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初の主将もPK失敗…悔しい締めくくりとなった岡崎、レスターで壁乗り越え精神的支柱へ

2015.11.18

カンボジア戦でキャプテンを務めたFW岡崎慎司 [写真]=兼子愼一郎

 超満員の大観衆で膨れ上がったプノンペンのナショナル・オリンピック・スタジアムで17日夜に行われた2018年ロシアワールドカップアジア2次予選・カンボジア戦。長谷部誠(フランクフルト)と本田圭佑ミラン)が先発を外れた日本代表のキャプテンマークを巻いたのは、背番号9をつける点取屋・岡崎慎司(レスター)だった。

「監督からは昨日言われた。何試合も出てるし」と本人は説明していたが、「いつも自分は代表では絶対的中心じゃない」と言い続けてきた男がリーダーとして前面に出るのは全く初めての出来事。だからこそ、ゴールという明確な結果でその重責を果たしたかった。

 だが、前半の日本代表はカンボジアの闘志溢れる戦いぶりに押されがちだった。岡崎は前半11分、ペナルティエリア内で相手2人をかわしてシュートを放つがGKに防がれる。その後も果敢にゴール前に飛び込んでいくが、クロスが合わなかったり、あと一歩が足りなかったりと鋭さを欠いてしまう。

「ちょっと足元、足元となりすぎていたんで、ボランチから裏でもよかったかなと。見たまんまで単調だったのはある」と岡崎からは反省が口をついて出たが、そこまで内容が悪いとは感じていなかったという。

 ところが、迎えたハーフタイム。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の怒りが爆発する。「お前たちは迷いながらサッカーをしている。負けてもいいからもっと大胆に行け」と雷が落ちたという。

 この言葉で目が覚めた岡崎は後半開始早々、遠藤航(湘南)に代わって出場した柏木陽介(浦和)の背後を突くパスにうまく反応。香川真司ドルトムント)のPKゲットのお膳立てをしてみせる。だが、やっとの思いで手にしたPKをまさかの失敗。指揮官を大いに落胆させてしまう。

「決まっていたんで自分が蹴ったんですけど、代表で蹴ったのは2011年アジアカップ(カタール)の韓国戦以来。ゲーム中はあんまり蹴ったことがなかったんで、緊張もあったと思う。でもメンタルなんで。もちろん決めなきゃいけなかったけど、いい経験っちゃいい経験。勝ったことで救われた」と彼は苦笑いを浮かべるしかなかった。

 直後の柏木のFKからの先制点の場面では、頭で競り勝った岡崎のゴールかと思われたが、相手DFのオウンゴールと判定され、国際Aマッチ48点目は幻と消える。その後も後半41分に南野拓実(ザルツブルク)と交代するまでゴールはなし。2008年から毎年、自身が出場した代表の年内ラストマッチではゴールを奪い続けてきた彼だが、今年はその記録も途切れた。FIFAランキング183位の相手に2-0の辛勝という結果も含めて、キャプテンを担った男には、ほろ苦いゲームだったに違いない。

「若いチームをうまく自分の手でもっと楽にしてやれなかったっていう悔しさはある。監督の思いをくみ取って、自分でやれる範囲でやったけど、ホントのキャプテンシーとは違ったのかもしれない。ただ、マークを巻けたことで、自分がもっと成長しなきゃいけないと思えた。監督にもまだまだ満足してないって思われてると思う」と岡崎はこの不完全燃焼感を次への飛躍につなげるべく、改めて気を引き締めた。

 自分自身をもう一段階、二段階ステップアップさせるためには、レスターでの目覚ましい活躍が必要不可欠だ。この日の岡崎を見る限りだと、マインツで2年連続2ケタゴールを奪っていた頃より、ゴール前の鋭さと迫力がやや欠けている印象が見て取れた。今季プレミアリーグでまだ1点しか奪っておらず、最近4試合はベンチスタートと出場時間が減っている影響はやはり少なくないようだ。

「3月まで代表活動はできないので、チームに戻ってそれぞれ試合に出ることが一番重要。僕も含めてヨーロッパにいる選手はそこが一番難しいところでもある」と同じリーグで戦う吉田麻也(サウサンプトン)もしみじみ語っていたが、その壁を超えない限り、岡崎がキラ星のごとく輝く絶対的点取屋になるのは難しい。今回の11月シリーズで金崎夢生(鹿島)や武藤嘉紀(マインツ)もインパクトを残しただけに、代表ゴール数で頭抜けている彼も決してうかうかできないのだ。

 イングランドで結果も実績も残したうえで代表に合流すれば、キャプテンマークを託されても、PKを蹴る重責を背負わされても、動じることはないはず。傑出した人間力を持つ彼なら、必ずや代表の精神的支柱になるはず。2016年はそんな岡崎を見てみたい。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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