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若手世代の逆襲へ…初招集の2人、小林祐希と大島僚太が見せる“ギラギラ感”

2016.05.30

A代表初招集を受けた小林祐希(中央)。合宿初日では同世代の宇佐美らと談笑する場面も [写真]=三浦彩乃

「この5年間で本田(圭佑=ミラン)や真司(香川=ドルトムント)が海外に行ったが、彼らを超える日本人選手が出てきていない」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が言えば、「もっと若い20歳前後くらいの選手が(出てこないと)ね。僕らの世代もそのくらいの年齢で出ているし」と香川が珍しく苦言を呈した通り、日本代表の世代交代の遅れは以前からの大きな問題となっている。今回のチーム最年少である21歳の浅野拓磨(サンフレッチェ広島)はすでに欧州組合宿から参加しているが、A代表初招集の小林祐希(ジュビロ磐田)と大島僚太(川崎フロンターレ)はキリンカップに向けた30日からの全体合宿初日からの合流となった。若手2人がフレッシュな空気をいかに吹き込むか。彼らの一挙手一投足が大いに注目された。

 しかしながら、この日は2016明治安田生命J1リーグの試合翌日ということもあり、国内組がランニングと体幹トレーニングのみ。欧州組は5対5などボールを使ったメニューも盛り込まれたが、本田が左ひざ裏に違和感を訴えて全体ミーティング直後に引き上げるなど、新顔2人にとってはやや拍子抜けする初日だったかもしれない。

 それでも、小林祐希の方は、同じ92年生まれのプラチナ世代・宇佐美貴史(ガンバ大阪)らと談笑しながら走る余裕をのぞかせた。「もともと知っている選手なので、気を遣って話しかけてくれたのかな」と10代の頃からともに日の丸を背負ってきた親友に感謝した。

 初対面のハリルホジッチ監督からは熱さを感じたと言い、「その熱さに応えるくらいの熱さで返さないと。プレーの質うんぬんとかいろいろあるけど、それ以上に勝ちたい気持ちとか、やっぱり熱ですよね。サッカーに対する思いを出していけばいい」とまさに本田の若かりし頃を彷彿させる「圭佑節」ならぬ「祐希節」で、まずはインパクトを残した。

 ミラノで食事したという本田も「恐れずにしっかりと発言するところは少し自分の若い頃にだぶる」と語っていた通り、おとなしい若手の多い中で、彼の物怖じしない姿勢と自己主張はやはり異彩を放っている。本人もそのメンタリティを最大の武器だと自覚している様子で「この25人の中でオレが一番下だと思っているけど、自分の能力を大舞台で誰が出せるのかといったら、自分の主張ができる選手とか、自信がある選手とか、ギラついている選手だと思う」とキッパリ。得意のFKについても「直訴します」と声高らかに宣言してみせた。

 一方の大島は、小林祐希のようなビッグマウスではなかったものの1、2年前の消極性はすっかり陰をひそめ、報道陣の質問にも相手の目を見て堂々と応えていた。

笑顔で取材に応じる大島僚太 [写真]=三浦彩乃

笑顔で取材に応じる大島僚太 [写真]=三浦彩乃

「自分自身は何でもできるようになりたいと思ってやっています。ハリルホジッチ監督からも守備のところはまず向上しなければいけないと言われたんで、そこをクリアしていきたい。球際の部分も全部バチンと当たるのが全てじゃないとは思っているんで。ただ、当たらなければいけないところは当たらなければいけないですし、ボールを取るのもいろんな方法があるので、考えながらやりたい」と最大の課題から目を背けることなく真っ向から向き合っていく覚悟を示した。

 その球際の部分について、昨年7月にドルトムントの一員として川崎の大島と対戦した香川が「技術はすごくあると思ったけど、やっぱり球際のところはすごく足りないのかなとあの試合では感じた」と厳しい評価を下していた。が、大島はこのネガティブな見方を覆そうと今、躍起になっている。

「香川選手には単純に2点取られていますし、対戦して悔しかった思いはあります。でも僕がそのまま成長してないかといえば、そうじゃないと思っているんで。この1年くらい経ってどれくらいなってるのかなっていうのを確認できるいい機会かなと思ってます」と大島は“ギラギラ感”をにじませた。こうやって感情をむき出しにするようになったのも、U-23日本代表の主力としてアジア制覇に貢献した自信と経験の賜物なのだろう。

 小林祐希は攻撃的MF、大島はボランチの一角に入り込むことが第一テーマとなる。負傷の本田が6月3日のブルガリア代表戦(豊田)に間に合わなければ、小林祐希が右サイドで出場する可能性も出てきそうだ。大島にしても、今回はボランチ競争が横一線と見られるだけにチャンスは皆無ではない。31日からの本格的なトレーニングで年長者に食らいついていく泥臭さと激しさを示すことが、若手世代の逆襲への重要な一歩となりそうだ。

文=元川悦子

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