2016.03.08

「理想のモデルはバルサの守備」…指揮官が“ハリル流”の攻守を叩き込む

ハリルホジッチ
ロープを使用したトレーニングを指導するハリルホジッチ監督 [写真]=兼子愼一郎
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

 7日から千葉県内でスタートした日本代表国内組候補合宿。2日目の8日は午前午後それぞれ2時間ずつ、負荷をコントロールしながらの戦術練習をみっちり実施した。前日夜に合流した永木亮太(鹿島アントラーズ)も参加し、別メニューだった金崎夢生(鹿島)も午前の途中まで全体練習に参加。この時点までは25人全員が揃った状態だった。だが、前日のフィジカルテストの数値が芳しくなかった米倉恒貴(ガンバ大阪)が金崎とともに午前のラストから午後にかけて別メニューとなり、森重真人(FC東京)も午後練で右足首をねん挫するなど、アクシデントもいくつか発生した。

 そんな中、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はこの日も要所要所でオーバーアクションを見せながら練習の陣頭指揮を執った。

 日本サッカー協会(JFA)の霜田正浩技術委員長が「今回の合宿は初日と2日目の午前が守備、2日目午後と最終日が攻撃メイン。そのスケジュールを踏まえて、初日夜には1時間15分の守備に関するミーティングをやりました。映像は10分くらいで、あとは監督の説明。Jリーグのいろんなチームのできているところ、できていないところを映像で抜粋して見せました。理想のモデルとして取り上げたのはバルセロナの守備でした」と説明した通り、指揮官は自身が「ゾーンプレス」と称した守備戦術を午前中いっぱいかけて、さまざまなアプローチ方法で叩き込んだ。

 特筆すべきなのが、ロープを使って距離感や間合いを確かめるメニュー。1人1人が約5m前後の間隔で立ち、ロープを持ちながら相手のボールに合わせてスライドしたり、プレスをかけたりするこの形は、まさにハリルホジッチ流守備の基本中の基本と言える。

「ロープを使った練習は去年3月の大分合宿でもやりました。あの時はボランチから後ろの選手がヒモを持って動きましたけど、今回は前線の選手もいた。しきりに言っていたのは、後ろの守備力だけじゃなく、前線もセンターバックと同じくらいの高い守備力を持つことが大事ということ。興梠(慎三=浦和レッズ)や浅野(拓磨=サンフレッチェ広島)が一番最初の守備のスタートになるので、どっちに追い込むのかという限定をハッキリさせることが重要だと思います」と槙野智章も分かりやすく説明してくれたが、ハリルホジッチ監督は全員が連動して高い位置でボール奪取することこそ、世界と互角に戦える数少ない術だと考えている。「引いてブロックを作っても強豪相手には防げない。だからこそ、自陣ゴールよりできるだけ遠い場所でデュエルを沢山やってボールを奪えるようにしたい」と霜田技術委員長も指揮官の思惑を代弁していた。

 一方、午後の攻撃練習では「裏を狙え」、「ダイレクトのパス回しを増やせ」という言葉が何度もピッチ上を響き渡った。浦和でプレーする際、引いてボールを受ける形が多い興梠は「監督が見ていて『それではダメだ』と。今晩の攻撃のミーティングでも相当言われると思います。自分でも引きすぎていたかなというのはあったから、次からは前でゴールゲッターとして構えていこうと思います」と神妙な面持ちでコメントしていた。

 ボールを供給する側の遠藤航(浦和)も「『日本はワンタッチパスの比率が少ない』という話を監督がしていた。ゆっくりゆっくりパスを動かしていると。だからこそもっとシンプルにやらないと。自分のよさとして、奪った後に早くつけるとか、ボールを受けてワンタッチで出すといった部分があるので、それをより強く意識していきたい」と修正点を明確に思い描いている様子だった。

 ハリルホジッチ監督の意図が徐々に伝わりつつあることを、霜田技術委員長も前向きに捉えていた。

「まずボールを受けて、いったん止めて味方を探しているんじゃ、強い相手は崩せない。味方同士の連動性を高めることはもちろんのこと、3~4人が絡んでスピードをつけて攻めないといい形の攻めや崩しはできない。そこがハリルホジッチ監督の強調したいところ。それを今晩(8日夜)のミーティングでも改めて説明すると思います」と。

 本田圭佑(ミラン)も以前、「正確さを求めるがゆえにスピードを落とすってことではない。最高のスピードを求めていく必要がある。高度なインテンシティーの中でテクニックにこだわってプレーすれば、全員にかなり向上の余地があると思う」とコメントしたことがあった。技術とインテンシティーを両立させることが、指揮官が求める攻めのクオリティーなのだろう。

 こうした攻守両面のコンセプトを国内組の面々がどこまで理解し、ピッチ上で表現していくのか。合宿最終日の動向が楽しみだ。

文=元川悦子

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