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58年ぶりの大一番! 決勝進出を懸け“東北の雄”が激突!【選手権準決勝/尚志vs青森山田】

2019.01.11

準決勝第一試合は尚志(上)と青森山田(下)の東北勢対決となった [写真]=小林渓太、山口剛生

 東北勢2校が準決勝に進出したのは、第39回大会以来58年ぶり。12日の準決勝第1試合、尚志(福島)対青森山田(青森)戦は、58年前に遠野(岩手)と秋田商(秋田)が対戦して以来となる準決勝での“東北決戦”となった。

初優勝へ強豪を立て続けに撃破

U-17日本代表FW染野唯月は2年生ながら尚志のエースとして大活躍を見せている [写真]=小林渓太

 尚志は、東日本大震災直後の2011年度大会で福島県勢初となる準決勝進出を果たして以来となる4強入りだ。当時の尚志は「福島に元気を」を合言葉に、震災の影響に苦しむ福島に元気と感動を与えるべく戦った。その”福島の星”が今大会で再び快進撃を見せている。

 開幕直前の昨年12月に開催されたプレミアリーグプレーオフ2回戦で、Jユースカップ優勝チームの横浜F・マリノスユース(神奈川)に逆転勝ち。プレミアリーグ復帰を決めた直後に仲村浩二監督は「運を使い切っちゃったかも」と苦笑していた。だが、選手権でも初戦から神村学園(鹿児島)、東福岡(福岡)、前回王者の前橋育英(群馬)、そして帝京長岡(新潟)と続く「全部が決勝戦」(仲村監督)の戦いを見事に突破。指揮官は「まだ運が残っていましたね」と謙遜するが、自力があるからこそ勝ち上がっているのは間違いない。

 2戦連発中のU-17日本代表FW染野唯月(2年)をはじめ、MF坂下健将(3年)、MF加瀬直輝(3年)、左SB沼田皇海(3年)ら「この代は史上最強と言われている代」(加瀬)。例年同様、今年も多数いる攻撃タレントを軸としたサイド攻撃からチャンスを作り出している一方、リードしてからの落ち着き、粘り強い戦いも光る。

 今年は選手層の厚いチームでもある。プレミアリーグプレーオフで守備の要・CB馬目裕也(3年)が負傷離脱し、今大会の準々決勝はCB黒澤誓哉(3年)が出場停止だったが、いずれも穴を埋めて勝ち上がってきている。「最後のロッカールームを笑って終わる」(MF大川健主将、3年)という目標を掲げて戦ってきた選手権もあと2試合。まずは東北地方で常に先を進んでいた青森山田を乗り越える。

強さの理由は多様な戦い方と「守る」「決める」へのこだわり

青森山田は三國ケネディエブス(中央)、檀崎竜孔(右)ら豊富なタレントを揃え、盤石の強さを誇る [写真]=山口剛生

 一方、青森山田はV候補の前評判通りに勝ち上がってきた。現3年生は、2年前に先輩たちが選手権初優勝を喜ぶ姿を埼玉スタジアムのピッチやスタンドで見ている世代だ。特にU-19日本代表CB三國ケネディエブス(3年)と右SB橋本峻弥(3年)は、いずれも2学年上の兄(DF三國ステイビアエブス=現順天堂大、DF橋本恭輔=現新潟医療福祉大)が成し遂げた全国制覇を自分たちも達成するために挑戦してきた。

 2位に入ったプレミアリーグEASTでは、U-18日本代表MF檀崎竜孔(3年)が16得点で得点王を獲得。全47得点のうち3分の1をエースが挙げていた。だが、今大会初戦(対草津東、滋賀)では6選手で6得点。続く3回戦(対大津、熊本)では初戦とは異なる3選手で3ゴールを決め、矢板中央(栃木)との準々決勝はCB二階堂正哉(3年)の今大会初ゴールを含む2ゴールによって逆転勝ちしている。

 組織力高く、3人、4人が連動した崩しからゴールを決めることもできれば、セットプレーから得点することもできる。実に10人もの選手が得点できていることが、その証拠と言えるだろう。黒田剛監督は「まだケネディがいるからね」と笑っていたが、空中戦で圧倒的な強さを発揮する192cmのCB三國や強力な左SB豊島基矢(3年)といった未得点の選手にも注目だ。

 Jクラブユースや高体連のトップチームと戦うプレミアリーグで、毎年上位に入っている理由は多様な戦いに対応できるからこそ。加えて、1本のシュートを「守る」「決める」こだわりはどのチームよりも強い。勝ち方を知る北の名門は、「去年優勝できなかった借りを返すために勝っていって、最終的には優勝すること。目の前の一戦一戦大事にして絶対に全国制覇できるようにしていきたい」(MF天笠泰輝、3年)、「1年目、選手権の優勝を経験させてもらったので、もう一度てっぺんに立ちたい」(檀崎)という目標に全員で挑戦する。

 両校は、新チーム結成直後だった昨年1月の新人戦東北大会決勝で対戦。青森山田が1-0で勝って幕を開けたライバル対決は、互いにメンバーを落としての戦いだった6月の東北選手権決勝で尚志がリベンジしている。よりボールを握って試合をコントロールしたいのは尚志の方だが、“格上”青森山田にペースを握られた際に食らいつくことができるか。過去の実績、今年の総合力も青森山田が上。だが、勢いのある尚志が全国大会で壁を突破しても不思議ではない。

文=吉田太郎

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