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“ウノゼロ”の立役者、坂下健将(尚志)…「最後の大会」で最高の結果を

2019.01.05

尚志が1-0で帝京長岡を破り準決勝へ駒を進めた [写真]=山口剛生

取材・文=竹中玲央奈(提供:ストライカーデラックス編集部)

 尚志とって防戦一方、“ワンサイドゲーム”とも言える内容だった。帝京長岡は小池晴輝と晴山岬の2トップがボックス内で常に相手の逆を取る動きを見せつつ、受けたボールはしっかり収め、それに連動して味方もゴール前に迫っていく。跳ね返されてもセカンドボールをしっかり拾って再び組み立てる。ボックス内で人数をかけて幾度もゴールを脅かした。

 しかし、勝者となったのは22分に2年生エース・染野唯月が決めた1点を守りきった尚志だった。東福岡、前橋育英と優勝候補を打ち破ってきた粘り強さをこの試合も発揮し、決勝進出をかけて準々決勝で青森山田と戦うことになる。

 この試合で際立っていたのがボランチの坂下健将の働きだ。初戦から攻守に渡って絶妙なポジショニングから気の利くプレーを連発し、ボールを持てば攻撃のスイッチを入れる。東福岡と対峙した2回戦では見事ゴールも決めた。どちらかというと攻撃で良さを出せるタイプだが、この日は守備に奮闘した。中央でボールホルダーに寄せたかと思えば、CBが釣り出されたスペースをしっかりとカバー。サイドをえぐられマイナスのクロスを入れられながら、ニアサイドでかき出したシーンは何本あっただろうか。体力的なキツさもあっただろうが、彼の中では守れる手応えがあったと言う。

「シュートは打たれましたけど、ちゃんとシュートコースにも入っていたので、正直『大丈夫だな』というのはありました」

 仲村浩二監督からも中心選手と名指しで言われている坂下だが、大学進学後はサッカーを趣味程度に留め、「上でやることは考えていない」と言う。

「自分にとってこの大会がサッカー選手として臨む最後の大会なので、楽しんで終わりたい」

 これだけの良い選手が高いレベルの舞台で見られなくなるのは非常にもったいないと感じるが、彼が選ぶ人生に口出しはできない。それでも本人は、“有終の美”を飾ろうと強く思っている。

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