10月15日、さいたまスタジアム2002にてJリーグYBCルヴァンカップの決勝が行われ、浦和レッズがガンバ大阪をPK戦の末に破り、13年ぶりとなる同大会制覇を果たして幕を閉じた。
カップ戦のファイナルということもあり、会場では様々な催しが実施されたが、今回Jリーグでは、日本でも利用者が急増しているSNS『Instagram』を用いた企画と、SNS『Facebook』が強化をしているライブ配信を実施。『サッカーキング』では、Jリーグの協力を得て、前日練習日と試合当日に同行取材を行った。
Jリーグは大会前、Instagramを日頃積極的に利用している“インスタグラマー”を公募。試合当日のみならず、前日練習やスタジアム施設、大会前夜祭にも潜入し、普段は見ることのできない風景の撮影・投稿をしてもらった。
現在、JリーグではSNSの強化・浸透を図っており、特にInstagramは早い段階から着手し、リーグが持つコンテンツを積極的に活用している。Jリーグ広報部の吉田氏は「インスタグラマーの方は、僕らが被写体として興味をもつ視点とはまた違う角度から被写体を捉え、僕らが想像できないようなものを被写体としていたことが興味深く、インスタグラムを活用した企画の新たな気づきになりました」と、実施した感想を述べた。
公募で選ばれたのはJリーグをよく観戦するというインスタグラマー。通常の試合観戦では見られない現場に潜入したり、試合中には実際ピッチサイドで撮影するなど、貴重な体験をした。「一生に一度しかない日なんじゃないかと」「ワクワクが止まらなかった」と、一人のサポーターとして興奮が抑えきれない様子を見せる。
Jリーグが実施した今回の企画については、「若い子が使っているツールからどんどん発信していけば興味を持つ人は増えるだろうし、やる意味はあると思います」「こういうイベントが定期的にあれば、Jリーグにそこまで興味がない方も関心を示すでしょうし、好きな方はもっと深く好きになるのはないでしょうか」と好意的にとらえつつ、「バブルランやカラーランといった、“写真を撮るため”と言えるイベントがあります。スタジアムでは、もちろんサッカーを見ることが第一義にありますが、待つ時間もあるので、その間に写真を撮って楽しいスポットや、イベントブースがもっと増えるといいかもしれません」と、発展案についても示してくれた。
前述の吉田氏は、「今回のような企画をきっかけとして、特に若年層の方には、まずはスタジアムに来る事が面白いと思ってもらうことが企画を行う上での重要なポイントだと思っています。SNSの積極的な活用を、直接的に来場者数の増加につなげるという事は簡単ではないですが、『スタジアムって面白そう』と思ってもらえるような、きっかけを提供できればと考えています」と語る。
もちろん新規ファン獲得だけに注力するのではなく、「普段からスタジアムに足を運んでくれる方たちが積極的に発信してくれるような仕組み作りを僕らは整える必要があります。例えばスタジアムへ向かう道中に撮影スポットを設けるなど、拡散につながる工夫をするなど。スマートスタジアムもその一環で、スタジアム内にWifiが整備されることで情報を受け取る側が簡単、かつスムーズに情報を得られるだけではなく、情報を発信する側の発信しやすさにもつながるものだと考えています」と続け、現在Jリーグが各スタジアムでの通信環境の改善などを試みている“スマートスタジアム”についても触れている。
また、試合当日はJリーグの公式Facebookページで、スタジアムの様子や選手の試合前、試合後の表情など、大会の舞台裏を「Facebookライブ動画」機能を活用して中継した。Jリーグのマーケティング担当である藤原氏は、「新規層開拓は目的の一つとしてあります。Jリーグ側からプッシュすることができますし、生活のタイムラインに出てくるようにもなります。新規層と既存ファン層の二軸を踏まえて展開していくことが大事ですね。SNSが広まった世の中で、マインドシェアを増やすことが大切だと考えています」とコメント。Facebook Japan・パートナーシップス担当の綾尾氏も「Facebookライブの魅力の一つは、リアルタイムにコミュニケーションできること。動画を閲覧している側がコメント欄で質問をし、出演者がそれに答えるなど、双方向で楽しむことができます」と、ライブの持つ魅力と説明し、今後の認知拡大に期待を寄せた。
Jリーグは今回のInstagramやFacebookといった各種SNSの運用を強化しており、来シーズンからは試合映像制作がこれまで試合放送を担っていたスカパー!からJリーグへと移ることもあり、積極的なコンテンツ活用を視野に入れている。
【ルヴァンカップ決勝の撮影に参加したインスタグラマー6名のアカウント】
By サッカーキング編集部
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