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7年ぶりの円安更新でバーゲン状態…草刈り場となったC大阪を狙うのは欧州クラブ?

2014.12.10

開幕時は優勝候補にも挙げられていたC大阪 [写真]=Getty Images

 シーズン当初に誰が想像していただろうか――。

 11月29日、J1第33節で鹿島アントラーズに敗れたセレッソ大阪はJ2への降格が決定した。今シーズンはウルグアイ代表FWディエゴ・フォルラン選手をJリーグ史上最高年俸6億円(推定)で獲得し、C大阪生え抜きの日本代表候補である南野拓実扇原貴宏山口蛍を擁し、シーズン途中には元ドイツ代表FWカカウまで補強しながらのまさかの事態である。


 セレッソ大阪はいわゆる「若手育成型クラブ」だ。選手を育成し、売却する。その象徴的な存在がドルトムント香川真司である。 香川は2012年のドルトムントのリーグ連覇の時と比べると調子を落としているものの、現在でもミラン本田圭佑と並び、欧州で一流選手として評価されている。 その香川の後を追ってC大阪からは乾貴士(フランクフルト)、清武弘嗣(ハノーファー)、そして柿谷曜一朗(バーゼル)も欧州進出を果たしており、スカウトの評価は高い。

 来季はJ2に下がってクラブ収入の激減が確実となり、前述選手らの年俸はクラブ経営上重荷となるため、C大阪が主力選手の放出に踏み切る可能性は高い。

 日本人3選手は、一部の報道ではJ2に降格しても残留するような声も聞こえてきているが、年齢も若く(南野/19歳、扇原/23歳、山口/24歳)、以前から国内外から高い評価を受けている選手たちだ。他クラブも状況を注視しているだろう。

 そこで注目したいのが、欧州クラブの動向だ。日本銀行による金融緩和政策が円安を後押しし、7年ぶりにドル円相場は120円に達した。ユーロもほぼ同様に円安に推移しており(10月末から比較すると対ドル7.0%、対ユーロは5.6%円安)、この傾向はまだ続くと予想される。つまり、欧州のクラブからすれば日本人選手はバーゲン状態だ。

 J2に降格したため、C大阪の選手に対しては更に交渉のハードルが低くなっているだろう。また、日本人選手は海外志向が強い選手が多いため、欧州クラブの価格交渉力が強くなる傾向にある。

 単純比較は難しいが、2012年に清武は推定102万ユーロ(当時のレートで1億円)でニュルンベルクに移籍したが、仮に今の為替レートであったならば、約3割オフの67万ユーロで済む計算になる。円安が基調トレンドである現在、より安く買い叩くため、選手たちの移籍は期限一杯まで伸びる可能性がある。

 さらに、香川、かつてオランダ在籍時の本田がそうであったように欧州クラブにとって日本は良質な「仕入先」だ。選手を安く獲得し、高く売却する事で収益をあげることが可能なのである。ドルトムントは2010年7月に香川をたった35万ユーロ(当時のレートで約4000万円)で獲得した。その2年後、香川はマンチェスター・Uに約46倍の1600万ユーロ(当時のレートで16億円)で売却されている。

 その後、今年8月に800万ユーロ(約11億円)で香川を買い戻しているものの、およそ4億6000万円の差益を得ているわけだ。

 C大阪にとっても海外への選手放出は悪い話ではない。国内のライバルクラブに放出するよりも、円安により選手売却益は多く出やすくなっており、またファン心理的にも納得しやすいだろう。

 一方で、円安の影響により移籍期限終了間際まで決まらない場合、チームの再構築が遅れ、事態はさらに深刻になる可能性もある。今後クラブの経営陣がどのような判断を下すかに注目したい。

(記事/ZUU online)

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