6月14日のブラジル・ワールドカップ初戦、コートジボワール戦まで25日。最終決戦に挑むザックジャパンが21日、鹿児島県指宿市での第1次合宿をスタートさせた。
初日は帰国したばかりの本田圭佑(ミラン)、長友佑都(インテル)、川島永嗣(スタンダール・リエージュ)を除く日本代表20人とトレーニングパートナーの坂井大将(大分トリニータU-18)、杉森考起(名古屋グランパスU18)の2人が参加。練習前には指宿市の歓迎式典も行われるなど、本番ムードが盛り上がってきた印象だ。
練習は2時間以上にわたって行われたが、公開は冒頭15分のみ。この部分で基本戦術の確認、フィジカル強化を実施していた。注目の大久保嘉人(川崎フロンターレ)は4-2-3-1のトップ下でプレー。本田が合流してみなければ今後については不透明な部分も多いが、アルベルト・ザッケローニ監督はまず2列目要員で彼をトライしたいようだ。
「特にトップ下で固定しているわけではなくて、必要なポジションで彼を使っていきたい。大久保は攻撃陣の中で一番経験のある選手だし、戦術眼も長けているので、いろいろ試しながら見極めたい」と指揮官はコメントしていたが、長谷部誠(ニュルンベルク)も香川真司(マンチェスター・U)も「嘉人さんはどこでもできる」と口を揃えるように、主力選手たちの期待も大きい。特にかつて同じセレッソ大阪でプレーした香川は「コンビネーションやスピードの部分で共有できるところは多い」と、お互いのサッカーが近いことに手ごたえを感じているようだ。
当の大久保は「トップ下は想定内。圭佑がやっていても意識は全くない。誰がやっても関係ないですね」といつも通りの自然体でコメントしていた。代表合流前も「自分は前ならどこでもやれる。自分がトップに入った場合は前で空ける動きだったり、キープだったり。キープすれば追い越せますし、そういうところかなと思いますね」と自分なりにイメージに膨らませていただけに、これから少しずつ周囲との関係や感覚を詰めていこうと思っているのだろう。
大久保がトップ下に入れば、より攻撃的な布陣が出来上がる可能性もある。この男を最大限有効活用することが、ザックジャパン成功の大きなポイントなのは間違いないはずだ。
文=元川悦子