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【ライターコラムfromG大阪】五輪のどん底から取り戻した『楽しさ』…藤春廣輝「もう一度日本代表の舞台に」

2017.09.13

同僚・井手口陽介の活躍も刺激に [写真]=JL/Getty Images for DAZN

 対戦相手の選手がガンバ大阪に対する警戒ポイントに『左サイドからの攻撃』を挙げているのを、よく耳にする。直近の試合であれば、ヴィッセル神戸のMF小川慶治朗も、ルヴァンカップを含めた公式戦3連戦の戦いの中で繰り返していたものだ。

「ガンバの攻撃は左サイドから作られることが多い。僕自身も攻撃で圧力をかけるのみならず、守備面でも後ろの選手としっかり話をし、連携しながら対応しなければいけないと思う(MF小川慶治朗/神戸)」


 そのガンバの『左サイド』の攻撃を語る上で欠かせないのが、DF藤春廣輝の存在だ。J屈指のスピードを武器に安定したパフォーマンスを続けている藤春は、今季も殆どの公式戦にフル出場。最近は持ち味のスピードを生かしつつ、正確な『クロスボール』でガンバの攻撃を加速させているイメージも強い。本人も自信を覗かせる。

「最近は、前線に(ファン)ウィジョという『高さ』をもった選手が増えたことで、より上げやすくなっているというか…ウィジョからは『スペースにあげてほしい』ということを言われていて、実際うまく飛び込んでいってくれることが多いので、より精度が高くなっているように見えるのかも。それによって他のFWも含めて、僕のボールに狙いをもって飛び込んできてくれる選手も増えているし、僕自身も特徴に応じてよりピンポイントであわせられるようになっていけば、もっと得点につながる確率も高まっていくのかなと思っています(藤春)」

藤春

スピードを武器に左サイドで存在感を放つ藤春 [写真]=JL/Getty Images for DAZN

 昨年はオーバーエイジ枠でリオ五輪も経験。今まで感じたことのなかったスピード、パワーを世界の舞台で感じ多くの収穫を得た。一方で、コロンビア戦で痛恨のオウンゴールを献上してしまった事実は心に重くのしかかり、一時は「サッカーをするのが怖い」という境地にまで追いやられたと聞く。それを踏まえて、今季のスタートにあたっては、もう一度、サッカーの楽しさを思い出してプレーすることを心に誓っていた藤春だったが、少なからず今のプレーを見る限り、その『楽しさ』は取り戻したようにも見える。昨年の五輪以降はやや形を潜めていた『攻撃力』も、試合の中で再三にわたって見られるのも、その証拠だろう。と同時に、先日、日本代表が来年のロシアワールドカップ出場を決めた事実も、彼自身をより加速させるものになっているようだ。

「(井手口)陽介しかり、リオ五輪でも一緒に戦った仲間が最終予選の舞台で活躍しているのをみて、素直に嬉しかったし、自分自身もあの五輪で味わった悔しさを取り返すという意味でも、もう一度日本代表の舞台に立ちたいという欲も湧いてきた。ワールドカップ出場が決まった今、ここから先の約9ヶ月はサッカー選手全員にチャンスがあると思っているし、ガンバで試合に出続けることができれば、かつチームの勝利に明確に貢献する姿を示せたら自分にもチャンスはある。しっかりアピールするためにも、アップダウンは当然のように繰り返しながら、クロスボールでどんどんとゴールに絡んでいく姿をもっと増やしていくことにこだわってやっていきたいです(藤春)」

藤春

藤春はほとんどの試合でフル出場 [写真]= JL/Getty Images for DAZN

 その言葉にもあるように、先日のワールドカップ最終予選、オーストラリア戦で、豪快なミドルシュートを決めたチームメイトの井手口陽介はリオ五輪を共に戦った仲間の一人。その彼への注目度が高まっている事実は、ひいてはガンバ大阪への注目が高まっていることにも繋がっている。今後、本大会までの間には日本代表スタッフが再三にわたり、ガンバ大阪の試合をチェックすることになるだろう。そこで目に見えた活躍、結果を残し続けることができればーー。ここ最近はやや遠ざかっているハリルジャパンへの復帰も、必ず見えてくる。

文=高村美砂

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