2014.09.03

Jリーグ健全経営ベスト3、稼ぐチームはここが違う

浦和レッズ
サポーターとともに勝利を喜ぶ浦和レッズの選手たち [写真]=清原茂樹

 2013年のJクラブの経営状況が発表されました。債務超過ではなく、黒字決算である経営的に優秀なクラブとして、Jクラブの決算が公開されるようになった2005年度以降、9年連続の黒字決算の川崎フロンターレとヴァンフォーレ甲府があります。また、Jリーグで営業収益No.1の浦和レッズがあります。

■健全な経営をしている上位3チーム

 2014年7月22日、2013年度のJクラブ経営情報がJリーグから開示されました。Jリーグ側は(1)『2012年度から3期連続の赤字』(2)『2014年度末時点で債務超過』のJクラブに対してクラブライセンスを更新しない、つまりJリーグから退会させる方針を示しています。このクラブライセンス制度に対して、(1)『3期連続赤字』となるクラブは、名古屋グランパス、栃木SC、ザスパクサツ群馬、ヴィッセル神戸、アビスパ福岡の5つのクラブです。また、(2)『債務超過』となるクラブは、横浜F・マリノス、サガン鳥栖、大分トリニータ、コンサドーレ札幌、栃木SC、群馬、FC岐阜、神戸、福岡、ギラヴァンツ北九州、ロアッソ熊本の11クラブです。

 さらに、(1)と(2)の両者を満たすのは、栃木SC、群馬、神戸、福岡の4つのクラブです。一方、債務超過ではなく、黒字決算であり、Jクラブの決算が公開されるようになった2005年度以降、9年連続の黒字決算のクラブは、川崎フロンターレとヴァンフォーレ甲府の2クラブです。Jリーグで営業収益No.1の浦和レッズを加えた3つのクラブについて、健全経営ベスト3として、記していきたいと考えます。

■川崎フロンターレ

 2005年度以降9年連続の黒字決算のクラブのひとつ、川崎の2013年度の決算は増収減益。営業収入が2009年度の3604百万円をピークにマイナス基調へと転じる中、営業費用を圧縮して黒字を堅持しています。人件費は、5年間で394百万円も削減しました。人件費削減はチーム成績の低下につながりやすいですが、2011年度11位、2012年度8位、2013年度3位とだんだん成績がよくなっています。しかしながら、川崎の2013年の営業収益3214百万円のうち、53%にあたる1702百万円が広告料収入であり、その多くが富士通グループからの広告料となっています。したがって、今後安定的な収益を確保するためには、富士通グループ以外のスポンサーの開拓や入場料収入、グッズ販売を伸ばしていく必要があると思われます。川崎の入場料収入およびグッズ販売収入は、2015年に等々力陸上競技場の改築が終わり、席数が増えるため、増加することが期待されます。

■ヴァンフォーレ甲府

 2005年度以降9年連続の黒字決算のクラブのもうひとつ、甲府は1998年に債務超過となり、かつては深刻な経営危機に直面しましたが、2000年にチームの整理・解散を前提として山梨日日新聞社から送り込まれた海野一幸社長がいずれも前年実績の約2倍となる広告収入・クラブサポーター(ファンクラブ)会員数・1試合当たり平均観客数の3つの条件をクリアしてチーム存続にこぎ着けました。2001年の黒字額は258万円で累積債務額の1%にも満たないものでしたが、2002年以降、その黒字額は広告収入と共に増加していきました。甲府は徐々に地域社会へ定着し、2004年には平均観客数がクラブサポーター会員数を上回りました。2006年のJ1昇格以降も甲府の営業収益は伸び続けました。「ヴァンフォーレ甲府経営委員会」の開催によって、クラブ経営の安定化が進められています。出資者である山梨県、甲府・韮崎両市役所などと経営危機への対応や協力関係について話し合われています。

■浦和レッズ

 2013年のJクラブの経営状況の中で、浦和の入場料収入は2132百万円で、J1・18チームの中で断トツ1位。2位の横浜F・マリノス(1069百万円)の2倍もあります。J1・18チームの入場料収入の平均は、693百万円となっています。また、営業収益に占める入場料収入の割合が、浦和は37%、J1・18チーム平均が23%と、入場料収入の占める割合が非常に高いことがわかります。観客動員数は浦和が68万人(1位)、横浜FMが51万8000人(2位)と2倍も差が無いのですが、入場料の単価が、浦和が3132円(1位)、横浜FMが2064円(9位)と1.5倍もの差があります。浦和の入場料収入の多い要因は、観客動員数が多く、定価にほぼ近い入場料が得られているからだと考えられます。

 また、入場料単価がJ1・18チーム中1位であるのは、浦和がチケットの割引販売や無料配布をほとんど行っていないためであると思われます。このように入場料収入の多い浦和は、ファン、サポーターに経営を支えられているサッカークラブであると言えます。ファン・サポーターを増やすには、チームが地域密着型になることが重要であると考えます。2005年、クラブは地域のみんながスポーツを行うための総合スポーツランドとして「レッズランド」をオープンしました。また、浦和には「サッカーを通して技術ではなく心を育むプログラム」として「ハートフルクラブ」があり、子供たちの思いやりやコミュニケーション、工夫する力などを養い育む活動を推進しています。

■まとめ

 川崎には富士通グループからの広告料収入というアドバンテージがありますが、身の丈にあった経営で黒字を維持しています。甲府は地域に密着し、ファンを増やして黒字を確保しています。浦和は入場料収入やグッズ販売収入の構成比を高め、広告料収入に依存しない経営に成功しています。

(記事/ZUU Online)

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