2016.03.19

不運なイメージを払拭へ…悪夢から1年、小林悠が念願の日本代表で復活弾を狙う

小林悠
甲府戦にフル出場した小林悠。代表合流前最後の試合を無事に終え安堵した [写真]=春木睦子
サッカーキング編集部

 川崎フロンターレFW小林悠が左足首を押さえながらピッチに倒れこむと、スタジアムに一瞬の緊張感が走った。

 19日、川崎は敵地で行われた2016明治安田生命J1リーグ・ファーストステージ第4節でヴァンフォーレ甲府と対戦。この試合に先発出場した小林は58分、車屋紳太郎からのスルーパスに反応してペナルティエリア内左に抜け出したところで、相手DFのタックルを受けて左足首を押さえながら倒れこんだ。観戦に駆けつけた川崎サポーターから心配の声が上がり、約1年前の悪夢が脳裏をよぎるーー。

 2015年3月22日、J1ファーストステージ第3節のモンテディオ山形戦でピッチにうずくまる小林の姿があった。右ハムストリング肉離れ。全治約4週間と診断され、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の初陣に臨む日本代表の辞退を余儀なくされた。

 その後も昨季は再三にわたってケガに悩まされた。5月に右ひざ半月板損傷で手術を受け、全治約6週間。復帰から間もない7月中旬に右ふくらはぎを肉離れし、11月には右足関節の打撲とねんざで約3週間の離脱。結果、これで自身のシーズンを終えてしまう。

 だが、迎えた今季はJ1開幕から2試合連続ゴールと最高のスタートを切った。その活躍で3月7日〜9日にかけて行われた日本代表候補合宿のメンバーに選出。そこでハリルホジッチ監督が「かなりのクオリティーを見せてくれた」と評価するほど好調を維持。鋭くタイミングのいい抜け出しは、ミニ合宿の中でも非常に際立った存在感を見せていた。

 順調に代表復帰への道を歩んでいた小林に、意外な落とし穴が待っていた。12日の名古屋グランパス戦を前にインフルエンザを発症し、5日後に迫る日本代表メンバー発表を前に行われる最後の試合を病欠。これには本人も「先週、代表の合宿から帰ってきて、インフルエンザになった瞬間に『またか!』って思いました」と本音を漏らす。

 病気に足を引っ張られたものの、代表メンバー発表前に練習に復帰。ハリルホジッチ監督は「代表に呼んで状態を見ていきたい」としつつも、「このA代表で得点を取れる稀な選手。我々に足りなかったゴールゲッターとしての素質がある」と、その能力に惚れ込んで招集を決断。小林にとって約1年ぶりの代表復帰が決まった。

 17日の代表発表から2日後、甲府戦の試合キックオフを待つピッチにインフルエンザから復活した小林が立っていた。代表辞退を強いられた悪夢から約1年、「(ケガの怖さは)ちょっと頭にあったけど、あまり意識してもしょうがないと思ったので考えなかった」と不安を払拭しきれないながらも、前を向いて試合開始のホイッスルを聞いた。

 そして58分、相手DFのタックルを受けての転倒でスタジアムに走った緊張感は、杞憂に過ぎなかった。何事もなく起き上がると、最後まで走り続けてフル出場。結果はノーゴールに終わったものの「チームが勝って良かった」と4-0の完勝を喜ぶ顔には安堵の色が浮かんだ。

「先週インフルエンザになって休んでしまったので、90分やるのはなかなか体力的にきついかなと思った。やっぱりきつかったけど、チームが勝ったのでそれが一番良かった。今日、何とか無事に終われて(無事に)代表に行けると思った」

 だが、ケガをせずに試合を終えたことよりも、「ゴールを決めたかった」と悔しさを隠さない。このストライカー然としたコメントも印象的だ。長く待ち望んだ日本代表の舞台で、これまでの想いをぶつけるべく意気込む。

「代表ではFWで出ると思うので、ゴールにこだわっていきたい。今日も何度か裏へ抜け出せる場面もあった。これが自分の良さだと思うので、代表でも積極的に出していきたい。自分の良さを最大限生かして代表の力になれるように頑張りたい」

 前回の代表辞退から約1年、度重なるケガを乗り越え、心身ともに成長した小林悠の姿がある。日本代表では過去三度の負傷辞退を強いられるなど不運な巡り合わせにあったが、そのイメージを払拭するには自らの特長を最大限に生かしたプレーでハリルホジッチ監督に、チームメートに、対戦相手に、そして日本中のサポーターに強烈なインパクトを与えることだろう。ジャパンブルーのユニフォームを身にまとうのは、2014年10月にシンガポールで行われたブラジル戦以来。ついに日の丸を背負って戦う舞台に戻ってきたストライカーが、埼玉スタジアムで自身の“証明”とも言えるゴールを狙う。

文=湊昂大

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