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腰痛は「なるがままに」…いち早くチームに溶け込んだOA興梠の現在地

2016.07.21

フルメニューを消化した興梠。合流前には同じくOA組の塩谷、藤春と食事会を行ったという [写真]=野口岳彦

 オーバーエイジとしての強烈な覚悟を胸に抱いて五輪代表チームに合流した興梠慎三浦和レッズ)。霜田正浩ナショナルチームダイレクター(ND)が「(オーバーエイジの3人は)おとなしいですけど、年下とやるのは十分に慣れている。頼りになるヤツらなので、チームを引っ張ってくれると思います」と信頼を寄せたとおり、いち早くチームへ溶け込むことに成功した。

 19日の合流初日は宿舎で同じくオーバーエイジの塩谷司サンフレッチェ広島)とともに、岩波拓也ヴィッセル神戸)や亀川諒史アビスパ福岡)らとニンテンドーDSで『ボンバーマン』に興じ、コミュニケーションを深めた。初日の練習後には「結構おとなしい選手がいるので、嫌われない程度に関われれば」と話していた興梠だったが、20日の練習後に岩波が「俺はオーバーエイジの人へのゴマスリで大変。一日目にしては仲良くなりすぎたかな」と笑顔で話すほど親睦を深めた様子だ。当の興梠も「岩波は誰とでもしゃべることできて、性格的に俺に似ているって言うか。面白いやつだなと。大島(僚太/川崎フロンターレ)くんもかわいいですけどね。ホントに静かだから、何か裏があるんじゃないかと思って引き出しているんですけど、なかなかしゃべってくれない」と笑う。

 もっともピッチ上における自分の立場や役割は明確に理解している。

「オーバーエイジ枠は即戦力で、何かをやらなければならない立ち位置。今大会にはそれを承知で臨みます。緊張感は(日本代表と)一緒だけど、置かれている立場が違う。ただ、チームでやっていることが評価されて呼ばれていると思うから、日頃やっていることをやればいい。プレッシャーを自分でかけ過ぎるのも良くないので、いつもどおりのプレーをすることが一番大事だと思います」

 五輪代表チームの集合直前に行われた明治安田生命J1リーグ・セカンドステージ第4節大宮アルディージャ戦で腰痛を発症し、痛みを抱えながら合流することになってしまった興梠。「痛みはあるけど、走るぶんには問題ない」としながら、国内最後のトレーニングとなった20日の練習後には「明日には治っていてほしいですけどね」と率直な心境を吐露した。

 ただし、まだまだ調整に充てる時間は十分にある。実際、国内での練習は手倉森誠監督もJリーグで3連戦を消化してきた選手のコンディション回復を重視していた。21日にロンドン経由でブラジルへと旅立つことになるが、興梠は特に腰痛対策のアイテムは準備せずに出発するという。出発を翌日に控えた興梠は「なるがままに。向こうに着いてからも治療する時間はあると思いますし。あとはなるべくブラジル時間に合わせて寝たりすることが一番大事かな」といつもどおりの冷静な口調で今後の見通しを語った。

 では、チーム戦術へのフィットについてはどうなのか。興梠は五輪代表における自身のプレーについて、「戦術に関しては(周りに)合わせてほしいというよりは、合わせるほうなので難しいことではないかなと思う。自然とフィットしていくんじゃないかと自分では思っています」とポジティブな姿勢を見せる。手倉森誠監督はコンディショニングを最重要視しており、オーバーエイジの融合に関しても「コンディションが整えば、融合のスピードも早まる」と語っている。興梠の早期回復とコンディション上昇を期待しているのは言うまでもないだけに、少しでも早く万全の状態に戻ってもらいたいところだ。

 霜田NDはオーバーエイジの3人が加わった五輪代表チームについて、「現地に行ってからもっと固まる。いいチームになると思います」と語った。チーム最年長の興梠がその中心になるべき選手であることは間違いない。長時間のフライトを経て到着したブラジルの地で、果たして興梠はいかなる存在感と復活劇を見せてくれるのだろうか。

文=青山知雄

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