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過酷な走り込みに耐えた吉田、迫る2連戦に「本番はばっちり」と自信

2015.06.06

代表合宿に参加している吉田麻也(左から2番目)

文=元川悦子

 6月の2連戦(11日=イラク戦、16日=シンガポール戦)を視野に入れ、1日から千葉県内で行われてきた欧州組合宿も残り2日。6日は12人全員が揃い、午前午後のハードトレーニングを精力的に消化した。

 午前中はこれまでより早い9時45分からスタート。初日から参加している長谷部誠(フランクフルト)らフィールドプレーヤー7人とGK川島永嗣(スタンダール・リエージュ)、3日に加わった長友佑都インテル)と岡崎慎司(マインツ)、5日に合流した本田圭佑ミラン)と香川真司ドルトムント)の4グループに分かれて練習が進められた。

 先行組は走力強化メニューが激減し、4対4+フリーマンや3対3などの実戦形式が大半を占めた。長友らは約50mの距離を10秒間で12本ダッシュする練習などを経て、最終的には先行組に合流する形を取った。本田と香川は走りのみ。特に厳しかったのが、タッチライン幅を15秒で16本ダッシュする地獄の走りで、これには持久力に自信を持つ香川もさすがに疲労困憊の様子をのぞかせた。

 そして午後は、ジェフユナイテッド千葉の新人DF乾貴哉がヴァイッド・ハリルホジッチ監督の要請の下、緊急参戦。6対6+GKやクロスからのシュートといったゲームに近い内容がふんだんに盛り込まれた。

 6対6は5分、6分、4分弱の変則的な3本で、1本目は清武弘嗣(ハノーファー)、2本目は長谷部と吉田麻也サウサンプトン)と香川、3本目は大迫勇也(ケルン)と原口元気(ヘルタ・ベルリン)がそれぞれゴールを挙げた。中でも清武のゴール前のキレと泥臭さは凄まじいものがあり、ドイツでの今季ラストマッチ・フライブルク戦の先制弾をそのまま持ち込んだようなインパクトの大きさだった。チームメイトの酒井宏樹(ハノーファー)は「ゴールに対する意欲はすごい高まったし、(ハリルホジッチ)監督にもそれを言われてると思うので。ハノーファーも後半戦はほとんどキヨ君のチームだった」と太鼓判を押していた。清武の飛躍的成長によって、香川、柴崎岳鹿島アントラーズ)とのトップ下争いは熾烈を極めそうだ。

 欧州組合宿最終日の7日は先行組と長友・岡崎の10人が午前のみ。午後は本田と香川の2人練習となる予定だ。メディア対応は午後練習の後のみとなっているため、吉田や岡崎が公の場で口を開くのはこの日が最後となる。初日から目いっぱい走り続けた吉田は「あと1日だけど、ここまで乗り切ったからホントに嬉しい。みんなでここまで来れてよかったなと。でもこれからがホントのスタート。自分の体もかなり絞れてきてるし、来週が楽しみ。試合はバッチリだと思います」と笑顔を見せていた。

「この合宿はサウサンプトンのオフシーズン前の練習よりハード」と言い切る吉田にとって、今回の走力強化メニューの連続は過酷な日々だった。2日目の約160mのインターバル走では他のフィールドプレーヤーが12本走り切った中、吉田は10本終了時点でリタイア。「もう少し経てばコンディションも戻ってくると思います」と前向きにはコメントしたものの、あまりの過酷さに音を上げそうだったに違いない。今回の合宿はミーティングや個人面談は行われていないが、時間が空いても好きな散歩をする余裕もなく、マッサージしてすぐダウンしてしまうという。

「『シーズン終わりにこんなのをやらせるのかよ』っていう怒りの反面、こういう練習をやればやるだけ自分の身になるし、自分に返ってくるって分かってる。これはやっとかなきゃいけないと歓迎してる自分もいますね。結局、僕もチームでポジションを勝ち取らなきゃいけないですし、今で出てる選手よりレベルアップしなきゃいけない。そういう意味では覚悟を決めるしかない」と、吉田はこの2連戦をいい契機にして、サウサンプトン4シーズン目となる来季に持てる力の全てを注いでいくつもりだ。

 今季はプレミアリーグ22試合出場1ゴールと、8試合出場にとどまった昨季に比べれば状況は多少なりとも改善したが、絶対的な立場を築くには至っていない。屈強な体躯を誇る男たちが揃うプレミアリーグで日本人DFが生き残っていくのは容易なことではないが、それを果たすためにも、吉田はこれまでにない武器や強味を持つ必要がある。ハリルホジッチ監督が強く要求する走力が1つのカギになる可能性はある。その重要性を頭に叩き込んで、日本のディフェンスリーダーには来週からの2連戦で一味違った仕事ぶりを見せてほしいものだ。

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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