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悲願の日本一へ、あと2勝…帝京長岡・晴山岬が語った武田英寿、染野唯月へのライバル心

2020.01.11

帝京長岡の10番・晴山岬 [写真]=佐藤博之

 頂点まであと2つ。“優勝候補”と目された北信越の雄が前評判通りの強さを見せている。第98回全国高校サッカー選手権大会、準々決勝で仙台育英(宮城)と対戦した帝京長岡(新潟)は、谷内田哲平(京都サンガF.C.内定)の開始30秒弾で先制すると、初戦からゼロ行進を続ける守備陣も奮闘。1-0で完封勝利を収め、新潟県勢初の準決勝進出を果たした。

 コンセプトは「ボールを動かすサッカー」。古沢徹監督の下、磨き抜かれたコンビネーションが集大成を迎えている。チームの核となるのは地元長岡市のクラブチーム、長岡JYFC出身の選手たちだ。FW晴山岬(FC町田ゼルビア内定)、MF谷内田、DF吉田晴稀(愛媛FC内定)と各ポジションのJ内定選手に加え、DF吉田勇介、FW矢尾板岳斗ら昨年もメンバー入りした面々は高校入学前から“日本一”を目指し、帝京長岡のグラウンドで練習を積み重ねてきた。

 加えて、独特のリズムとテクニックで攻撃を統べる昨年度レギュラーのMF田中克幸、足下の技術に秀でた守護神GK猪越優惟らを擁するイレブンは強烈そのもの。華麗なテクニックに個の強さ、阿吽の呼吸で奏でるパスワークで大会屈指の攻撃力を見せつけてきた。さらに、対熊本国府(3-0)、神戸弘陵学園(5-0)、仙台育英(1-0)と守備陣も奮起し、攻守に隙がない。

「勝てるチームは自分たちしかいない」

帝京長岡が新潟県勢初の選手権ベスト4進出を決めた[写真]=松橋隆樹


 最大の注目を集めるのが、10番を背負うエースFW晴山だ。ボールを受ければ前を向いて仕掛ける。テクニックと推進力でボールを運ぶ。上背は高くないが背負って収める。これら全てを高いレベルで何度も繰り返し、相手DFにとって脅威であり続けている。

 今大会では初戦となった2回戦(熊本国府戦)、田中のクロスに頭から飛び込み、あいさつ代わりの1点目を記録。続く3回戦の神戸弘陵学園戦では、ヘディング3発を叩き込み、前回大会に続くハットトリックを記録した。準々決勝では開始1分、守備力自慢の仙台育英を相手に、谷内田の決勝ゴールをアシストし、得点以外でもチームを勝利に導いた。

 2年生ながらピッチに立った昨年度の選手権では、準々決勝で尚志(福島)に敗れ、ベスト8止まりだった。まずは、大車輪の活躍で県勢初の快挙を達成し、最初の目標をクリアしてみせた。次は「日本一」だ。準決勝で対戦するのは、王者・青森山田。Jユースすらも凌駕するチーム力で、昨年11月には高円宮杯チャンピオンシップを制した最強の相手と相対する。だが、晴山には揺るぎない自信がある。

「青森山田はチャンピオンシップでもプレーして、埼スタは慣れていると思います。でも、『勝てるチームは自分たちしかいない』と思っています。自分たちが倒さなきゃどこも倒せない。チャレンジャー精神で自分たちのサッカーをすれば勝てると思います」

晴山を奮い立たせた2人の同級生

青森山田の武田英寿と尚志の染野唯月 [写真]=梅月智史、兼子愼一郎


 同級生に対して特別なライバル心がある。U-18日本代表にも名を連ねる晴山は、青森山田の10番・武田英寿(浦和レッズ内定)とは「代表で一番仲が良い」。もちろん、その実力の高さも目の当たりにしてきた。

「キックがめちゃくちゃ上手いですね。代表の練習後にFKの練習とかするんですけど、全部入るんですよ(笑)。マジで上手くて。『そりゃ、去年(選手権で)優勝するわな』って(笑)。逆に『今年は自分が優勝しなきゃ』って改めて思いました」

 打倒・青森山田へ、キーマンを潰す。そのために、「あいつの良さをチームのみんなに教える」。

「代表とかでもヒデとは一番仲が良い。ちょっと複雑な気持ちもありますけど…。逆にあいつのプレーを分かっているのは僕だけなので。あいつの良さをチームのみんなに教える。あいつを潰せば攻撃は機能しないと思うので。まずはチームに教えるということで、自分の役割が重要になってくると思います」

 もう1人、意識してきた同級生がいる。昨年度大会で敗れた尚志の染野唯月(鹿島アントラーズ内定)だ。“2年生エース”として尚志の最前線を務めた染野は、準々決勝で帝京長岡を相手に決勝ゴールをマーク。続く青森山田との準決勝では衝撃のハットトリックで一躍全国へその名を轟かせた。晴山は染野の大活躍を、埼玉スタジアムのスタンドで見守った。同じくU-18日本代表のチームメイトの活躍に、悔しさがこみ上げた。

「唯月がああいう形で活躍して、悔しい思いをした。その思いを持ってやってきたことを発揮する場があそこ(埼玉スタジアム)だと思っています。今年は自分がチームを優勝に導ければと思います」

“日本一”への想い、同級生から受け続けた“刺激”を胸に、晴山が埼スタのピッチに立つ。

取材・文=サッカーキング編集部

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