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強さだけじゃない!大阪から3チーム目のJリーグ参入を目指すFC大阪が考える「まちスタ」とは

2022.08.30

 大阪府東大阪市をホームタウンとして活動しているサッカークラブ「FC大阪」。現在はJFLに所属し、7月末にはリーグ戦で3連勝を成し遂げ、暫定首位(8月17日時点)でサマーブレイクを迎えた。

「大阪から3チーム目のJリーグ参入を目指す」FC大阪とはどのようなクラブなのか。また、FC大阪が掲げる「東大阪まちごとスタジアム構想」とは何なのか。株式会社F.C.大阪代表取締役社長の近藤祐輔氏と、営業本部長の小谷成太氏に話を聞いた。

記事提供=FiNANCiE

―――FC大阪について教えてください。

近藤 チームは1996年に設立されました。2009年くらいに本格的に「Jリーグクラブを目指そう」と、機運が高まってきて、元Jリーガーも多くチームに入ってきました。私自身もその時期に加入しまして、当時カテゴリーは大阪府2部リーグでしたが、チームはどんどん強くなっていきました。そこから順調に勝ち上がっていき、2015年にJFLに参入しました。そして2018年に大阪府とスポーツ界初の包括連携協定を結び、同年の11月に東大阪市がホームタウンとして承認され、今に至ります。

株式会社F.C.大阪代表取締役社長/近藤祐輔氏

―――東大阪市がホームタウンになったのはチーム設立から時間が経ってからだったのですね。

近藤 2019年シーズンから東大阪市をホームタウンとして本格的に活動を始めました。その年に東大阪市の花園中央公園多目的球技広場陸上競技場で初めて試合をさせてもらって、2020年には「Jリーグ百年構想クラブライセンス」と「J3リーグライセンス」を獲得し、花園ラグビー場第2グラウンドでの試合開催も叶いました。今シーズンは6月19日の鈴鹿ポイントゲッターズ戦にて、ついに花園ラグビー場第1グラウンドで初めての公式戦を開催することができて、12152名の方にご来場いただけました。

6月19日の鈴鹿ポイントゲッターズ戦

―――東大阪市を中心にファンも増えてきました。FC大阪は地域貢献に力を入れているのが印象的です。その背景には何があったのでしょうか?

近藤 2015年からJFLに参入したものの、「ホームタウンがない」という最も大きな課題があり、2018年までの3年間はJリーグに上がれないただのクラブチームの時期を過ごしてきました。サッカークラブも営利団体なので、クラブを強くするためにはお金を集めないといけないですよね。当時で言うと、ホームタウンもない、Jリーグに上がれる可能性がそもそも無いクラブが自力でマネタイズをするのは厳しかったです。しかも大阪にはガンバ大阪、セレッソ大阪という強豪チームがすでにある。それもあって同じ土俵で戦うのはさらに難しかったですね。

―――2018年に念願のホームタウンができました。

近藤 2018年に東大阪市のホームタウン承認が下りました。そこで我々が何を一番にやっていこうと考えたかというと、「社会課題解決」と「地域課題解決」です。我々の力だけでなく、スポンサーさん、地域の方々、学校、ファンやサポーターなどのステークホルダーの人たちと共創して、様々な課題を解決していくことを目的に、それをFC大阪の経営理念にも掲げてここまでやってきました。

―――現在特に力を入れている取り組みなどはありますか?

近藤 東大阪に来てくれた人や、関わってくれている人たち、地域の方々と連携して、「東大阪まちごとスタジアム構想」を考えています。サッカーを中心にして、東大阪市の経済が回る仕組みを実現できたらいいなと思いますね。

 背景として、東大阪市にはラグビーW杯をきっかけに改修された、花園ラグビー場があります。W杯時には沢山の方が東大阪市に足を運んだと言われていますが、当時は物販にも様々なルールがあった関係で、商業的な潤いが思っていたよりも低かったと聞いております。せっかく東大阪へ来てくれた人々に、もっと東大阪市の良いところを知っていただいたり、一部の人々が喜ぶのではなく、まち全体が盛り上がることができないかと思いました。

 そんな現実を目の当たりにしたこともキッカケとなり、現在「まちスタ」は、FC大阪と協賛企業と東大阪市とで地域DXのパートナーのような形で手を組んで少しずつ進めています。ゆくゆくは地域通貨のような形で発展させて、地域の店舗でその通貨が使えたり、試合と連動して割引があったり、FC大阪を起点にいろんなプラットフォームを作ろうとしている最中です。

―――新たな取り組みとして、FC大阪トークンも発行されました。お話しにあがった「社会課題解決」や「地域課題解決」とも関係はあるのでしょうか。

小谷 まず、FiNANCiEを導入したキッカケとしては、現在同じJFL所属のクリアソン新宿さんのプレスリリースを見たことでした。クリアソン新宿さんの、「サッカーの力を活用したまちづくりプロジェクトをトークンホルダーと一緒に進めていく」という打ち出しがとても魅力的だと思いました。

 これまでは我々からの一方通行な発信が多くて、ファンや地域の方と一緒に何かを創り上げたりする機会は少なかったです。そこで、FiNANCiEを通して様々な部分で「共創」ができれば、また違った視点からFC大阪を見てもらえるキッカケにもなりますし、ファンや地域の方達にも当事者意識を持って参加してもらえるので、エンゲージメントも高まる、そこにプラスしてマネタイズも出来るので、クラブにもメリットがあると思いました。

 ホームタウン活動という視点で見てみると、2018年から活動を開始して、そこから2年経たないうちにコロナ禍になって、他チームに比べてリアルでの体験もかなり少ない状況です。だからこそ、オンラインで様々な体験ができる機会は貴重だと考えています。

株式会社F.C.大阪営業本部長/小谷成太氏

近藤 ファンクラブにはFC大阪を純粋に応援してくださっている方が集まっていますが、FiNANCiEにはファンの方だけでなく、投資目的の方がいたり、プロジェクトに興味を持って見てくれている方がいたり、他チームのファンの方がフォローしてくれていたり、「ファンではないけどトークンを持っている」という人も多くいて、色んな層の方がコミュニティにいるので少し不思議な感覚ではあります。サッカーで注目してもらえるのはもちろんとても嬉しいことですが、FiNANCiEでは「まちスタ」や「地域貢献」といった、「サッカー以外の面での注目」ももっと集まるといいなと思いますね。

―――今後FiNANCiEをどう活用していきたいとお考えですか?

近藤 重複してしまいますが、サッカー以外での注目もFiNANCiEで集まると嬉しいですし、何かしら動きのあるものにしていきたいと考えています。まだファンディングも初回しか実施していないので、第2回目も小谷と検討中です。何かしらアクションを起こすことで、いろんな方に注目をしてもらって、それと同時にFC大阪のJリーグ昇格が決まったりするとサッカーのトレンドの方も動くと思うので、同時進行でたくさんの方にFC大阪を見てもらいたいです。

 あとはトークンの価値もすごく上げていきたいですね!実はFiNANCiEを利用する前から暗号資産関連の事業をしている会社さんに応援していただいていたこともあり、地域コインやトークンといったこの領域には元々とても興味がありました。FiNANCiEのトークンをうまく活用して、マネタイズもファンコミュニティとしても、もう1ステップ上がりたいなと思います。

トークンホルダーによるキックインセレモニーの様子

―――今シーズンも佳境ですが、チーム状況はどうですか?

近藤 現在JFL首位(8月17日時点)でサマーブレイクを迎えられました。J3ライセンスも申請中です。2020、2021シーズンは、J3ライセンスも取れており、昇格も目の前に見えていましたが、2年連続であと一歩及ばず昇格ができませんでした。

 今シーズンは試合結果も、観客動員数も、様々なことが全て良い感じに進んで「全ての歯車が噛み合っている」感じが強くしています。周りからの期待感もすごいです。「今年上がらなかったらいつ上がる?」という感じで、それが選手にも伝わっているのか、去年とは違って逆転勝利も多く、勝てるチームになりつつあります。

―――8月末からまたリーグ戦が再開になります。

近藤 チームとして、サマーブレイク明けにしっかりと勢いをつけていきたいです。3連勝して、流れに乗っていた時に中断時期に入ったので、ここからどうスイッチを入れていくかが大切だと思います。とにかく早くJリーグに上がりたいですね!FC大阪の昇格は、我々だけの話じゃないので。スポンサーや地域の方、ファンの方々など多くの人に支えてもらって成り立っているチームだからこそ、結果でも恩返しをしたいと思います。違うスポーツですが、同じ東大阪市がホームタウンのラグビーチーム、花園近鉄ライナーズが今シーズン、Div.1に昇格を決めました。東大阪市はラグビーの聖地と言われている場所です。そこで「ラグビーとサッカーがあるスポーツのまち東大阪」と呼ばれるようにしていきたいですね。

―――J3昇格は目の前です。最後に一言お願いします。

近藤 クラブは一つになって上を目指しているので、選手たちにも引き続き頑張ってほしいと思います。残り12試合中5試合がホームゲームです。ここ2年間、コロナ禍で撤廃されていたJリーグ参入基準の1つである「観客動員数」が今季から再び導入されたので、そこもしっかりクリアしたいですね。残り5試合で約1万人です。ぜひ沢山の方に試合会場へ足を運んでいただければと思います。今後ともFC大阪への応援をよろしくお願いいたします。

By サッカーキング編集部

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