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近年4強常連の2校が激突…堅守の矢板中央と青森山田、個性派アタッカー陣の躍動に注目

2021.01.08

準決勝第2試合で対戦する矢板中央(上)と青森山田 [写真]=オフィシャルサポート

 第99回全国高校サッカー選手権大会の準決勝が9日に埼玉スタジアム2002で行われる。14時10分キックオフの第2試合では直近4大会で3度目の準決勝となる矢板中央(栃木)と、3大会連続のベスト4となる2大会ぶり3度目の優勝を狙う青森山田(青森)が対戦する。

 ともに堅守を誇るチーム同士の激突。そう聞くと攻撃的なアクションの少ない試合になるかと思われるが、両チームにはアタッカー陣に強烈なタレントを有しているのも特長のひとつだ。

 青森山田には今大会の目玉選手の1人であるMF松木玖生(2年)に加え、1.5列目から頭脳的かつスピードある飛び出しを見せ、決定的な仕事をこなすMF安斎颯馬(3年)、ポストプレーと裏への抜け出しを得意とする2年生ストライカーの名須川真光がいる。

 この前線のトライアングルにボールを供給するのが、1年間で最終ラインからの持ち出しと縦パスを磨いた浦和レッズ内定のCB藤原優大(3年)、攻守の要であるアンカーを任されている宇野禅斗(2年)などだが、中でも右サイドバックの内田陽介(3年)が重要な供給源になっている。

内田陽介

青森山田DF内田陽介 [写真]=宮地輝

 内田といえば、どうしてもロングスローにばかり話題が行ってしまうが、プレー強度はチームでもトップクラス。絶え間ないアップダウン能力をベースに、非常に頭脳的な攻撃参加を見せてくる。右サイドハーフの仙石大弥(3年)と、2シャドーのポジショニングをよく見て、オーバーラップやインナーラップを仕掛けてくる。連続して攻撃に関われることが内田の魅力のひとつであり、狙っていた形と展開が異なっても、すぐに軌道修正して、サポートや別のスペースへとスプリントすることができる。このプレーの精度と強度は、今のチームにおいてなくてはならないものとなっている。

 さらに途中投入される右サイドアタッカーの藤森颯太(2年)と、左アタッカーの内間隼介(3年)、181センチの屈強なセンターフォワードである古澤ナベル慈宇(3年)の存在も大きな武器となっている。彼らがチームに前への推進力をもたらし、終盤で新たな流れを作り出すのは、相手にとって脅威以外何者でもないだろう。

 対する矢板中央は1年時からゴールを守るGK藤井陽登(2年)、187センチの新倉礼偉(3年)と188センチの島﨑勝也(2年)のCBコンビ、球際の強いボランチの大畑凛生(2年)を軸に、強固なブロックを構築する。彼らが守備に専念できるのは、前線に君臨するインテンシティの高いアタッカー陣がいるからこそにある。

 10番を背負うFW多田圭佑(3年)は、174センチと身長は高くないが抜群のバネを誇り、前線でボールを頭で展開したり、ボールを収めてからのポストプレーやターンしてドリブルでの仕掛けなど、前への推進力が抜群のストライカー。得点感覚も高く、どこからでも狙えるパンチ力も魅力だ。

多田圭佑

矢板中央の背番号10、多田圭佑 [写真]=宮地輝

 多田とコンビを組む林廉斗(2年)は186センチの大型ポストプレーヤー。守備陣は状況を見て、2人のターゲットマンを使い分け、素早くカウンターを発動する。強烈な2トップに対し、右の黒澤光成(2年)、左の唐橋玖生(2年)の両サイドアタッカーがスピードに乗って駆け上がり、攻撃に厚みを持たせている。

 青森山田同様に、交代選手も非常に個性的だ。黒澤と代わって投入されることが多いMF星景虎(2年)は抜群のスピードと強烈なミドルシュートが武器。準々決勝の富山第一戦で決勝弾を叩き込んだMF小川心(3年)は精度抜群の左足を持つ技巧派アタッカーだ。途中出場選手がアクセントを加えることで、攻撃はより活性化される。

 個性的なタレントを有するアタッカー陣がどのように相手の堅守をこじ開けるか。間違いないのは、球際のバトルが激しいものとなること。高いインテンシティの中で、どちらのアタッカー陣が躍動するのか、注目をしてほしい。

文=安藤隆人

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