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【ライターコラムfrom鳥栖】鳥栖の新たな武器となった原川力

2017.03.15

広島戦でFKを決めた原川 ©J.LEAGUE PHOTOS

「柏戦のFKより良かったんじゃないですか? 気持ち良かったです」

 開幕戦の柏レイソル戦に続いて、サンフレッチェ広島戦でもFKを直接決めた原川力はそう振り返って喜んだ。柏戦の時より距離は長く、左側にズレた位置だったが、コース、軌道、スピードのすべてがパーフェクトと言っていいFKを決めて見せた。


「小学1~2年くらいから、ずっと壁にボールを蹴っていました。学校からチョークをもらって帰り、壁に丸印を書いてそこを目掛けて蹴っていました(笑)」

 これが今のFKにつながっているかどうかは「わからない」と原川は話すが、繰り返しボールを蹴ることで精度の高いキックが身についたのだろう。

 FKを蹴る時に彼が大切にしていることがある。それは(相手GKや壁の作り方など)雰囲気を感じることと自分の判断。広島戦ではボールを置いた時に狙うと決めていた。しかし、チームメートから「フォアが開いているからそこに入れた方が良いじゃないか」とのアドバイスを受ける。実際、フォアにスペースがあることも確認したが、「追い風もあったし、風に乗ったら良いかなと思って狙うことに決めました」。最初の判断を貫いたことがゴールという結果につながったのだ。

原川力

FKを決め、喜ぶ原川 [写真]=Getty Images for DAZN

 開幕戦でFKを直接決めてチームに先制点をもたらしたが、その後逆転負け。試合後に「ボランチなんで勝ってなんぼですし、自分の得点よりチームが勝つことが大事です」と敗戦を悔やんだ。個人としての結果を出したが続く川崎フロンターレ戦ではベンチスタート。2つの悔しさを味わっただけに、チームを今季初勝利に導いた広島戦のFKは彼にとって特別なものとなった。

「勝つことが一番大事ですし、負け試合のゴールと勝ち試合のゴールでは価値が全然違う。チーム全体のことや自分のことを考えても、このタイミングで勝てたことが本当に良かったです」

 昨季、サガン鳥栖はFKから直接ゴールを決めたことはなかった。それが今年は原川だけですでに2点決めている。また、鳥栖に空中戦に強いFW豊田陽平やDF谷口博之などがいることを考えれば、原川のFKは直接ゴールだけでなく、味方を生かすこともでき、相手とって大きな脅威となる。その右足からどんなゴールを演出し、チームを勝利へと導くか。新たな鳥栖の武器に注目したい。

文=荒木英喜

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