2012.08.04

「守備的」ではなく「試合巧者」…攻撃的姿勢が生んだなでしこの快勝劇/ブラジル戦

大儀見の先制点もあり、快勝でベスト4入りしたなでしこジャパン

 圧倒的なブラジルの存在が、なでしこジャパンをさらなるレベルに引き上げたと言えるのではないか。なでしこは終始ボール支配率で大きく劣勢を強いられ、 開始から20分はブラジルの個人技に圧倒される連続だったことを考えれば、「いろんな意味でジャッジすれば、質はブラジルのほうが上だった」という佐々木 則夫監督の意見も頷ける。

 しかし、守勢の連続の中でも確かな決定機も築いていたことに大きな価値を見出すことができる。ブラジルの猛攻を凌いだ20分過ぎからは、徐々にパスが繋がり先制点も生まれた。90分通して守備一辺倒の戦いぶりで守り切ったわけでは決してない。

 後半に入り、ブラジルが逆転を狙ってさらに攻勢を強めてきてからも、攻撃に向かう姿勢を常に保っていたことも大きかった。確かにブラジルの圧力に対して守備に最大限の力を割くことで、ポゼッションで盛り返すことを見切ったという見方はできる。ただ、代わりに攻撃をカウンターに特化させたことで、逆襲はよ り鋭利なものになりブラジルゴールを脅かしていたことも事実である。実際に攻撃的な姿勢を失わなかったことは、鮫島彩、大儀見優季と繋ぎ、最後は大野忍が 沈めた2点目で結実した。

 岩清水梓、熊谷紗希を中心とする守備は非常に強固でファウルも少なく、クリーンにブラジル攻撃陣を抑えきった。それでも、開始20分の間に先制点を奪わ れていたら試合展開は全く違うものになっていた可能性は大きい。昨年に行われた女子ワールドカップの準々決勝・ドイツ戦のように、耐え抜いた末の勝利と見る向きもある。佐々木監督も試合後に「耐えるサッカーはドイツ・ワールドカップでも数試合あって、体に染みこんだ感覚で精神、肉体、戦術的に培ったものが ある」と認めている。

 しかし、今回のブラジル戦は昨年のドイツ戦とは、確実に一線を画する試合であった。

 開催国との対戦だったドイツ戦では、延長戦での丸山桂里奈の得点を守り切った上での勝利だった。だが、今回は同じく劣勢ではありながら、先制点を奪いつつ2点目を取りに行ったところからも、大きな相違点が見て取れる。

 また、ブラジル戦のプレーぶりについては、守備一辺倒や消極的という言葉がついて回ることはありえない。そもそも、守備的なサッカーは悪というような風潮もよく分からないが、今回のブラジル戦で言えば繰り返しになるものの、2点目を狙って実際に奪ったことに要諦があり、攻撃への意識が常に存在していた証左でもある。相手の技量の高さにより、ボール支配率で後手を踏んだ結果、守備の時間が増えたことを守備的や消極的と括るのはあまりに乱暴な意見ではないか。

 試合後、多くの選手がブラジルの力量を佐々木監督同様に素直に認めていたことが象徴するように、極めて紙一重の勝利だった。それでも、ブラジルが最後の最後までマルタらの個人の力で打開しようとしたのに対し、なでしこは戦況を見極めて柔軟に対応したことで、力関係と結果を逆転させたと言える。澤穂希の素早いリスタートから生まれた大儀見の先制点はもちろん、グループ最終戦から試合へ臨むまでの佐々木監督のマネジメントを含め、試合巧者ぶりが際立ったベスト4入りであった。

文=小谷絋友(サッカーキング編集部)

 

[写真]=Getty Images

 

Jリーグ順位表

FC東京
20pt
サンフレッチェ広島
17pt
大分
15pt
Jリーグ順位をもっと見る
水戸
19pt
山形
18pt
大宮
17pt
Jリーグ順位をもっと見る
C大23
13pt
北九州
13pt
讃岐
13pt
Jリーグ順位をもっと見る