2016.02.23

飛び級で刺激を…C大阪期待の逸材、現役中学生DF瀬古歩夢のJデビューはあるのか

瀬古歩夢
セレッソ大阪の下部組織に所属する瀬古歩夢 [写真]=川端暁彦
2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

 生まれ落ちたそのときから「夢に向かって歩く」ことを託されていたセレッソ大阪期待の逸材が、新シーズンで新たな一歩を踏み出すのではないかと話題になっている。

 今春からC大阪U-18へ昇格するDF瀬古歩夢は、現在中学3年生(4月から新高校1年生)。183センチ・72キロという中学生離れした体躯を誇り、昨年末の高円宮杯全日本ユース(U-15)選手権ではゴール前の競り合いで「無敵」に近い存在感を発揮。チームを後方から支えて全国制覇を為し遂げた。一回戦の時点で「絶対に優勝しますよ!」と豪語しており、まさに有言実行の戦いぶりだった。

 昨秋の時点でC大阪U-18(高校生チーム)の一員としてJユースカップで先発出場を果たすなど、クラブはフィジカル的に中学生の域を超えている瀬古に「飛び級」で刺激を与えてきた。近年は若手育成の頭打ち感があることもあって、日本サッカー界として「もっともっと才能ある選手を飛び級させて、使っていきたい」(霜田正浩技術委員長)というムードがあるだけに、瀬古のように肉体的に早熟な選手を早めに上のカテゴリーへ送り込むという流れはできている。

 まだ正式決定ではないようだが、ユースチーム所属のままでトップチームの公式戦に出場できる2種登録選手となれば、今季から明治安田生命J3リーグを中心に、活動を開始するC大阪U-23の一員としてもプレー可能。3月デビューがあるかはともかく、U-23チームのCBに負傷者が相次いでいることも、瀬古を飛び級で抜擢しようという流れを生んでいるようだ。

 U-16日本代表でも主軸センターバックとして期待される瀬古の特長は、単純なサイズ感だけではない。ボランチもこなせる確かな足元の技術があり、ロングキックの質の高さも目を惹くもの。ヘディングの競り合いも、単純な強さ以上の上手さがあって、国際試合でも見劣りしない迫力がある。

 C大阪のアカデミーの基本方針は、「牙を抜かない」(大熊裕司U-23監督)こと。ガムシャラにガツガツ行く姿勢を尊び、臆病の温床となるリスク回避を嫌う。「蹴るな。つなげ」という指導者が増えたご時世だが、ロングキックもC大阪は「行ったれ!」。競り合いにしてもプレスにしても「行ったれ!」が基本方針。指導者がブレーキを踏むのではなく、「行ってやられて、覚えればいい」(同監督)という姿勢で、瀬古のようなアグレッシブな選手を育ててきた。

 同学年とプレーしていると、瀬古が「行ってやられる」シーンを観る機会はどうしても少なくなる。まだまだ課題もあるのにそれを認識できなくなってしまうようだと、彼自身の伸びしろがなくなってしまうので、飛び級させて刺激を与えていくことを指導者が考えるのも必然だろう。サイズのある選手の育成は、日本サッカーにとって積年の課題。オオカミを育てるC大阪の育成組織が、瀬古をどう鍛え上げていくのか楽しみに待ちたい。

文=川端暁彦

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