2016.03.28

「賭けだった」“覚悟”の移籍…仙台の堅守を支えるベテランDF平岡康裕

YOKOHAMA, JAPAN - FEBRUARY 27:  (EDITORIAL USE ONLY) Yasuhiro Hiraoka of Vegalta Sendai in action during the J.League match between Yokohama F.Marinos and Vegalta Sendai at the Nissan Stadium on February 27, 2016 in Yokohama, Kanagawa, Japan.  (Photo by Etsuo Hara/Getty Images)
今季から仙台でプレーする平岡 [写真]=Getty Images
サッカーキング編集部

 堅い守備を武器に勝ち点を積み重ねるベガルタ仙台で、いぶし銀の輝きを放つセンターバックがいる。今季、清水エスパルスから期限付き移籍で加入した平岡康裕。今年5月で30代に突入するベテランは、仙台への加入を「賭けだった」と語る。

 清水では、2008年のコンサドーレ札幌への期限付き移籍を挟み、10年間にわたってプレー。2014シーズンには、センターバックながらリーグ戦フルタイム出場で一度も警告を受けず、フェアプレー個人賞を受賞する快挙を成し遂げた。しかし、さらなる躍進が期待された昨シーズンは、「プロ生活の中で一番苦労した年だった」と振り返る。チームは屈辱のリーグ最多65失点を喫し、年間17位でJ2に降格。平岡自身も度重なるケガに悩まされ、リーグ戦の出場は18試合にとどまり、ディフェンスリーダーとしての役割を果たせなかった。

 そんな中で迎えた今シーズン、仙台への期限付き移籍という挑戦の道を選んだ。「ここで結果が出なければ他からも声が掛からないし、エスパルスに戻ってこいと言われるかどうかもわからない。移籍するからには、この歳だからこそ強い覚悟を持って来た」。結果を残せなければ、プロ生活が続かないかもしれない。その危機感がベテランDFを奮い立たせた。

 シーズン前に30日以上も実施された長期キャンプと、平岡自身の温和な性格もあって、新天地ではすぐにチームに溶け込むことができた。また、戦術面でも「やろうとしていることがはっきりしているので、チームのコンセプトは早い段階で頭に入ったし、清水と同じ4バックなので、そこまで違和感なくできた」と理解力の高さを発揮し、開幕戦からレギュラーに定着。27日のJリーグヤマザキナビスコカップ グループステージ第2節、柏レイソル戦でチームとして今季公式戦4度目の完封勝利を果たすと、「本当にギリギリで守りきった試合だったけど、勝ちきれたことは自信になる」と安堵した。

 そこには、苦悩し続けていた昨シーズンから一変した、たくましさに満ちた表情があった。「歳もあるけど、昨年ケガが続いたことには原因があると思うので、今年はプロに入ってから今までで一番、体のケアに気を使っている」。プロ生活で“一番苦労した”一年間の経験が、意識を変える大きな原動力になっている。平岡は、「間違いなく去年の経験があったからこそ、今の結果がある」と語気を強めた。

 2005年にともに清水に加入した岡崎慎司(レスター)は、今や世界を舞台に活躍を続けている。「(岡崎は)エスパルスに入ったばかりの頃はメンバーにも絡めなくて、自分の本職ではないポジションもやっていたけど、努力で這い上がったからこそ、今プレミアリーグでトップに立つチームのストライカーでいられるのだと思う。去年は(IAIスタジアム)日本平にも試合を観に来てくれたし、やっぱり点を取れば全国区でニュースに取り上げられるので、刺激になる」。ポジションは違えども、同じチームでプロ生活を歩み始めた同学年の飛躍は、意識せずにはいられない。

 年齢を重ねるごとに体力面は衰えが生じてしまうものだが、経験値がプレーに大きく反映されるセンターバックは、ここから魅力が増していく。「歳を重ねた分だけ、味の出たプレーというか、自分の色を出せたらいい。それに結果が伴えば、この歳でも自分の成長を実感できると思う」。新天地で、持ち前の安定感や堅実さに磨きがかかった平岡。強い決意の下に挑戦を続けるベテランDFの、いぶし銀の輝きは増すばかりだ。

文=平柳麻衣

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