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藤枝明誠|激戦区を制した自信を胸に…目指すは“サッカー王国”の完全復活【選手権出場校紹介】

2020.12.29

“サッカー王国”静岡の代表として選手権に臨む藤枝明誠

 1年前の選手権決勝。静岡学園が青森山田に0-2から逆転勝ちし、24年ぶりの日本一に輝いた。“サッカー王国”静岡にとっても24年ぶりの全国制覇。「同じ県にチャンピオンがいる」ことを前向きに捉え、目標として1年間過ごしてきたチームが藤枝明誠だ。今冬、その「打倒・静学」を実現し、静岡県代表の座を勝ち取った。

 藤枝明誠は県予選準決勝で静岡学園と対戦。やや受け身になった前半から後半は前への姿勢を強め、セットプレーでの2得点など3-0で快勝した。「静学、敗れる」は全国的なニュースに。MF中山碧主将は「自信になったことは、あの試合でたくさんあった」と振り返る。

 テクニカルな選手が揃う静岡学園を封じた距離間の良い守備は、彼らの強みだ。長身CB寺田昴弥やセカンドボールを回収するMF賀茂大紀をはじめ、各選手の守備強度も高く、県決勝では攻撃力に定評のあった東海大静岡翔洋をシュート1本に封じ込んでいる。運動量も豊富。反応に優れたGK市川泰壱の存在も大きい。

 一方、攻撃面はポゼッションからMF小林洸やFW高野雷我、左SB増田七翔の推進力を活かした仕掛けが特長。また、MF横山良唯やMF島尻智貴という優れたキッカーを擁し、チームの総得点の3分の2に当たる6得点を叩き出したセットプレーもストロングポイントとなっている。

 藤枝明誠はグラウンドに「王国復活」の横断幕を掲げてトレーニングを続けてきた。静岡県勢は1980年度から87年度まで8年連続で選手権4強入り。うち6回で決勝進出、4回で頂点に立っている。また、これとは別に、県代表が5年連続で決勝進出を果たした時代もある。かつて、静岡は“サッカー王国”としての強さを見せつけてきた。

 だが、近年は低迷。特に2012年以降の7年間のうち6回が初戦敗退に終わっている。昨年度は静岡学園が優勝を果たしたが、最盛期に比べるとまだまだ結果が足りない。それだけに藤枝明誠は自分たちも全国制覇を勝ち取り、「王国復活」に繋げる意気込みだ。
中山は組み合わせ抽選会後、「僕たちのようなあまり歴史のない高校が静岡県から勝ち進むことで『王国復活』ということが達成されると思うので、それを成し遂げられるように頑張ります」と誓った。

 県予選で“王者・静学を破ったチーム”の目標は全国制覇。静岡学園のように抜きん出たテクニックやタレントがいる訳ではないが、中山が「自分たちは勝ったので自信を持って戦っていきたいです」と語るように、激戦区を制したことに自信を持ち、自分たちの良さを表現して頂点まで勝ち抜く。

【KEY PLAYER】MF賀茂大紀

 昨年度の静岡学園MF松村優太(現鹿島)をはじめ、静岡学園MF大島僚太(現川崎F)や清水市立商業GK川口能活(元横浜FMなど)、清水東DF相馬直樹(元鹿島など)、東海大一MF澤登正朗(元清水など)ら選手権静岡県予選の最高殊勲選手(MVP)には日本代表でも活躍したような選手たちの名が並ぶ。

 今年、そのリストに名を加えたのが、藤枝明誠の守備的ボランチMF賀茂大紀だ。「自分は、本当は点を獲る選手ではなく、守備の部分でチームに貢献する選手」と自己分析するが、県予選準決勝では昨年度日本一の静岡学園から2ゴール。決勝でもFKから先制ヘッドを叩き込んで最高殊勲選手に輝いた。

 チームが朝練習で磨いてきたセットプレーのフィニッシャー役として活躍。長身CB寺田昴弥らにマークが集まる中、170cm台前半の賀茂が貴重なゴールを連発した。だが、本人はまず守備でチームに貢献する考え。特に彼のセカンドボールの回収と鋭い寄せは藤枝明誠の生命線と言えるだけに、全国大会でも身体を張ってボールを奪い、味方に繋げる。

 賀茂は全国大会へ向けて「静岡から代表として出るので、全国制覇を目標に、自分たちのサッカーを披露して勝ち進んでいきたい」とコメント。全力で守備に取り組みながら、チャンスがあれば再び一発を狙う。

By サッカーキング編集部

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