鈴木のミドルシュートで試合を振り出しに戻した [写真]=野口岳彦
FW鈴木武蔵(水戸ホーリーホック)が復活を告げる一発を決めた。与えられた時間は5分。「打つことに迷いはなかった」と放ったミドルシュートは見事にネットを揺らした。
26日、U-22日本代表候補は湘南ベルマーレと練習試合を行い、1-1で引き分けた。ケガから復帰したばかりの鈴木はコンディションが万全ではなく、手倉森誠監督は試合前日に「無理はさせられない」と欠場を示唆していた。だが、1点ビハインドで迎えた85分、MF中島翔哉(FC東京)に代わってピッチに送り出された。
そして「5分あれば点を取れそうだな」という指揮官の予感が的中する。88分、ペナルティエリア手前でボールを拾った鈴木は「ゴールへの軌道が見えた」と右足を振り抜き、同点弾を叩き込んだ。「ケガを繰り返していたし、ゴールからも遠ざかっていた。満足に試合をできる状態ではない中で、点を取れたことはすごく嬉しかったです」。ゴールを見届けた鈴木はガッツポーズをして喜んだ。
限られた時間でしっかりと結果を残した鈴木だが、「この1点だけではさすがに満足できない」と点取り屋のプライドをのぞかせた。そこには度重なるケガによる危機感や焦りがあった。
「他のFW陣が点を取ったり、活躍しているのを見て、サッカーができない時は焦っていた。だから呼ばれた時は、アグレッシブに自分の持ち味を最大限見せていこうと思いながら過ごしていました」
リオデジャネイロ・オリンピック出場を懸けたアジア最終予選まで残り約1カ月半。代表発足から主力を張る鈴木が「まず第一にコンディションを戻して、どんどんアピールすることが大事だし、自分の色をしっかりと出していきたい」とレギュラー奪回への思いを強くした。
取材・文=高尾太恵子
By 高尾太恵子
サッカーキング編集部