監督は読む。興梠慎三(浦和レッズ)を基準点にしたスピーディな攻撃で相手の隙を突くためにも、劣勢に耐えうる強固な守備組織を築き上げる必要がある。OAを組み込んだ守備における連係の構築は、この先も最重要テーマになっていく。

 ちなみに、午前練習の最後にはPK戦が行われた。GKは櫛引政敏(鹿島アントラーズ)、中村航輔(柏レイソル)、杉本大地(徳島ヴォルティス/バックアップメンバー)の順番で守り、前日に続き、発熱のために静養を取った大島僚太(川崎フロンターレ)を除く全選手がビブス未着用組とビブス組とに分かれて戦った。

 未着用組の1人目、遠藤航(浦和)が櫛引に止められると、ビブス組の1人目、中島翔哉(FC東京)も中村にセーブされる波乱の幕開け。その後、両チームとも6人目まで成功したが、未着用組の7人目、浅野拓磨(アーセナル)のキックが左ポストを叩くと、ビブス組の7人目、室屋成(FC東京)のキックも中村に止められる。勝敗はサポートメンバーに委ねられたが、ビブス組の9人目、渡辺皓太(東京ヴェルディユース)のキックが杉本に阻まれ、決着が着いた。

 リオ五輪日本代表は、現地26日に午後1回の練習を行い、翌27日に練習試合で地元クラブのC.S.セルジェッペと対戦。30日(日本時間31日午前4:30)には中部ゴイアニアでの国際親善試合でブラジル代表と戦い、8月4日(日本時間5日午前10:00)に北部マナウスで行われるリオ五輪初戦でナイジェリアと激突する。

文=飯尾篤史

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