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ハリルが起用明言…紆余曲折を経た守護神・川島、1年ぶりの代表戦で定位置奪回へ

2016.06.01

6月1日にトレーニングを行った川島。3日のブルガリア戦で先発する見通しとなった [写真]=兼子愼一郎

「GKに関しては永嗣(川島=ダンディー・ユナイテッド)はおそらくプレーする可能性が高い。彼も厳しいトレーニングを積み、我々とのディスカッションを重ねてきた。彼は野心、厳しい気持ちを持って、先発を奪いたいという姿勢を見せてくれた」と日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が6月1日の公式会見で語ったように、3日のキリンカップ初戦・ブルガリア戦(豊田)で、2010年南アフリカ、2014年ブラジル両ワールドカップに出場したベテラン守護神・川島のスタメン復帰が確実になった。

 彼が代表戦のピッチに立つとなれば、2015年6月の2018 FIFAワールドカップロシア アジア2次予選初戦・シンガポール戦(埼玉)以来、1年ぶりとなる。ご存じの通り、その間の彼はクラブ探しに難航して無所属となり、日本代表からも遠ざかる苦渋を味わった。1月からスコットランド1部のダンディー・ユナイテッドに正式合流し、3月のアフガニスタン・シリア2連戦(ともに埼玉)で代表復帰を果たしたものの、出番なしのままだった。加えて所属クラブの2部降格が決定。ここまでの紆余曲折を味わう選手はそうそういないといっても過言ではない。

 それだけに本人のこの一戦へのモチベーションは誰よりも高い。「自分が出ることになれば久々のチャンスになるんで、自分らしくプレーしたいと思うし、やはり代表に賭けてきた思いがあるので、日本代表という場所にしっかり貢献できるようにすべてを注ぎたい」と川島は1日の非公開練習後、秘めた思いを口にした。

 しかしながら、指揮官が「誰が優先順位の1番かは決めていない。最終予選に向けてまだまだ発展がある。おそらく9月3日(最終予選初戦・UAE戦=埼玉)に優先順位が決まる」と語気を強めたように、今回のスタメン復帰は本格的ポジション奪回への重要なテストとなる。2015年3月のハリルホジッチ体制発足後は、2次予選6試合出場の西川周作(浦和レッズ)、昨年8月の東アジアカップ・中国戦(武漢)で初キャップを飾り、3月のアフガニスタン戦でもプレーした東口順昭(ガンバ大阪)と彼の3人が出ているが、現状では川島と西川が互角に位置づけられている模様だ。国際経験では圧倒的に上回る川島と言えども、ここで信頼を失ってしまえば、最終予選はベンチに縛り付けられる可能性もゼロではない。この一戦の出来によって彼の今後が大きく左右されるのは間違いなさそうだ。

 しかも、川島にとってブルガリアというのは因縁の相手である。2013年5月に同じ豊田スタジアムで対戦した時には、開始3分の直接FKを筆頭に、2つのリスタートから失点して0-2で苦杯を喫したのだ。とりわけ序盤の失点には本人も試合後「直接FKの失点シーンは無回転でしたし、難しいボールではあったけど、開始直後だったし、あそこで止めなければ意味がない。ああいう形で失点してしまったのは自分の責任だと思います」と悔しさを露わにしていた。

 その苦い経験は、今も彼の脳裏に焼きついて離れないようだ。

「3年前(のブルガリア戦)は自分たちがゲームをコントロールできなくて、90分間の中で消化不良に終わった部分もあった。今回はヨーロッパスタイルの相手とプレーするのも久々になりますし、予選でやっていた自分たちのサッカーと違う部分がある。自分たちがゲームの中でチャレンジしていかないといけない部分も出てくるので、消極的にならずに、攻撃でも守備でもつねにアグレッシブに仕掛けていければいいのかなと思います」と川島は過去の教訓を生かしたプレーを心掛けていくという。

 豊田スタジアムはブルガリアに敗れた因縁の地でもあるが、かつてプレーした名古屋グランパスの本拠地というアドバンテージもある。「ここはグランパスの時にやっていて、いい印象もある。そのいい記憶を自分の中で思い返しながらやりたいと思います」と本人も前向きにコメントしていた。そうやって物事をポジティブに捉え、前進しようとするのが川島永嗣という男の絶対的強味と言える。

 今回は攻撃陣の絶対的リーダーである本田圭佑(ミラン)の欠場が決まっている。だからこそ、川島にはこれまで以上のリーダーシップも求められるところ。1年間の苦悩も含め、これまでの経験と蓄積を結集して、チームに落ち着きと自信をもたらし、GK争いをより熾烈にしてほしいものだ。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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