2016.03.28

日本代表にみなぎる闘争心と緊張感…主将長谷部、シリア戦で世界基準を要求へ

長谷部誠
シリア戦の前日練習に臨んだ日本代表キャプテンの長谷部誠 [写真]=兼子愼一郎
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 21日からスタートした2018 FIFAワールドカップロシア アジア2次予選ラスト2連戦の日本代表合宿も28日が最終練習日。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督と選手たちは29日のシリア戦の会場である埼玉スタジアムで非公開練習を行ったが、「昨日今日のトレーニングはすごくレベルの高いものだった。紅白戦もインテンシティーが高かった。監督もすごく満足している感じがした」とキャプテン・長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)もチーム全体にかつてないほどの闘争心と緊張感がみなぎっていることを改めて強調していた。

 それも彼が中心となって実施した26日の選手ミーティングの効果が大きい。「音頭を取ったのは長谷部さん。『練習ではもっとしっかり意識高くやっていこう』という話がありましたし、『バス移動の時にゲームしたり、本を読んだりするのは試合前はなるべくやめよう』というのも出ました。長谷部さんも『これまでは丸く収めてきたけど、これからはもっと厳しくやる』と。そういうミーティングでした」と藤春廣輝(ガンバ大阪)がピリピリするような空気を代弁していた。

 ジーコ監督が率いていた2006年から日の丸を背負い、2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会の2度のワールドカップを経験してきたキャプテンには、そこまでしなければロシアで成功を収められないとよく分かっている。だからこそ、あえて苦言を呈したのだ。「僕ら若い連中がもっと底上げをして上を追い抜く、席を確約されている選手たちからオレたちもそこに食い込んでいく、俺らが引っ張っていくべきだというのは強く感じていること」と今回最年少の昌子源(鹿島アントラーズ)もいち早く反応している。今はベテラン・若手ともに全体がいい意味での「危機感」を持って、2次予選最終戦に挑める状態になっているのだ。

 ハリルホジッチ監督はシリア戦では3トップを採用することを前日会見で示唆した。といっても、本田圭佑(ミラン/イタリア)、岡崎慎司(レスター/イングランド)、宇佐美貴史(G大阪)がFWとして位置づけられ、トップ下に香川真司(ドルトムント/ドイツ)が入り、長谷部と山口蛍(ハノーファー/ドイツ)が並ぶ形は変わらないはず。こうした中、中盤で攻守両面をコントロールするキャプテンには、「早い時間での得点」と「8試合連続無失点」という2つのテーマが託される。

「相手も真ん中を固めてくると思いますし、どの試合も1点目が入るまでは相手も集中しているのはあります。手こずっているなという感覚はあるけど、だからと言って焦る必要はないと思う。前半の早い時間帯に点が入らない状況を経験することも成長していく上では大事なこと。もちろん早い時間帯に点が入るに越したことはない。サイドからの攻撃とかはもちろん頭に入れてます。個人的にはもっともっとゴールに絡むプレー、点を取ることもそうだし、アシストすることもそうだし、そういうところを監督からも厳しく言われていますし、求めていきたいと思います」と彼は貪欲にゴールに向かう姿勢を前面に押し出すという。

 それも自身のゴールが2011年1月のアジアカップ(カタール)から5年以上も遠ざかっている危機感ゆえだろう。奇しくもその5年前に得点した相手がシリアだった。その後、長谷部は遠目からのシュートに意欲的に取り組んでおり、所属のフランクフルトでも果敢にチャレンジしているが、なかなか結果が伴っていない。そろそろこの足踏み状態から抜け出すべき時期に来ている。

「そろそろゴールを取りたい? そうですね、取りたいですけどね」と本人も苦笑いしていたが、これは率直な気持ちのはずだ。引いた相手から得点するには、ミドルシュートが1つの有効な手段であるのは確か。同じ中盤に陣取る山口とともに「得点の取れるボランチ」へと変貌してくれれば、最終予選に向けて希望が見えてくる。

 もう1つの「8試合連続無失点」というのは、最終ラインのリーダー・吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)も「最低ノルマ」と言い切る重要命題だ。守備陣の前にいる長谷部もリスクマネージメントをしっかりして、危ない場面では的確なカバーリングを見せなければならない。今シーズン、フランクフルトでは左右のサイドバックを何度もこなしており、「どのポジションをやるにしても、もう1個上に行けるように無難なプレーじゃなくて、勝つために貢献できるプレーをしたい」とポジションに関係なく、自分の個性を研ぎ澄ます努力を欠かさなかった。こうした経験を代表で生かして、最終ラインをサポートできれば味方も助かるはずだ。

 いずれにしても、長谷部はチーム全体に世界基準のレベルを強く要求し続けることが肝要だ。シリア戦で「最終予選は問題なく突破できる」と思わせるような好ゲームを演出し、多くのサポーターを安心させてほしい。

文=元川悦子

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