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宮崎日大|“2強”の牙城崩して初出場…積み上げを力に狙うは全国制覇【選手権出場校紹介】

2020.12.21

宮崎日大の主将MF山口哲平

 1998年度大会で宮崎工業が9度目の宮崎制覇を果たしたのを最後に、選手権宮崎県代表の座は鵬翔と日章学園による“2強支配”が21年間にも渡って続いていた。その間、2012年度に鵬翔が宮崎県勢初の日本一。日章学園も2度8強入りし、前回大会でも初戦で優勝候補の市立船橋を破るなど“2強”は全国大会でもインパクトのある戦いを見せている。

 だが今年、ついにその“2強”を止めるチームが現れた。宮崎日大が選手権予選準決勝で日章学園をPK戦の末に破り、決勝でも鵬翔に3-2で勝利。昨年、一昨年も含めて過去6度選手権予選決勝で敗れていた宮崎日大が、夏冬通じて初の全国大会出場を果たした。

 現役時代、長崎の名門・国見で10番を背負っていた南光太監督は、2010年の就任から11年目で悲願成就。県予選決勝後のインタビューで「長かったなと思います。保護者、OBの力があって、ここまで来られた」と関係者たちに感謝していた。

 宮崎日大は系列の宮崎日大中との中高一貫指導。MF山口哲平主将(3年)や左利きのCB澤村星輝(3年)、県決勝で決勝ヘッドのMF下青木翼(3年)、長身FW鬼束卓弥(3年)、エースストライカーのFW櫻田優樹(3年)と、主力には宮崎日大中出身の選手たちの名が並ぶ。中学時代からライバルの日章学園中としのぎを削りながら成長してきた選手が、これまでの悔しい思いもぶつけて宮崎制覇を成し遂げた。

 チームのスタイルはGK原蓮也(3年)を含めた後方からのポゼッションとサイド攻撃。ダブルボランチの山口とMF日野昴(3年)がサイドへ展開し、いずれも突破力に秀でた右SH下青木と左SH野田隼輔(3年)の両翼のラストパスなどから鬼束や櫻田がゴールを陥れる。加えて、1年生左SB石川大翔の左足キックもアクセント。守備は個々のハードワークをベースにプレッシャーをかけ、ゴール前でCB中川司(3年)らが的確に相手の攻撃を跳ね返す。

 今年以上に力のあった世代もあるが、2強に行く手を阻まれ続けてきた。それでも、年々積み上げてきたものが力となった。また今年4月、昨年まで35年間に渡って日章学園を率いてきた名将、早稲田一男氏が宮崎日大の総監督に就任。表立って指導をするのではなくサポートの立場だが、山口は「ライバル校である日章にあって自分たちにないことなどを教えてもらっている」と説明する。南監督も早稲田総監督が勝負強さや勝利のメンタリティーを加えてくれることを期待していたが、その力も紙一重の戦いで勝利する一因となった。宮崎を突破したチームの目標は全国制覇。初の全国で存在感を示し、今後にも繋がる戦いをする。

【KEY PLAYER】FW櫻田優樹

櫻田優樹

宮崎日大FW櫻田優樹

初出場校・宮崎日大のキーマンは、FW櫻田優樹だ。力強い抜け出しやクロスからのシュート、DFを剥がしてからの強烈な一撃で勝負を決める。前線でDFを背負いながらボールを収める強さ、安定した技術も兼ね備えるエース。1年時の九州新人大会で5得点を叩き出して得点王を獲得し、自信を掴んで迎えた2年目は主軸としてプレーを続けた。今年初めには、横浜F・マリノスのキャンプにも参加している注目株だ。

 だが、選手権県予選は1得点に終わり、切り札役を担った決勝も後半からの登場でゴールへ向かう姿勢を見せ続けていたものの、得点に絡むことはできなかった。1年時に「自分が選手権の決勝で点を決めて、全国を決めるくらいの気持ちで普段からやっていきたいと思っています」と語っていたFWが、思い描いていた通りの結果を残すことができなかったことは確か。優勝の喜びの一方で悔しさも味わっている。

 今年はなかなか状態の上がらない時期が続いた。それでも、水戸ホーリーホックなどでプレーした経歴を持つ南監督が「最後のところで決めるのはアイツだと思っている」と期待するストライカー。宮崎日大中時代も10番で、今回の選手権予選も10番を背負ってきた“桜色のエース”が初の選手権でその得点力を爆発させる。

By サッカーキング編集部

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