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48歳を迎えたカズ、初心に戻り真っ赤なスーツで語るプロ30年目の決意

2015.02.26

真っ赤なスーツで登場した横浜FCの元日本代表FW三浦知良(中央)

 2月26日、48歳の誕生日を迎えた横浜FCの元日本代表FW三浦知良が、プロ生活30年目という節目にあたり、これまでのサッカー人生を振り返りつつ、新シーズンに向けての意気込みを語った。

 真っ赤なスーツで登場したカズは、「昨年が白だったので、今年はちょっと明るく赤で」と、1993年にJリーグMVPを獲得した際にバルーンから登場したシーンを彷彿とさせる服装で登場。「22年前にJリーグのMVPを取った時と同じ赤いスーツで、初心に戻って、強い気持ちで頑張りたいという決意も込めて」と派手な衣装をまとった理由を語った。


 この日、カズの誕生日を祝うべく集まったメディアは、テレビ、新聞などを合わせて約70名。新しくJリーグ特命PRマネージャーに就任した佐藤美希さん、Jリーグ親膳大使となったフォーリンデブ★はっしーさんも足を運び、「両親がカズさんと同学年」という佐藤さんから年齢と同じ48本の赤いバラの花束が、はっしーさんからはカズの肖像画が描かれた特大のバースデーケーキが贈呈された。「皆さんにこうやって毎年集まっていただいて、盛大に祝ってもらうことが自分自身のモチベーションにつながりますし、本当に幸せに感じます。こういう場に立つと、今年も一試合でも多く試合に出て、ゴールを決められたらと改めて感じます。僕としてはサッカー人生を続けていく上で強いモチベーションにつながっていく。これを結果で恩返しできるように頑張っていきたいと思います」と笑顔をこぼしつつ、プロ選手としての矜持を示した。

 年男という区切りについて12歳から順に聞かれると、「12歳はブラジルに行ってプロになりたいという夢を持っていた頃。卓球クラブに入ったりして違うものをやりたくなった時期ではあったけど、プロになりたいと本当に思い始めた時期だった。24歳の頃は日本代表に入り始めて、勢いも肉体的強さも、夢も希望もありました。読売クラブに帰ってきて2年目で、日本サッカーになじみ始めた頃。自分自身に期待していた思い出があります。当時はサッカーの世界だと30歳くらいが一つの区切りだと言われているので、自分も32~33歳くらいで引退するんだろうなと思っていましたね。30歳で肉体的な衰えを感じ始めて、36歳の時に大きな肉体改造をしたので非常によく覚えています。体の疲れやプレーの切れが以前とは全然違う感覚があって、新しいフィジカルコーチを迎え、新しい哲学やトレーニング方法を取り入れた。その時は年男について全く意識していませんでしたけど、今回はみんなに言われるので意識させられます」とコメント。30年間のプロ生活を振り返って、精神面や肉体面で変化がある一方、変わらないものとして「試合に出たいという気持ち、練習や試合に向けての意欲や情熱」を挙げた。

 プロ30年目のシーズンに向けて、昨年12月上旬から個人的に二度にわたるグアムキャンプを実施。昨シーズンは開幕前の負傷が影響してリーグ戦2試合4分間の出場にとどまる悔しい一年を過ごしており、そこからの巻き返しを図るべく、ストイックに体を作り上げた。個人的には「コンディションはこの2~3年で一番いい」と語るものの、「まだそれがチームにフィットしていない感じがある。サッカーはチームスポーツなので、どれだけチームと連動していい動きができるか」と今後の課題も口にしている。また、期待される“カズダンス”については、「いつも鏡を見て練習しているわけではないですからね(笑)。その時の思いつきや流れでやるので、新しいバージョンかもしれませんし、90年代に戻っているかもしれません。まあ、できるだけシンプルに仕上げたいなとは思います」と集まった報道陣を笑わせた。

 ついに48歳を迎えたカズ。今後については「できることならずっとサッカー選手でいたい。自分の中で肉体の限界がどういうものなのかは分かりませんし、自分はサッカーができる限り、契約してくれるクラブがある限りはプレーし続けたい」と話している。30年前にプロ生活をスタートさせたブラジルに関しては、「正直、少しでもいいからプレーしたいという気持ちはありますね。ただ、実際にプロとして契約してくれるクラブがあるかどうかは別問題。(かつて在籍したキンゼ・デ・ジャウーの会長が「いつでも歓迎すると言っていた」と言われて)自分が戦力になれるなら考えてもいいかなと思う」と思いを馳せていた。

 一日一日に勝負を懸ける――。このプロサッカー選手としての姿勢は今も変わらない。今日の練習、次の練習試合、そして開幕戦。目の前にあるものをクリアするために全力を尽くすのが、カズのスタイルだ。

「毎日が勝負。これはずっと同じですね。個人的にはこれだけ注目してもらえるのはやりがいがあるし、こうやっていつまでも集まってもらえるようにまだまだ頑張らなければと思う。今度はスタジアムに集まってもらって、プレーの記事を書いてもらえるようにしていきたい。いいコンディションで来ているので、これからも油断せずに集中力を高めて、一致団結して、いい形で開幕を迎えたい。そしてチームの勝利や僕のゴールで皆さんに喜んでもらいたいですね。ずっと応援してくれている人も、最近見るようになった人も含めて、みんなのために何かサッカーで恩返しができたらと思う。いい時も悪い時も常にそばに居てくれるのがファンの皆さん。そういう人たちにも恩返しをしたいなと思います」

 48歳を迎えてなお現役を続ける日本サッカー界の“キング”。初心に戻って赤いスーツを身にまとったカズが、節目となるプロ生活30年目のシーズンに強い決意で踏み出した。

文=青山知雄

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