サッカーゲームキングジャック6月号
2015.12.07

大一番で痛恨の負傷交代…“ミスター・トリニータ”高松「今は何も考えられない」

高松大樹
J3降格が決まり方を落とす大分FW高松大樹 [写真]=春木睦子
サッカーキング編集部。学生時代から全国のスタジアムへ通い続けてきた経験と人脈を生かして、Jリーグを取り巻くピッチ内外のネタを探り続ける。

 サポーターに愛された“ミスター・トリニータ”も、痛恨のJ3降格に顔を上げることができなかった。

 FC町田ゼルビアとのJ2・J3入れ替え戦に臨んだ大分トリニータは6日、大分銀行ドームで行われた第2戦を0-1で落とし、2戦合計1-3で敗戦。2013シーズンにJ1で戦っていたクラブが、まさかのJ3降格を余儀なくされることになってしまった。J1経験クラブのJ3降格は史上初めて。かつてヤマザキナビスコカップを制したこともある大分の凋落は、日本サッカー界に大きな衝撃を与えた。

 初戦の結果を受けて勝利が必要不可欠となった大分は、初戦から先発メンバー5人を変更。攻撃姿勢を前面に押し出して第2戦に臨む。その象徴的な存在が、2000年から大分に在籍(2011年のみFC東京へ期限付き移籍)する“ミスター・トリニータ”高松大樹の存在だった。

 愛するクラブのJ2残留を目指して大銀ドームのピッチに立った高松だったが、開始2分で思わぬアクシデントに見舞われる。相手に右足を踏まれた際に足首をひねってしまったのだ。本来ならば交代を余儀なくされるほどの状況だったが、「本人が前半はやりたい」(柳田伸明監督)と申し出たこともあって強行出場し続ける。

 だが、やはり負傷が尾を引いたのだろうか。9分にエヴァンドロに右クロスをドンピシャのヘディングで合わせるもシュートはGK正面。そして34分には安川有が倒されて得たPKを痛めた右足で蹴ると、これが町田GK高原寿康のファインセーブに阻まれてしまう。第1戦を1-2で落としながらアウェーゴールを決めていた大分にとっては、2試合合計で同スコアに追いつき、残留を大きく引き寄せるゴールを決めきれない状態が続いてしまう。

 結局、高松はハーフタイムで伊佐耕平と交代。胸に期するものがあったであろう大一番で結果を残せず、不本意な形でピッチをあとにしてしまう。チームは後半にPKから失点を喫すると、終盤の猛攻も実らずタイムアップ。最後の最後まで熱い応援を続けていたサポーターも歌を止め、大銀ドームには町田サポーターの歓喜だけが響き渡った。

 頭を垂れながら場内を回るチームにあって、高松も悲痛な面持ち。ホームゴール裏のサポーターにあいさつすると、ベンチコートのフードを頭にかぶり、うつむいたまま歩を進めた。

 2008シーズンにヤマザキナビスコカップを制した際には現在、日本代表としても活躍する西川周作(現浦和レッズ)、森重真人(現FC東京)、清武弘嗣(現ハノーファー/ドイツ)、金崎夢生(現鹿島アントラーズ)ら若手選手をけん引する形で不動のエースストライカーとしてプレー。得意のヘディングで決勝ゴールとなる先制点を叩き込み、大会MVPにも選ばれたこともある。J1、J2通算でリーグ戦通算351試合出場74得点という成績を残し、大分で栄華を極めた経験を持つ高松は人一倍クラブ愛の強いタイプだけに、J3降格はあまりにショックだったのだろう。

「現実を受け止めて、今は何も考えられない……」

 ミックスゾーンに姿を表し、沈痛な表情で絞り出すように一言だけ発した高松は、痛めた右足をしっかりとテーピングで固定し、松葉杖姿で大銀ドームを後にした。

文=青山知雄

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