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王者広島から唯一選出の青山は森保監督と抱擁「感動的な発表だった」

2014.05.12

W杯に臨む日本代表に選出された広島MF青山 [写真]=白井誠二

 日本代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督は12日、ブラジル・ワールドカップに臨む代表メンバー23名を発表した。

 J1を二連覇中のサンフレッチェ広島からは、MF青山敏弘が選出。青山は、記者団の取材に応じ、以下のようにコメントしている。


――最初にこの知らせを聞いたのは?
「練習のための準備で部屋にいたので、同室の丸谷(拓也)と一緒にインターネットで実況を見ていました」

――名前が呼ばれた瞬間は?
「じっと…その名前が、心に響いてきました」

――不安はあったと思うが?
「正直、不安でした。あまり表には出さなかったんですが、でも自分のやってきたことを信じていたし、自信もあったので、その想いを持って今日の日を迎えました」

――『アオヤマ』という言葉を聞いたとき声が出た? それとも噛みしめた?
「噛みしめましたね。一緒に見ていた丸谷は、大げさに喜んでいたけれど、自分はジーンと…、名前を心に刻ましてもらった。感動的な発表になりました」

――名前を呼ばれるまでは不安の方が大きかったと思うが?
「発表前の最後の試合で、ザッケローニ監督が広島まで試合を見に来てくださって。でもその試合でふがいないプレーしか見せることができなかった。だから正直、自分の中では『厳しい』と思っていたんです。でも、それも自分の実力。メンバーに選ばれてもそうでなくても、今いる自分は変わりない。そう自分に言い聞かせて、今日の日を迎えました」

――発表後、森保一監督と約20秒、抱き合っていたが?
「監督はずっと、『アオなら代表に選ばれるよ』と言ってくれていた。面と向かって、本気でそう言ってくれる人はいなかったし、ずっと信じてくれていた。その監督に対する想いが、ああいう形で素直に表現できたと思います」

――つらいことがたくさんあったサッカー人生だったかもしれないが、そのつらさの蓄積がこの日につながった?
「常に難しい時間を過ごしてきたし、自分自身と戦いながら、プロとしてやってきた。その時、投げ出さなくてよかったと本当に思います。無意味な時間などなかったと、改めて思った。ほかの人からは、自分一人で強がっていたように見えたと思うけれど、自分がやり続けたことが今につながっていると確信しています。自分自身に勝ち続けて、本当に、少しの弱音とか努力をやめるとか、そういうことはしなかった。それが、この結果につながっていると思います」

――北京オリンピック代表に選出されなかった。その悔しさをワールドカップで晴らしたいという想いは?
「常に、挫折というものがあったとしても、ただでは起きないようにしていた。あの時の涙が無駄ではなかったと思います」

――予選に参加していない青山選手を選んでくれたことで、より一層、ブラジルで自分の力を見せたいという想いが強くなったのでは?
「自分が代表で力を発揮できるから選んでいただいたと思っています。ただ、これがゴールということではない。ここからが自分だと思っている。絶対にグラウンドに立って、ザッケローニ監督の期待に応えたい」

――奥さんに連絡は?
「しました。彼女もきっと不安だったと思うし、遠征に来てもメールや電話しながら、連絡をとっていた。どういう状況になっても、気持ちは同じ。お互いに励ましあって、その時を迎えました。電話した時、泣いて喜んでくれた。言葉にならなかった。お互いの気持ちはわかったし、うれしいです。奥さんと電話した時に……ちょっと自分も涙が出ました」

――実感がわかなかった?
「そんなことはなかったんだけど、言葉に…ならなかった」

――たくさんの人たちに支えられて、ここまできた?
「その想いでいっぱいですね。いろんな指導者やチームメイトに支えていただいたし、そういう方々への感謝の気持ちは常に持っていたつもりでしたが、改めてそういう皆さんに感謝の気持ちを伝えたい。その上で、ワールドカップに向かいたい」

――ミハイロ・ペトロヴィッチ前広島監督(現浦和)も、喜んでいるのでは?
「…それは、感じています」

――逆境の中で前を向けた理由は?
「意地、ですね。プロになった時から、いい時期なんてなかった。でもその分、正しい道を歩んでこられた。成功とまでは、まだ言えないけれど、試合に出始めてから道を外れることなく、ここまで歩いてこられた。それは、意地です」

――代表に入ったことで、どういうプレーを?
「まずは、チームに貢献したい。日本代表の思いと誇りを胸に、それを100%プレーで発揮できるように、やっていく。それがザックさんの期待に応えることだと思います。プレーの面では、縦への意識ですね。代表ではそういう部分をザックさんが見てくれているし、自分もそこは意識しながらプレーしてきた。やっとフィットしてきたなという想いもあるし、それを発揮できれば、ブラジルでもチームに貢献できる。これからまた合宿もあると思うけど、チャレンジしていきたい。東アジアカップで柿谷(曜一朗)選手に出したパスもそうだし、奪ったボールを常に前に入れる意識とか姿勢とか、そこを崩さずに伸ばしていきたい」

――広島から一人だけ選ばれたことについては?
「みんなが祝福してくれた。素直に自分は喜んで、自分のプレーをやるだけ。みんなの悔しさは、自分も五輪の時に実感しています。その悔しさを持っている選手は、ほかのチームにもたくさんいることもわかっています。すべての気持ちを理解するのは難しいけれど、それは受け止めていきたい」

――対戦したい相手は?
「まだ具体的にはイメージしていません。ただ、最初の試合のコージボワール代表のヤヤ・トゥーレはさすがにレベルが高い。そういう選手とやれることは、楽しみしかないです。そういう選手たちと戦うイメージは、しっかりとつけていきたい」

――ワールドカップが戦う対象となったわけだが?
「ここまでは正直、自分がワールドカップに出るという実感はなかった。自分の名前が今日呼ばれて、そういう(戦う)意識に変わりましたね」

――改めて森保監督に対しては?
「監督が『アオなら絶対に行ける』という言葉を本当に言ってくれていたし、その言葉に尽きる。それは大げさでも嘘でもなく、真実の言葉だった。その言葉を胸に、自信をもってやっていきたい。苦しい時も、いつも見てくれていたし、メンタルの部分でも支えてくれた。監督への感謝の気持ちを持って、戦っていきたい」

――今年はキャプテンとしてもプレーしているし、充実を感じている?
「そういう振り返りをやりながら、というのはないですね。調子がいいとかどうとか、そういうことを考える余裕もない。ただ、チームを1番に考えていることは間違いないし、それがプラスになっているのも確か。成長している部分は絶対にある」

――ワールドカップに向けて、一言。
「ザッケローニ監督も自分を戦力として選んでいただいた。ブラジルで何をするのか、その部分をしっかりと理解して準備して、試合に出てチームの勝利に貢献できるように頑張ります」

――サポーターへのメッセージを。
「サポーターのみなさんの期待を背負って、ブラジルに行きたいと思います。ずっと期待され、サポートを受けて、この日を迎えました。皆さんのおかげです。また、ブラジルでプレーしている姿を見てもらいたいし、応援してくださるみなさんの期待に応えられるように頑張りたいと思います。本当にありがとうございます」

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