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【コラム】“相棒”の活躍に刺激を受けた17歳平川怜…プロ初ゴールに「ほっとした」

2017.11.13

プロ初ゴールを決めた平川 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 17歳らしい思いきり。そして舞台が明治安田生命J3リーグだったという事実を差し引いても、17歳には見えない落ち着きだった。

 FC東京U-23のMF平川怜は藤枝MYFC戦の60分、自陣から逆襲を仕掛けた。3-4-3の中央に配置された高校2年生が、長駆で前進。ペナルティーエリアに走り込みパスを受けた。「右足でシュートを打とう」と考えた瞬間、スライディングタックルを仕掛けてくる相手2人が視野に入った。「体がこう、反応したというか、とっさに」逆を取って切り返し、左足に持ち替えて優しくサイドネットを揺らした。


 急、緩、柔、が連なった動き。さすがはFIFAワールドカップ U-17の主力であり将来を嘱望される世代の中心。まさにボックス・トゥ・ボックス、器の大きなセントラルMFとしての未来を期待させた。

 J3とはいえ17歳6カ月22日でのプロ初ゴールは十分に早い。でも本人は試合後、深く息をついた。「すごく、ほっとしている部分があります」

 1歳下の同僚、FW久保建英という存在が背景にある。

 今月1日、そろって一足飛びにトップチームとプロ契約を結んだ2人。ただ、2種登録による「Jリーガー」としてのキャリアは久保が上をいく。藤枝戦前まで平川はJ3で17試合出場無得点。久保は21試合で2点を決め、5月にはJリーグYBCルヴァンカップ出場も果たしている。何かと注目される久保と比較されるのは嫌だろうなと気を回しつつ、やっぱり質問してしまう。

平川 久保

同じタイミングでプロ契約を結んだ

 久保のゴールから刺激を受けていたか? その問いに煙たがる様子もなく、平川はまっすぐに答えた。

「ポジションは違うけど、活躍している下の世代が久保選手。自分も負けちゃいけないという気持ちを持つのは当たり前。そういうのは絶対に必要だと思うんで」

「よかったんじゃない?」と久保、「いいシュートだった?」と平川。得点後はそんなやり取りを交わしたと明かした。この日は結果を残せなかった久保が、チームの荷物を抱えて脇を通り過ぎた。平川が続ける。

「今度は多分、久保選手が自分のゴールに刺激されると思う。そういうことを繰り返していけたら、一番いいなと」

 人ってそもそもへそ曲がりだ。年齢の近い実力者を素直に認め、互いを高め合う触媒にしたいと認めるなんて、何歳になっても、なかなかできることじゃない。もちろん「いまの自分では、J1での活躍をイメージできない」とも自覚する。中村忠監督と異口同音に課題を挙げた。もっともっとボールに絡み、ゴールやアシストに直結するプレーを増やさなければと。

「これから、これからっていうのがいまの自分だと思います」

 冬の乾いた日差しに満たされ、寒風にさらされた夢の島競技場。観客は1538人。久保も黙ったままのわけがない。日本サッカーの突き上げを託される世代の鼓動が確かに聞こえた。

文=中川文如

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