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「親友」からライバルへ、“リオ世代”の原川力が久保裕也を語る

2016.03.28

久保との仲について語った原川 [写真]=ナイキジャパン

 リオデジャネイロ・オリンピック出場を目指す原川力川崎フロンターレ)が世界のサッカーを意識するようになったのは「小学校3、4年の時」。親に海外サッカーのDVDを買ってもらい、自宅でプレー集を見続けていた。この時から彼はプロサッカー選手になる夢を秘めていた。「サッカーしかやってこなかったからプロになること以外、考えていなかった」。ただ当時は、友達うちでサッカーを話題にすることはなかった。「話も出さなかったし、話しても通じなかったと思う」。

 そんな中、原川は小学校「確か5、6年」の時にある出会いを果たす。「親友? どうですかね……まあ親友ですね」。彼が笑顔でそう語るのは、U-23日本代表としてともに戦った久保裕也(ヤングボーイズ)だ。


 トレセンで知り合った久保とは自主練も一緒に行うようになる。ともに中学校は地元山口市の鴻南中学校に進学。原川はレオーネ山口(現レノファ山口FCアカデミー)に所属、一方の久保は鴻南中サッカー部でプレーしていたが、毎日のように朝練と夜練でともに汗を流した。「クラブチームの練習が終わった後、1時間半ぐらい自主練してだいたい22時ぐらいに帰っていた。その自主練の時に久保とかもいて、1人1個ボールを持って適当に壁に向かって蹴ったりして」

 転機が訪れたのは中学3年生の時。ともに国体のメンバーに選ばれ、そこで京都サンガF.C.のスカウトの目に留まった。「高校時代が一番長く一緒にいた。練習も当然一緒だし、高校のクラスも一緒で、寮だから風呂も飯も一緒」(原川)。その良好な関係は、久保がスイスに渡ってからも続く。「あいつは暇すぎるから、特に用もなく向こう発信の連絡が多いし、返事も一瞬で返ってくる」。

 時を経て、2人は日の丸を背負って同じピッチに立つことになった。原川は海外で経験を積んだ久保をこう評する。「よりFWらしくなった。ゴール前でより力を発揮するようになったし、シュートレンジが広いから相手DFにとって怖い存在だと思う。中盤の自分にとってはあいつがいると本当に心強い」。一方、小学校時代から「ずっと中盤だった」原川は司令塔として着実に成長。昨シーズンは京都サンガで10番を背負い、今シーズンはJ1の川崎へと移籍しステップアップを遂げた。

 リオ五輪本大会の登録枠は18名。予選の23名から大幅に減少するため、同じ攻撃的な選手である原川と久保も枠を争うライバルになる。同郷の「親友」はブラジルで再び同じピッチに立てるのか。原川は焦らず地道にメンバー入りを目指す。「試合に出続けることができれば五輪代表やA代表も見えてくる」。ブラジルへの“サバイバル”はすでに始まっている。

文=安田勇斗

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