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青森山田、因縁の“矛盾対決”へ…2年生のDFリーダーが「ショックな負け」からリベンジに挑む!

2020.01.05

青森山田の藤原優大 [写真]=梅月智史

“再戦”へ、2年生のDFリーダーがふんどしを締め直した。前年度の選手権王者・青森山田(青森)は3日、3回戦で富山第一(富山)と対戦し、4-1で勝利。6-0と大勝を収めた初戦・米子北(鳥取)戦に続き、盤石の強さを見せつけ準々決勝進出を果たした。

 全国レベルの強豪校を立て続けに倒し、連覇へ向けて視界良好。だが、藤原優大(2年)が試合後に語ったのは、失点シーンにおける反省の弁だった。

「あのセットプレーは多分、この試合のために用意してきたと思う。あれに対応できないと。もし、0-0の場面であれを決められたら負け試合になっていた。チームで話し合ってもっと詰めていきたいです」

「あのセットプレー」とは、3-0で迎えた75分の失点のことだ。富山第一はゴール正面、やや右寄りの位置でFKを獲得。これを直接狙わずファーサイドに送り、ヘディングでゴール前へ折り返した。待ち構えていた選手が押し込み、青森山田は今大会初失点を喫した。デザインされたトリックプレーについて藤原は、「ああいうプレーに対して準備できていなかった」と反省し、「3-0の場面では得点もいらないし、あれを3-0のまま終えるのが青森山田のサッカー」と語気を強めた。

1年の夏に経験した「相当ショックな負け方」


 準々決勝の相手は初のベスト8進出を果たした昌平(埼玉)に決まった。青森山田にとって少なからず“因縁”がある相手だ。

 昨夏のインターハイ、両校は2回戦で相まみえた。当時の青森山田のメンバーは、檀崎竜孔(現北海道コンサドーレ札幌)、三國ケネディエブス(現アビスパ福岡)、バスケス・バイロン(現いわきFC)、現主将の武田英寿ら、後に選手権を制した強力なメンバーたちを擁していた。

 試合は前半から青森山田がペースをつかみ、2-0とリードを奪う。しかし、前半終了間際に1点を昌平に返されると、57分に同点ゴールを献上。直後には逆転弾を許し、リードを奪われてしまう。後半アディショナルタイムには、追いかける展開から前がかりになったところでカウンターを食らい4失点目。強力ディフェンスが売りのチームが立て続けに失点し、2-4の逆転負けを喫した。当時、1年生ながらベンチ入りを果たした藤原は、「自分もベンチで見てて苦い経験でした。相当ショックな負け方だった」と振り返った。

 一方の昌平は、サッカー部の本格強化からメキメキと実力を伸ばし、今や埼玉県屈指の“技巧派集団”として全国でも知れ渡る存在となった。今大会でも初戦で興國(大阪)に勝利すると、3回戦では優勝候補の一角と称された國學院久我山(東京)にアディショナルタイムの決勝ゴールで勝利し、同校初の選手権ベスト8に進出。磨き抜かれた攻撃サッカーで王者への挑戦権を手にした。

 因縁の一戦へ藤原も「プレミアで1年間やってきて、テクニカルなサッカーには慣れている。そこは自信を持って。そこができないと絶対やられると思う。相当力があるチームなので」と警戒心を強めている。

“何でも屋”からDF陣のリーダーへ

昨年度の選手権では1年生で唯一メンバー入り。準決勝のPK戦ではラストキッカーを務めた [写真]=兼子愼一郎

 藤原が名を馳せたのは、昨年の選手権だった。1年生ながら唯一メンバー入りすると、“ユーティリティープレーヤー”として重要な局面で起用された。シャドーを任されればチャンスメイクを。ボランチに入れば攻守のつなぎ役を。センターバックとしては空中戦の強さを武器に相手のパワープレーを跳ね返す。激闘となった尚志(福島)との準決勝ではPK戦でラストキッカーを務め、自らのキックで大舞台での勝利をもぎ取る強心臓まで持ち合わせている。

 本格的にセンターバックを任されたのは高校入学からだが、「自分のポジションになってきた。最初は戸惑ったけど人の話を聞きながらやってきて自信もついた」と話す通り、世代を代表するDFに成長。空中戦、対人プレー、カバーリングに長けていることはもちろん、足元の技術を活かしたビルドアップでも貢献。11月の高円宮杯ファイナルを制し、「日本一」となったチームにおける“柱”の1人だ。

 チームリーダーとしての自覚も十分。「去年とは立場が違う。去年は先輩たちに助けられながらプレーしていた。自分がチームの中心になって優勝に導く立場」と責任感が強く、一方で「自分が何を言っても色々と意見を聞いてくれる優しい先輩たち。先輩のためにも優勝したい」と、1学年上の先輩たちとの全国制覇を心から望んでいる。

 富山第一戦では失点を喫し、悔しい思いをしたが、「2試合連続無失点で3試合目に失点して、メンタルが落ちるという危険性もあったので、ポジティブに捉えて。反省して次の試合に臨みたいです」と、自慢の守備力をさらに強固なものにする好材料として受け入れている。

 藤原を中心とした青森山田の守備力か? 華麗なパスワークと個人技で魅せる昌平の攻撃力か? ベスト4を懸けた“矛盾対決”から目が離せない。

取材・文=サッカーキング編集部

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By サッカーキング編集部

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