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アギーレJで初ゴール…フラストレーションをついに払拭した本田圭佑

2014.11.15

ホンジュラス戦で1ゴール2アシストの活躍をした本田圭佑 [写真]=Getty Images

「チーム(ミラン)で4試合ゴールがないのはもちろんストレスですよ。でも、矛盾するような言い方ですけど、ストレスに感じると取れないというのがサッカーだと思うんで、そこはしっかりと整理しながら。無心っていう表現が適切なのか分からないけど、そういうような状態で入った時に結果が出てるケースがやはり多いと思うんで、取りには行くけれども、トゥーマッチにならないような精神状態っていうのが大事だと思います」

 今回のアギーレジャパンの11月2連戦に向けた強化合宿に合流した初日の10日。本田圭佑はクラブで最近4試合連続で得点から遠ざかっている心境を素直に吐露した。

 ゴールがないという現実は日本代表でも同じだった。彼は2014年ブラジルワールドカップ初戦のコートジボワール戦(レシフェ)で挙げたワールドクラスの先制弾以来、国際Aマッチ6試合無得点。アギーレ体制発足後はゴールゼロということで、誰よりも結果にこだわる男はどこかで不完全燃焼感を抱えていたはずだ。

 そんな本田の左足から、ようやく待望の1点が生まれた。14日のホンジュラス戦(豊田)の前半41分、中盤で相手が出したボールを長谷部誠(フランクフルト)がクリアしたのが最高のタテパスになり、抜け出した本田が持ち上がってGKとの1対1を確実に決めて、チームに2点目をもたらした。前半9分の吉田麻也(サウサンプトン)の先制点の後、少し相手にペースが傾きかけた時間帯の追加点だっただけに、日本代表に大きな意味をもたらした。

「あれで5m後ろにいたら間に合わない。取った時のイメージはできていたし、マコ(長谷部)がクリアした瞬間に前へ出ていた。サボりというか、あそこで頑張り過ぎて5m下がっていたら、(点を)取れなかった。そこがサッカーの難しいところだと思います」とテレビのフラッシュインタビューで本田は嬉しそうにコメントしていたが、要所要所でサボるか否かを巧みに嗅ぎ分けられるのが、今シーズン、ミランで結果を出し、好調を維持している強みなのだろう。

 この1点で勢いに乗ったこともあり、彼は続く遠藤保仁ガンバ大阪)の3点目、後半立ち上がりの乾貴士(フランクフルト)の4点目もアシスト。ここまでの停滞感を一気に払拭してみせた。

 後半から出場した10月のブラジル戦(シンガポール)で、ネイマールバルセロナ)の凄さをまざまざと見せつけられた後、本田は「負ければ負けるほど悔しさが大きくなる」と屈辱感を改めて口にした。いくら若いメンバー中心の陣容だったからとっても、日本が0-4の惨敗を喫した事実は変わらない。いきなり立たされた苦境からチームを救い出すためにも、彼は自ら率先して結果を残す必要があった。

 岡崎慎司(マインツ)は「今日はみんな点を取りたい、結果を出したいっていうのが蘇ってきた。一番大事な気持ちがすごく出てた」とホンジュラス戦で久しぶりにチームとして熱い勝負ができたことを前向きに受け止めていたが、本田がそのけん引役になったのは間違いない。

 彼はアギーレジャパン発足時から巻いてきたキャプテンマークを、指揮官の意向によって今回、長谷部に返上した。「マコが戻ってきてもキャプテンだと言われるなら、そういう認識を今後していく必要がある」と本田は本田なりの覚悟をしていただけに、拍子抜けした部分も多少はあっただろう。その分、ピッチ上で確固たるリーダーシップを発揮したいという秘めた思いをどこかで抱きながら、プレーしたのではないだろうか。

「圭佑はもともと前からキャプテンシーを持ってて、リーダーシップを持ってやってくれている」と長谷部も本田の存在感に今一度、敬意を表した。実際、この日は前線のアタッカー陣が次々と代わる中で90分間フル出場し、チーム最多となる6本のシュートを放った。そしてダイナミックなアップダウンを繰り返して攻撃を活性化してくれた。内田篤人(シャルケ)が後ろに入って、本田が攻撃に専念できるように仕向けてくれた効果も大きかったが、この日は完全に本田が攻撃の大黒柱として君臨していた。

 このエースがこの先もゴールを量産できるようになれば、2カ月後に迫ったアジアカップ(オーストラリア)で2連覇も夢ではない。ホンジュラス戦は日本代表の右サイド・本田が力強い一歩を踏み出す大きな一戦となった。

文=元川悦子

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