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浦和レッズ、ブラインドサッカー体験会に平川らが参加…深まる秋に多くの笑顔が溢れる

2017.10.09

ブラインドサッカーに挑戦する浦和の選手たち [写真]=石田達也

 浦和レッズは8日(日)、大原サッカー場で『ブラインドサッカー体験会』を開催した。

 トップチームの平川忠亮や榎本哲也、李忠成、森脇良太、柏木陽介、宇賀神友弥、オナイウ阿道に加え、ファン・サポーターやクラブスタッフら約80人が体験会に参加した。


 今回で2度目となるこのイベントのきっかけとなったのは、一昨年のある出来事だった。練習中にボールが平川の顏に直撃し、両目が見えない状態が6時間ほど続いた。一時的に視力を失った平川は、新たな気持ちを抱いたという。

イベントの発起人である平川忠亮 [写真]=石田達也

「(視力をなくした時に)自分がサポートをしてもらう中で、何か自分で手助けをできないかと探し、ブラインドサッカーチームの“埼玉T.Wings”を支援したいと申し出ました。そして、体験会に参加して、その楽しさを知りました。どんどん広めていくことをサポートできたら、と」

 ブラインドサッカーの参加者はアイマスクを着用。音の出る特別なボールが使われた。デモンストレーションでは、柏木・宇賀神ペアが、埼玉T.Wingsに所属する日本代表の加藤健人選手とそのチームメートのペアに挑んだ。しかし、柏木と宇賀神は簡単にボールを奪われてしまう。攻守が入れ替わってもボール奪取ができないままタイムアップを迎えた。

 柏木は、「あんなに見えないと思っていなかった。人がいる怖さがあるし、ぶつかったらどうしよう、という感じでした。そういう気持ちで目の見えない方たちも生活をされているのか、と思い知らされました」と話した。日本代表の加藤選手については、「本当にうまいと思いましたし、だからこそ日本代表なのだということも肌で感じ取りました。目隠しをしながらやることで、またうまくなることもあると思いますし、ヒントをいただき勉強をさせてもらったので、自分たちのサッカーにつなげていきたいです」と口にした。

 ブラインドサッカーは通常のサッカーとは異なり、仲間への指示も簡単ではない。ただ単に声を出すだけではなく、仲間のことを思いやり、“何時の方向に何歩”と正確な情報を素早く伝達するコミュニケーションが求められる。加藤選手は、「ブラインドサッカーは言葉でしか伝えることができないので、より選手とコミュニケーションを取れると思っています」と話し、「これを今後に生かしてほしいし、生かせるところはたくさんあります。まずは一歩を踏み出してもらいたいです」と続けた。

伝言PKのワンシーン [写真]=石田達也

 また、この日は、サッカーを通じて防災・減災を学ぶワークショップも行われた。参加者たちは、災害が起きた時に実際にする行動を取る『ファーストアクション』や、パス交換をしながら災害時の備蓄品を言い合い意識付けをする『パスストック』、さらに、PKのキックをしながら情報を次のキッカーに正しく伝達する『伝言PK』も体験した。

 このワークショップを主催し“フットボール×社会貢献活動プロジェクト”を推進するsocial football COLOの荒昌史代表は、こう語る。

「以前、サッカーをしながら防災・減災を体験するイベントで、平川選手にゲスト出演してもらいました。今回は、浦和レッズの皆さんと一緒に、防災・減災のメッセージを伝えることができて、貴重な機会となりました。これを機に防災・減災の意識をもっと広げていきたいです」

 多くの人にブラインドサッカーやワークショップを体験して、さまざまな理解を深めてもらい、コミュニケーションの大切さを実感してもらう、有意義な時間となった。

「サッカー選手として今後もこういった取り組みに積極的に参加したいと思います」(平川)

 ボールが人と人をつなぎ、コミュニケーションが心と心をつないでいく。深まる秋に、たくさんの笑顔が溢れた。

文・写真=石田達也

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